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24話 ラップ音って、そっちのラップじゃないから

 と、その時だったスマホからメッセージの通知音が鳴る。私はカバンから取り出して画面を見てみる。メッセージは霧からだ。


『幽霊』


『興味深い情報』


 前々から薄々思ってたけど、あいつ絶対このスマホに何か仕掛けてるよな……


 色々と言いたい事はあるけど、ひとまず幽霊について返信する。


『なんで?』


『この前から百合々咲にはほんの僅か、一瞬だけ影霊の反応が出ることがあった』


 私はスマホの画面を灯にも見せる。


「え〜、マジで……?」


 私は『もっと詳しく』と返信した。もう少し詳しい事情を知りたい。


『反応が薄すぎるから、私の(レーダー)にはほんの薄らとしか映らない。本当に影霊か確証ないから言ってなかった』


 霧の索敵範囲はおおよそ関東一円に及ぶ。その中でも普段は特に出現が多い東京二十三区に絞って警戒をしているらしい。


「反応が薄いかぁ……なんか気になるなぁ」


「霧の情報は外した事ないからな、なんか俄然怪しくなってきたな」


『私の目はイージス艦のSPY-1レーダーの様に正確で優秀(`・ω・´)v』


 例えがマニアック過ぎるよ霧……


「幽霊の噂っていつからあったの? 私さっき初めて聞いたけど」


 灯にそう聞いてみる。


「私も、二日前くらいにちょこっとそんな話聞いたような……それ以前にそんな噂は聞いたことない」


 ごく最近。それもここ二、三日くらいの間で産まれた噂という事だろうか。


『とにかく情報が欲しい、二人とも調査よろしく( ̄^ ̄)ゞ』


 調査かぁ、取り敢えず幽霊の話を学園内で聞いて回ればいいのかな。


 そんなこんなで幽霊……もとい影霊についての情報集めが始まったのであった。


〜〜〜〜〜〜〜



「夜中に音楽室からピアノの音が聞こえるんだって! ちなみに聞こえたのは"Wild Weasel"の新曲らしいよ!」


「夜遅くに人体模型の骸骨がブレイクダンスを踊ってるの見た人がいるとか……」


「深夜に誰もいないトイレからお弁当の匂いがしたって聞いた!」


「夜の0時くらいに教室からラップ音が……ところでラップ音ってどんな音? Yo!Yo! って感じ?」



〜〜〜〜〜〜〜



「見事にバラバラだね……噂」


「あ〜……まともな話が出てこない……」


 疲れた様子で机に突っ伏す灯、気持ちは大いにわかる。


「誰だよこんな噂流してるの……」


 学園内で聞き込みをした結果、出てくるのは聞けば聞くほど全く違った内容の噂だった。


「あれかな? 人から人に伝わるうちに内容が変化していくっていう」


 二、三日でここまで変形してしまうのかという疑問はあるけど……


「それにしちゃバラバラすぎでしょ、最早原型が想像つかないぞこれ」


 確かに、元の内容を特定するのはかなり厳しそうだ。


「共通するのは……みんな"夜"だよね、そこは全部一緒だった」


 夜中、夜遅く、深夜、夜の0時……ニュアンスの違いはあれど全部の噂は"夜"だった。


「そりゃな、だって幽霊って大体夜に出るもんだろ?」


 まあ、イメージ的にはそうだけど。


 と、その時ピコン! とスマホが鳴る。多分霧からだろう。


『情報集めおつかれ、二人とも学園終わったら私の部屋に来て』


「…….だってさ」


 灯にもそのメッセージを見せる。


「やれやれ、霧は人使い荒いなぁ」


 そう言いながらも、灯は嫌な雰囲気は見せない。灯は霧の事はかなり信頼しているらしい。


 まあ、霧の情報はとにかく正確、指示も優秀。情報支援役としてこれほど申し分のない存在はいないだろう。


 ……雫とも、もうちょい仲良くなってくれればいいのになぁ。



 そんなこんなで放課後、私は灯と一緒に探偵事務所に。


「あ、帰るのめんどくさいからあげはの部屋に泊まっていい?」


 え、ちょ、さらっととんでもない事いうなこの娘。


「いやいや、私の部屋狭いし、男女が同じ部屋って……あ、私も女だった……」


「何ぶつぶつ言ってんだ? いいだろ別に」


 いいのかなぁ……まあ、女同士だしいいか。うん、問題ないよね。


「おーい、霧〜? 来たぞー!」


 そうして、私と灯は霧の部屋入る。


「相変わらず暗くて散らかってるな……って、雫。アンタもいたのか」


 部屋には雫もいた。


「ええ」


 と、短過ぎる返事をする雫。二人の間にはまたまた微妙な空気が流れる。


「換気した方がいい……?」


「冗談言ってないで。それで、なんでみんな揃って呼び出したの?」


 私が霧にそう聞くと、彼女は得意げな様子で椅子を回しこちらを向く。


「幽霊の正体がわかった……」


「ホントか?」


 灯が聞き返す。幽霊の正体……一体なんなのだろうか。


「まず、学園を騒がせているのは間違いなく影霊……それは確実」


 まあ霧のレーダーに反応があるならそうなんだろうけど。


「今、百合々咲は朧と現の境界が曖昧な状態にある……さっき使い魔を飛ばして観測してきた……」


 そう言いながら、霧は手元に置いてあった小型のドローンを撫でる。


「使い魔……? そのドローンが?」


 使い魔という言葉のイメージからかけ離れているんだけど……


「あれ、あげはお前使い魔の事知らないのか?」


 灯が驚いたような表情で私に聞いてくる。いやいや、使い魔って何? マジで聞いた事ないんですけど。


「退魔巫女はそれぞれ固有の使い魔を召喚できるわ、それは生き物に限らず……個人のイメージによって様々な姿に変化するのよ」


 冷静に説明してくれる雫。


「揚羽さん? 私何も聞いてないんですけど」


 私はそばにいるであろう揚羽を問い詰める。


「そりゃ聞かれませんでしたから」


 ……このツンデレ姫神が!!

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