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43話 空気の読めない影霊

「いやいや! 生きてるからな! ちゃんと生きてるから!!」


 ひどく慌てたような灯。なんだ、怖がらせないでほしい……


「ただ、アイツはお前に会ったらどう思うかなって思ってさ」


 何となく、微妙な反応をする彼女。


「えっと……どういう事?」


「アイツはさ、あげはが突然消えた時一番……いや、私の方が上だけど、とにかくあちこち駆け回って行方を探して」


 二人にそんな事をさせていたのか。まったく……未来の私は何をしているのだろうか?


「でも見つかんなくてさ、最終的にアイツはあげはは逃げたんだ……って言うようになってさ」


 まあ、東京がおかしくなった直前に消えたらそう思われても仕方ないか。


「もちろん本心じゃないって、見てて丸わかりだったけどな。そう自分に言い聞かせなきゃやってけなかったんだろ」


「なんというか、本当にごめん」


 とにかく、そう言うしかないと思った。


「なんでお前が謝るんだよ!」


 だって、未来の私はこんなにも二人に負担をかけている。未来の私に会ったらぶん殴ってやりたい。


「はぁ……ってか、なんの話してたんだっけ?」


「なんか私もわかんなくなってきた」


 そうして、私たちは互いに吹き出してしまった。なんだか既視感のあるやりとりだと思った。


「あー、久々に笑ったかも」


 心底嬉しそうな様子の灯を見て、私もなんだか気持ちが落ち着いてきた。


「もう少し話してたいけど、はぁ、相変わらず空気読めねー奴らだなぁ」


 灯の雰囲気が一気に警戒したようなモードに変わる。理由はわかる、私もその"気配"を感じてるし。


「これなに?」


 妙な気配の正体を聞いたその時であった、突如地響きが発生した、パラパラと土埃をあげる周囲の建物たち。間違いなく何かの存在を感じさせる。


「エリアのボス……って感じかな? このあたりの雑魚まとめて殺ったからようやく出てきたっぽい」


 灯は立ち上がる。


「あげは、影霊の気配がします。しかもなんかデカいです」


 と、揚羽の声が頭に響く。そんなこと言われなくたって分かってるってば。


「私も手伝うよ」


 太腿のホルスターからグロックを抜き、戦闘の準備をする。


「いいのか? この世界で……色々知りたい事とか調べたい事とかあるんじゃないのか?」


 確かに、そのつもりだったけど……


「今は灯といる方が大事だって感じた、私がいた方が心強いでしょ?」


 と、挑発してみせる。


「はん……言うじゃねーか。私、五年経ってめちゃくちゃ強くなったからな、ついてこれるのか?」


「頑張るよ、よいしょ」


 私も立ち上がり、影霊の気配がした方を見てみる。


「あー、来るわ……あげは、跳んで」


 そう言い残して、灯はピョンと建物から飛び降りた。


「え、ちょ────」


 その瞬間、背筋の凍るような冷気に当てられたような感覚を覚えた。何かくる、私は急いで灯の後に続いて下に飛び降りる。


 細い閃光、そうして少し遅れてキィィィィィィィィン…………! という甲高い音。


「な……!」


 私たちの居た場所に光が走る。まるでレーザーのようだ。


 下にうまく着地、先ほどまで居た建物の屋上あたりを見てみるが既に細い光は消えていた。


「今のは!?」


「影霊の攻撃、レーザーみたいなもんだよ」


 なんという事だろう、そんなとんでもない攻撃をしてくる個体がいるのかこの未来には。


「レーザーだから光を見て避けるのは不可能だけど。その前に変な感じするから、それ感じて回避してね」


 先程感じた、背筋が凍るような感覚のことだろうか。


「……ってか結局、攻撃してきた奴は何処に?」


 光は……あっちから飛んできたのかな?


 飛んできた方を見る。今私たちは大きな道路、その歩道にいる。飛んできた方向は丁度道路の反対側、そのさらに先から、ビルなどに阻まれてこの低い位置からは確認がしずらい。


「あげは、こっちだ! ついて来い!」


 灯が駆け出す、私もそれに続き崩壊した街々を進む。そうして光が飛んできた方向へと向かう。


 ……にしても、本当に酷い荒れっぷりだ。わずか五年でこうなってしまうとは。


 荒れ果てた街を進む、進む。そうして私たちは先ほどよりももっと広い大きな道路に辿り着いた。


「……ここ、環七かな」


 どうやら環七に出たようだ、東京の動脈には数えきれないほどの車が放置されて酷く荒廃している。


「──ッ! また!!」


 背筋が凍るような感覚、私は急いで横に跳んで回避する。すぐさま飛んでくる細い光線。


「上から!?」


 一瞬見えた線、それは少し高い場所から飛んできた。


 灯が鞘から勢いよく刀を引き抜き、炎の斬撃を飛んできた方向へと飛ばす、彼女得意の技だ。


 斬撃は空中で何かにぶち当たる。少しだけ空間が歪んだようになり……そうして"ソイツ"は姿を現した。


「あ、アイツさっきの……」


 フワフワと浮かぶそれ、先ほど倒れていた遮光器土偶のような形をした影霊がこちらを見下ろすような雰囲気でそこに現れた。


「あれが、このエリアの主?」


 先ほどの個体よりも少し大きい。全長4〜5メートルくらいはありそう。


「まあね、そんな手こずるような相手でもないけど……じゃ、やろっか?」


「オッケー!」


 そうして、未来の灯との初めての共同作業が始まった。

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