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46話 未来から来たと名乗る人

「……はっ!」


 気が付けば、また別の場所に飛んでいた。


「あげは!? お前どこに消えてたんだよ!」


 目の前には私のよく知っている灯が、大人びた感じではなくいつもの灯だ。私は彼女の頬をペタペタ触ってみる。


「ちょ、何すんだよ……!」


 困惑するような、恥ずかしがっているような灯。未来の彼女にドキッとさせられた仕返しだ。


「ここ……」


 周りをキョロキョロ見渡す。雫や柚子、舞花さんもいる。ここはどうやら先程までいた現代の井の頭公園のようだ。アイツ、ご丁寧に元の場所に戻してくれたのかな?


 私は自分の身体を確認する、いつのまにか変身は解かれていたようで、着ていたのは学園の制服であった。


「何があったの?」


 雫が私に聞いてくる、正直何があったかなんて聞きたいのはこっちだ。


「えっと……逆に何があったの?」


 と、みんなに聞いてみた。


「西嶋さんも言ってたでしょ、あなた忽然と姿を消したのよ」


 柚子が困惑したような表情でそう返してくる。


「マジか……どれくらい消えてたの?」


「二、三分くらいかしら」


 向こうには体感一時間くらいいた気がするけど、こっちはそれくらいしか経ってないのか。


「頭いたい……」


 若干の頭痛が私を襲う、そこで私は未来の灯のある言葉を思い出した。


「あ、私が消えてる間変な奴が来なかった?」


 私のその言葉に、みんなは一様に押し黙ってしまう。あれ、私何か変なこと言ってしまったかな……


「ええ、確かに妙な奴が現れましたけど。なんで知ってるんですの?」


 ああ、そういう事。いなかったのになんで知ってるんだって雰囲気かこれ。


 ……どうしよう、素直に話すべきか。雫や霧、灯はともかく今はこの二人もいるしなぁ。


 私の微妙な視線に勘づいたのか、柚子は若干不機嫌な様子になる。


「また隠し事ですの? "そちらの方々"は一体どれだけ隠し事をしていれば気が済むのかしら?」


 隠し事、多分私の事かな?


「は? あなた何言って……」


 と、イラッとした口調の雫。また二人が一触即発の雰囲気になる、この二人ホント相性最悪だな……


「はいはい二人ともストップストップ!」


 そこに割って入る舞花さん。


「雫、一々アイツの言葉に乗るなって」


 灯も雫のことを宥める、なんかついさっきも見た光景だこれ。


『ひとまず状況を整理してみよう』


 と、側に落ちていた私のスマホから聞こえる霧の声。私はそれを拾い上げる。


「とにかく、ここに現れたって言う変な奴について聞きたいんだけど」


 私はみんなに謎の人物について聞いてみる、まあ正体はわかってるんだけど。


「そうね、アナタが消えてすぐに未来からの使者とかなんとか名乗る奴がそこに現れたの」


 雫が湖、湖畔の方を指さす。よく見ると奇妙なことに湖の一部だけが凍りついていた。冬でも無いのに……


「そこに立ってさ、なんか明らかに普通の奴じゃ無かったよな。雰囲気がヤバかったというか」


 聞くに、ソイツは凍った部分に立ってこちらの方を静かに見ていたという。


『アイツ、影霊みたいな反応がした』


 と、霧が言った。どういう事だろう、あの人もしかして人間じゃなくて影霊だったりするのだろうか?


「私が影霊なのか、って聞いたらアイツ変な事言ってたわ『それに近い存在だよ』とかなんとか」


 近い存在。ますますあの人の事が分からなくなってきた、まあ時間を跳躍できる時点でただの人間でないのはわかってるんだけど。


「喋る影霊なんて聞いた事……あ、アイツがいたっけ」


 アイツ、多分アリスの事だろう。まあ流石にあの娘とは全く性質が違う存在なのはわかってるけど。


「それと、未来の事について語っていたわ。来年の二月……終わりが来るとかなんとか」


「あの人、そこまで喋ってたのか……」


 来年の二月、未来の灯が言うにはそのタイミングから世界がおかしくなったらしい。


「ふん、バカバカしい。まるで未来を知っているかのようじゃありませんの」


 と、柚子は真面目に受け取っていないようだ。


「これは忠告とかなんとか言ってた、それで気がついたら気配もなく消えててさ、代わりにお前が戻ってきたというわけ」


 なるほど、こっちでの出来事は大体わかった。


「……で、結局アナタは何処に消えていたんですか?」


 柚子は私に視線を向ける、まあそうなるよね。さてどうしよう……こうなったらこの手しかないかなぁ……


「わ、わからない。なんかホント記憶飛んでてさ〜」


「は?」


 何言ってんだコイツ、とでも言いたげな様子の柚子。だって仕方ないじゃん! どうせ未来に行ってきたなんて言ってもまともに取り合ってくれないでしょ。


「何をバカな────」


「あ〜、お嬢ストップストップ」


 と、今にも怒り出しそうな彼女を諌めたのは意外にも舞花さんであった。


「あげはちゃん……というか、そちらさんサイドにも色々と事情があるんだよきっと、こっちにも色々ある様にね〜?」


 まるで子供を宥めるかの様な口調の彼女。


「……そういう事ですの、まあお互い色々と隠し事は多いみたいですものね……って舞花! 私たちは何も隠し事はしていません! 勘違いされる様な事を言わないでください!!」


「あ〜、はいはい。そういう事にしておかないとまずいもんね」


「舞花〜〜〜〜ッッ!!」



 ……なんだか二人のやりとりで一気に真面目な話をする雰囲気じゃ無くなった気がする。

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