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25話 影霊たちの饗宴

「このドローンは偵察、戦闘支援、隠密活動……なんでもこなす私の虎の子……」


 霧はドローンを愛おしそうに撫で撫でする、よっぽど気に入っているみたいだ。


「あれ、とんでもない距離まで飛んでいくからなぁ」


 と、灯。とんでもない距離とはどれくらいなんだろう。


「沖縄まで飛ばした事あるわよね」


 ……それは最早ドローンを超越しているような気がする。


「私の魔力が尽きない限り、航続距離は無限……」


 霧がどうやって私達の戦いを見て、記録に収めてるのかようやくわかった。あれ使ってたんだ。


「話を戻す……百合々咲はいま微妙な状態にある……」


 脱線した話題を強引に路線に戻す霧。


「それなんだけど、私はなんも感じなかったぞ? あげはは?」


「んー、私も特に変な感じは無かったと思うけど」


 そんな変な状況になったら私達なら気がついているはずだ。


「それもそのはず……あそこが揺らいでいるのは夜の間だけ……」


 夜の間? 一体どういう事なのか。


「昼……あげは達がいる間は全く異常がない現……だけど夜、学園が守衛さんくらいしかいない時間、百合々咲は変貌を遂げる」


 そこまで霧が説明すると、雫が何か思い当たりがあるような表情で霧の近くに寄る。


「霧姉、ちょっとデータ見せて」


「ん……ほら」


 モニターの一つに観測データと思わしきものが映し出された。


「やっぱり、これ前にも戦った事あるわね」


「うん……あの時と同じタイプ」


 二人の会話を聞いて灯も「あー、あれか」と反応をする。


「ちょ、私だけ仲間はずれ?」


 どうやら以前に戦ったことのある相手のようだ。だけど勿論私には心当たりがない。


「影霊の中には特定の時間帯を好む種類がいるんだよ、今回は夜が好きなタイプってわけ」


「へー……」


 そんな変わった影霊もいるのか。


「そいつらは気配を消すのが上手……だけど私の目からは逃げられない……観測機を飛ばして正解だった……」


 と、霧。


 気配を消す……だから反応が朧げだったのか。でも霧のレーダーからは逃れられないようだ。


「集めた噂から考えると……大体午前0時あたりが怪しいわね」


「じゃ、その辺りに学園に行けば会えるな」



〜〜〜〜〜〜〜



 そうして深夜、私たちは学園近くに出向く。


 人通りが少ない小さな小道で準備を進める。


「霧姉、どう?」


『反応あり、もうそろそろ出てきそう』


 霧の声、彼女はいつも通り自分の部屋から指示を出してくれている。


 私はチラリと上を見る。少しだけ空間が揺らいでいるのがわかる。


「気が付かなかった……いつもああやって見てるんだね」


 あれは霧の使い魔のドローンだ、光学迷彩機能も備えているらしい、稼働音もほとんど聞こえない。そりゃ気が付かないわけだ……


「どうやって入るの?」


 私は少し離れた学園を見る、所々電気がついているフロアが見える。


 学園はもうとっくに閉まっている時間帯だ、いくら生徒とはいえこんな夜中に入ることはできないだろう。


「霊道使ってもいいけど……この距離なら飛んだ方が早いな」


 と、飛ぶ?


「退魔巫女って羽生えるのか?」


 そんな話聞いたことないけど。


「何を馬鹿言ってるの?」


 そう呟くと、雫は地面を踏み込み……側のビルに向かって大きく跳んだ。そうして壁に着地、その勢いのまま隣のビルに跳ぶ……


 壁キックを繰り返し簡単にビルの屋上へと登ってしまった。飛ぶじゃなくて跳ぶだったのか。


「どんな身体能力してるんだよ……」


「ウチらならあれくらい余裕だろ?」


 そう呟くと、灯も同じようにして楽々とビルの屋上へと登っていく。


「ど、どうしよう……出来る気がしない」


 確かに、退魔巫女状態だと身体能力がかなり強化されている気がする。


 でも私不器用だし、あんな器用なマネ無理無理無理……


「なら、私の力使います?」


 スッと揚羽が現れる。


「え?」


 そうして私の手元に小さなハンドガンの様なものが現れた。


「なにこれ?」


 大きさ的には……グロック18C(愛銃)の半分以下の大きさだった、とても小さい、所々に蝶の飾りが付けられていてとてもオシャレだ。


「魔力で生成したワイヤーチェーンを射出できます」


 なるほど、これで高いところに登れと、緑色の服を着ている剣士みたいに……


「そっちの方が難しそう……腕とか耐えられるのか?」


「私の力である程度の反動は抑えられます、それに退魔巫女って、案外頑丈な身体してるし大丈夫です」


 んな適当な……まあやるしかないか。


 私は空に向かいハンドガンを掲げる。撃てない……あ、安全装置(セーフティー)ついてる。


「そりゃっ」


 私はそれを外しトリガーを引いた。空に向かって黒い線が描かれる。


「ワイヤーはコントロールできます、イメージしてください、巻き取るときはもう一度トリガーを押してください


 私は言われた通り、ビルの壁面に引っ付くイメージを思い浮かべた。するとワイヤーはおもいっきり壁に突き刺さった。


「おい、刺さっちまったぞ……大丈夫かあれ?」


 他人のビルに傷を入れてしまったぞ……


「あれはイメージです、わかりやすくしているだけで実際は魔力により固定されています」


 なるほど、わかりやすいなぁ……


 そして再びトリガーを引く、身体が空に持ち上がる感覚。


「うわぁぁ……!」


 そうして気がつけば屋上へとジャンプしていた。着地に失敗して転んでしまう。


「いてて……」


「何してんだよ、遅いぞ!」


 と、灯。待たせてしまった様だ。


「いや、ごめんごめん」


 それにしても……これ、使えるな。


 手裏剣に続きまた一つ役に立ちそうな固有の武器を手に入れた私であった。

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