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18話 朱鷺

「そういえば、霧も退魔巫女なんだっけ」


 私がそう聞くと彼女はデスクの上に置いてあった、綺麗な桃色をした勾玉を私に見せる。


「私の力は……索敵、情報支援、攻撃誘導……いわばAWACS……」


 そうして、彼女はそれを握りしめて小さく「姫神朱鷺(とき)……来て……」と呟く。霧の身体は綺麗な桃色の光に包まれ……気がつけば彼女は退魔巫女装束を纏っていた。


「どう……?」


「え? ああ、うん。かわいいよ? 似合ってる似合ってる」


 霧の退魔巫女装束は雫のとも似通っていた。違うのはカラーリングくらいだ。雫は青と白だけど霧は桃色と白だった。


 そういうのは姉妹だから似るのだろうか?


「それにしても、姉妹揃って退魔巫女とは……」


「別に珍しい話じゃないわよ、私達二人とも北條の直系なんだし」


 雫が「何を当たり前のことを」みたいな態度でそう返してくる。


「やっぱり、四天王の家に生まれてないと退魔巫女になれないのか?」


 気になっていたことを聞いてみた。


「基本的にはそう……」


 そうして霧は四つの家について詳しい説明をしてくれた。


 現在、東京をはじめとするこの関東地方は四つの家により影霊から守られている。その歴史は江戸時代にまで遡る。この地は昔から影霊が集まりやすい土地だったらしい。


 そこでかの徳川家康は江戸幕府を樹立する際に全国から退魔の力を持つ四つの家を江戸に集めた。この四つの家が北條、西嶋……そして残り二つが南野と東坂という家らしい。


「退魔巫女はバリバリの世襲制だから……まあ、あげはみたいな例外もいるけど……」


 いつの間にか変身を解除していた霧の答えに私は少し考え込んでしまった。


 私は例外……か。確かに記憶にある私の家は普通で家系がどうのなんて話は聞いたことがない。


 もう元の名字も思い出せないけど。多分関係ないと思う……


 私が退魔巫女になったのは偶然未来に迷い込み、スティーブンに無理矢理されてしまったからで、そこに家がどうのみたいなモノが存在するとは思えない。


「案外、あげはもどこかの家の遠縁だったりして……」


 冗談めかしくそんな事を言ってみせる霧。


「はは、まさか」


「……とにかく、アナタは変身方法からして特殊だし、そんな腕の機械で変身なんて聞いた事もないわ」


 私の腕のついているスマートウォッチに視線を向ける雫。確かにみんなの変身道具に比べて私のだけやたらハイテクな感じがする。


「それは高度な技術の産物……少なくとも今の技術や知識で再現できるモノじゃない」


 まあ、そりゃそうだろう。八年後の世界で貰ったモノだし。


「とにかく、今日の戦い方でアナタの実力がわかったから、灯に先を越されるなんて……これから私が厳しく色々と教えてあげるわ」


 ちょっとだけ楽しそうな雫。


「ほ、北條さん……? お手柔らかにお願いします……」


「さっきから気になってたんだけど、なんで霧は名前呼びなのに私は名字?」


 と、唐突に名前の事について突っ込まれた。


「いや……それは……」


 この一週間くらいで霧とはそこそこ親しくなった。なんとなく陰キャ同士気が合うというか。


 雫も悪い娘じゃないというのはわかってるけど……なんとなくまだ距離があるような気がする。


「じゃあ、雫、よろしく」


「ええ、よろしくあげは」


 これで、少しは私と雫の距離は縮まったのだろうか?


「……あ、やばい私、今日バイトだった」


 完全に忘れてた。紫電さんに怒られる……!


「じゃあな! 私バイト行くから!!」


 そうして私は部屋を出て一階に向かった。一階へ降りるエレベーターの中、私はモニターに映ってた戦闘の様子を思い出し、ある疑問を抱いた。


「そういえば、結局私何であの時は変身できたんだろう……」


 姫神揚羽は私の事を認めていない様子だった。幾ら試しても変身出来なかったのは多分それもあるんだろう。


「ヤバい時になったら流石に力を貸してくれるのかな」


 あの娘も結構なツンデレなのかもしれないな……



〜〜〜〜〜〜〜



「ありがとうございました〜」


 去っていくお客さんに頭を下げる。


「はぁ……ここの店、結構繁盛してるよなぁ……」


 “SHIDEN KAI”……ここの洋菓子店って割と人気があるお店みたいで、今は落ち着いてるけどさっきまではかなりのお客さんが来ていた。


 私はショーケース内のケーキなどを確認、もう殆ど残ってない。


「あげは〜、今日はもうめんどくさいから店閉めるわ。余ったケーキ持って帰っていいよ」


 と、紫電さんはこんな感じでかなり適当なんだけど、パティシエとしての腕は確かみたいだ。


「そういや、霧に聞いたけど今日学園近くの駅で影霊と戦ったんだって?」


「はい、まぁ」


 霧のやつ、紫電さんにも報告してるのか。


「データ見せてもらったけど、お前のスタイルならもう少し距離を取って……」


 その後、紫電さんは戦闘について幾つかのアドバイスをしてくれた。


「ありがとうございます……ってか紫電さんってホント何者なんですか? 普通のパティシエじゃないですよね? “あんなモノ”も普通に手に入れられちゃうみたいですし」


 真鶴さんと同じ研究所にいたとか言ってたけど、明らかにそれだけじゃないような気がする。


「女の子の過去は探るものじゃないわよ♡」


 ツッコんだ方がいいのだろうか、これ……

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