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3話 スマートウォッチ型魔法少女デバイス

「魔法少女って、お前なに言ってんだよ!」


 魔法少女ってあれだろ? なんか女の子が変身して敵と戦うってやつ……


「そうです、その魔法少女です」


 思考を読むな。


「なんで私が……」


「未来に飛んでこれる人間なら適性はあるはず……ともかく! えいっ」


 パチン


 ……って、こいつ俺の左腕に勝手に取り付けやがった!


『起動確認、魔装憑着システムをダウンロード中……1%……』


 うおっ! 声が!


「おい! なんかダウンロードしてるぞ!? なんだよこれ!」


「いちいちうるさい人ですね……!」


 面倒くさそうな表情を見せる彼女。


「あなたが喧しいせいで先程の雑魚が周りに集結しています、まあチュートリアルにちょうどいいでしょう」


 なんだよチュートリアルって、ゲームじゃないんだぞ。


 私は外に視線を向ける。先程の土人形の様な物体がユラユラとしながら廃コンビニを取り囲んでいた。


「マジかよ……」


 と、その時。腕に巻き付けられたスマートウォッチから『ダウンロード完了、インストールを開始します』の音声が流れた。


「ど、どうなってんだよこれ……」


『インストールを完了しました、システムを起動します』


 おい、なんか勝手にソフトが立ち上がり始めたぞこいつ……


「っ!」


 そうして、そのスマートウォッチは眩い光を放つ。思わず私は目を瞑ってしまった。


「────は、はぁ!?」


 数秒後、光が収まったようなので目を開けてみる。身体に少し違和感を覚えたので見てみると──


「なんだよこのヒラヒラした服は!?」


 いつのまにか、全く身に覚えのない服を着ていた。黒を基調とし、何処か忍者のような装いながら短くフリルがついたスカートが印象的だ。


「おー、発現したのはアゲハですか!」


 アゲハ……? こいつ何を言って……


「おい! ちゃんと説明を──」


「ごちゃごちゃ言ってないで! ほら来ますよ!」


 と、気がつけば土人形は廃コンビニの中に入り込んできていた。


「なっ……」


 これヤバくないか……


 そして、こちらの様子を伺っていた土人形の一体が突っ込んできた。


 襲いかかってくる土人形、私は無我夢中でソイツに蹴りを入れた。


 ドッゴォォォォン!!!


 と、派手な音を立てて土人形は吹き飛ぶ。


「は……?」


 いや確かに勢いよく蹴ったけど、そこまでか……?


 土人形は後ろにワラワラと湧いていた仲間を巻き込む、その結果奴らはパラパラと虚しく土くれとなり崩れ去っていった。


「ひゅー! さすがですね!」


 茶化してくるスティーブン。


「これが俺の力だってのかよ……」


 魔法少女、私が? 全く実感が湧かないけど……


「おや、まだ生き残りが……せっかくなんで固有武器を使ってみてください!」


 固有武器? そんなものがあるのか?


「何処にあるんだよ」


 私がそう聞くとスティーブンがこちらに寄ってくる。そうして……


「んぁっ……! なんだよ! 変なところ触るな!」


 いきなり腰の辺りをサワサワされた。こいつ痴女か?


「んー……ないですね、あ! こんな場所に」


 と、私の胸の辺りをまさぐる彼女。


「やめろって……ひゃん!」


 彼女は露骨に胸を触りながら、服の胸元についていた蝶のような飾りを外した。


「はいどうぞ」


 それを渡してくる。武器って……ただのアクセサリーじゃないのかこれ?


 私はそれを受け取る。するとパチンという音をたてて刃がちょうど羽根の外側に刃が展開された。


「あっぶね、手切るとこだった……これ手裏剣か?」


「の一種ですね、ほら、向かってきますよ! 投げてみてください、あれを切り刻むイメージを強く持って」


 イメージ? まあとにかく言われた通りにやってみよう……


 私はのそのそとこちらに向かってくる土人形に向か蝶のアクセサリーを手裏剣を投げるように振りかぶり、投げる! そしてイメージ……


 スパン──と軽快な音を立ててカーブを描き飛んでいく手裏剣、土人形はイメージ通りザクザクと切り刻まれる。


「うおっ……すげえ」


 土人形は崩れ去る、そうしてブーメランのように戻ってきた手裏剣を上手くキャッチする。


「あっぶね……あれ? 刃が引っ込んでる……」


 戻ってくる時は手を切らないように設計されているのだろうか。


「お見事です!」


 キラキラした目で私を見るスティーブン。


「お、おう」


 土人形はもういない、危機は去ったのだろうか。


『システムエラー、再起動します』


 と、突然スマートウォッチから音声が流れる、すると私の着ていた服は光を放ち……やがて元着てきた学生服に戻った。


「ありゃ、まだ力が安定していませんね」


 スティーブンは私をジロジロと見ながらそう言った。


「力って……今のは何だよ!」


 私は彼女に問い詰める。


「うーん、まともに説明しようとすると一時間くらいはかかりますけど」


「手短に頼む」


 長い話は嫌いだ。


「わかりました、この世界はいま影霊(ファントム)と呼ばれる魔物が跳梁跋扈しています、魔法少女は影霊に対抗出来る唯一の手段です」


 影霊? さっきの土人形どもみたいな奴の事か?


「あなたは過去から来たそうですね、なら都合がいい、あなたは今から過去に戻りこの最悪の未来を変える為に働いてもらいます!」


 ……私が、未来を変える?

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