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38話 未来

「てかお前! 影霊を学園に放つなんて何考えてんだよバカ!!」


 灯が話を遮るように舞花さんに怒る、確かに影霊は現実世界に影響を及ぼす。そんな存在をウチらの母校に放つなんて確かにとんでもない話だ。


「大丈夫大丈夫、そんな凶暴な娘じゃないし。それにちゃんと責任を持って私が"処理"してあげたでしょ?」


「処理、っていうのは狙撃した事ですか?」


 私は彼女にそう聞く。


「そうだよ〜」


 はぁ……なんというか、この人色々とぶっ飛んでるな……


「彼女の行動については、私から謝罪しますわ」


 柚子が頭を下げる。


「まったく、ホント毎度毎度……」


 灯のその言葉から察するに、舞花さんの無茶はこれが最初ではないようだ。


「なんだかかなり話が脱線して来たような気がしますので、最初の話に戻します」


 そうして、柚子が私の方を向き直る。


「結局、アナタは"何者"なのですの?」


 う、この調子でなんか有耶無耶になってくれないかな〜と思ってたけどそこまで甘くはないようだ。


「えーっと……それは……」


 どうすればいいのだろうか。もういっそ本当の事を話してしまおうかな。


 そんな事を考えていたその時であった。


「……?」


 突如、周囲の雰囲気が変わったような気がした。なんというか、嫌な感じというか。


「ねえ、なんか変じゃ……え?」


 いない、誰もいない。周りに誰もいないんだけど!


 驚いて周りをキョロキョロしてしまう。先ほどまでここにみんないたはずなのに……


 雰囲気の変わった東屋に一人取り残された私。よく公園を見渡せば……雫や柚子たちだけでなく、他の公園に来ている人たちもいない。


「どういう事……」


 まるで、世界に私一人だけ取り残されたような感覚に陥る。


「揚羽……! 聞こえる!?」


「ええ、聞こえてますよ」


 よかった、揚羽は居なくなって無かった。


 私の問いかけに応えるように、隣にふっと黒髪のロリ娘、揚羽が現れる。


「何がどうなってるの?」


「私にもよくわかりませんけど、"なにか"に呼ばれたような感じがしました」


 なにか、とは一体何なのだろうか。あの嫌な雰囲気はそれに呼ばれた感覚だったのかな。


「ッ!?」


 その時、背後にゾッとするような気配を感じる。私は太腿、スカート下に隠れていたホルスターに手をかけ、グロックを取り出そうとするが……


「ぐ……あ、頭がっ……!」


 痛い、痛い……! ひどい頭痛だ……思わずよろけてしまった。


 なんとかふらつきを抑えて、掠れた視界から必死に目の前にいる存在を確認しようとする。


「あなた、誰!?」


 目の前には人が居た。徐々にぼんやりとした視界が戻ってくる。


 そこにいたのは……フードを深く被り、黒いコートに身を包んだいかにも怪しい、とにかく全身黒ずくめの人物がいた。


「こんにちは、あげはちゃん」


 掠れたような第一声、声からして女性だろうか。どこか聞いたことがある声なような気がする。


 顔はフードの闇に隠れて見えづらい、ただ彼女の双眸が闇を湛えているかの様に鈍く光っているのが見えた。


「揚羽……! 変身を……」


 びりびりと、本能が「こいつはヤバい」と叫ぶ。


『システムエラー、魔装憑着システムを起動できませんでした』


「は、はぁ!?」


 何やら、意味がわからないエラーを吐くスマートウォッチ。


「ごめんごめん、MG-COM(マギコン)は止めさせてもらうよ、ゆっくりお話しできないからね」


 謎の女性は、私の方に手を向けていた。この人が何かしたのだろうか。


「……」


 彼女の手、腕にはぐるぐる包帯が巻かれていた。まるで何かを隠すように。


「誰ですか、アナタ……なんか物凄く厨二病みたいな見た目してますけど」


 私がそう聞くと、女性はスッと手を下ろす。


「そうかな〜、まあこういう格好の方が雰囲気出ない? いかにもって感じするでしょ?」


 なんとも気の抜けた返事。だけど本当にただの厨二病患者ではないのは……雰囲気でわかる。


 コイツから漂う、悪意? いやちょっと違う……なんというか絶望感、とにかく「あ、コイツやばい」と思えるオーラが渦巻いていた。


「あ、私が誰かって? その問いに今は答えられないかな、どうせ後々(あとあと)わかることだし」


 微妙な返答が帰ってくる、後々わかるとは……どういう事なのだろうか。


「本当はフード脱いで、面と向かって話したいけどね、まあ今はまだ早いかな」


 そうして、彼女は私に背を向けて空を見上げる。


「あ……」


 なんで今まで気が付かなかったんだろう。私は彼女と同じように"真っ赤な空"を見上げた。


 朧のような夕焼けっぽい綺麗な空じゃない。あの時見た血のように鈍く黒っぽい、グロテスクな赤色。


「よかったー、あげはちゃんをこっちに連れてこれたみたい」


「連れてこれたって……まさか」


 頭の中である一つの答えが浮かんでしまう、だがそんな事あり得るのだろうか。


「うんうん、驚くのも無理ないよね。私も同じ気持ちだったし」


 よく見れば……周りの景色もおかしい、何か公園が荒れ気味なような気がする。


 ……やっぱり、そういう事なのか。



 私は再び絶望と崩壊の魔都、影霊が支配する"東京"に迷い込んで……いや、連れ去られていた。

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