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16話 蝶の羽ばたき

「すみません、道に迷ってました」


 今は丁度四限終わり昼休みの時間だ。結局あの後適当にだらだら時間を潰してたらこんなに大遅刻になってしまった。


 私は職員室に行き事前に聞いていた担任の先生の机に向かい遅れた事を謝る。


「どれだけ迷ってたのよ、まあ……初日だし仕方ないけど、それでなんで西嶋さんも一緒なの?」


 担任の女性の先生は困ったような様子で訪ねてくる、私の隣には灯もいた。


「いや、灯さんも遅刻してたので一緒に来ただけです」


「そうそう、駅で会ったんだよ」


 適当に誤魔化しておく。


「はぁ、まあいいわ……丁度次の時間うちのクラスで授業だしその時にみんなに紹介するから」


 なんともタイミングの良い時間に来たようだ。


「あ〜、西嶋さん。丁度いいからお昼休みの時間で軽くこの学園を案内してあげて」


「えー……まあいいけどさ」


 そんなこんなで灯に引き連れられ職員室を出る。


「学食行こうぜ学食、そこだけ案内しとけば十分だろ」


 なんとも適当な案内だなぁ……



 学園内はなんというか、凄くオシャレな感じだった。外見からして何か洒落た近代美術館みたいなデザイン、さすが私立。金がかかってそうだ。


「はい、ここ食堂ね」


「すげぇ……」


 広い、そしてスカイラウンジみたいな良い雰囲気。


 食堂内は賑わっていた、まあそりゃお昼時だし当たり前か。


「あれ、灯? また遅刻?」「隣の娘誰〜? 新しい彼女!?」


 と、そんな感じで灯はしょっちゅう親しげに声をかけられていた。誰とでも仲がいい……灯って性格から何となく感じてたけど生粋の陽キャタイプみたいだ。


「はぁ、私は灯が羨ましいよ……」


「ん? 何の話?」


 そんなくだらない会話をしながら食券を買いカウンターに並ぶ。


「あ、そうだ。そういえば。ほうじょ……あ、私も北條か……雫も同じクラスなのか?」


 担任の机の上にあったクラスの名簿、チラリと雫の名前が見えた様な気がしたので聞いてみた。


「あ〜、そうだよ。アイツも同じクラス、でも雫ってあんま学校来ないからなぁ」


 確かに、この一週間ほとんど学校に行っている様子はなかった。大体探偵事務所にいたり、時たま思い出した様に外にでたり……


「雫ってさぁ、なんか結構当たりがキツい感じじゃん? それでクラスの奴らと色々あったんだよ」


 ……なんとなく状況が想像出来てしまう様な気がする。


 でも雫ってなんだかんだ優しい所があるというか、そんなツンツンした奴でもないと思うけどなぁ。



〜〜〜〜〜〜〜〜



「えーっと、北條あげはです……よろしくおねがいします」


 クラスメイトが私に注目してる、しかもみんな女の子、はぁ……緊張するってレベルじゃないや。


「一年の五月に転校とか……訳あり?」「北條って……あの人の妹さん?」「あげはちゃんかぁ、かわいいね」「ダメだって、灯の彼女なんだって」


 みんなのヒソヒソ声が聞こえる。っていうか最後! どうしてそんな事になってる!?


「はいはい静かに、じゃあ北條さんはあそこの席ね」


 と、指をさされたのは窓側一番後ろの席。アニメとかの主人公の定位置じゃん……って、隣の席灯じゃん。


 私は自分の席に向かう。


「や、偶然偶然」


 手をひらひらさせて面白そうな様子を見せる灯。


「うん、そうだね……」


 ……なんだか騒がしい高校生活になりそうな予感がしてきた。


「は〜い、じゃあ授業はじめるから」


 と、担任の先生は黒板に書いてある私の名前を消して授業を始める。


「……?」


 ふと窓の外に何かの気配を感じたので外を見てみる。


「蝶?」


 アゲハ蝶がひらひらと飛んでいた。こんな都心のど真ん中で見かけると違和感あるな……



「なぁ、お前の姫神ってどんな娘?」


 授業が始まり十分くらい経った頃、隣の灯が小声で唐突にそんな事を聞いてきた。


「それがわからないんだよね……私ってかなり特殊なケースらしいし」


 なにせスマートウォッチで変身するからね。何というハイテクっぷり。


「へぇ、そんな事もあるんだ……」


「灯の姫神ってどんな娘なの?」


 気になったので聞いてみる。


「今度紹介してあげるよ……なぁ、授業つまんねーし抜け出さない?」


「え?」


「先生! あげはが具合が悪いみたいなので保健室連れてきます!!」



〜〜〜〜〜〜〜〜



「うわー、広いなぁ」


 授業を抜け出しやってきたのは学園の屋上。広々とした開放感がある場所だ。


「だろ? ここ私のお気に入りの場所」


 なんだか得意げな様子の灯。


「あー……なんか喉渇いた。ちょっと待ってて、私自販機でジュース買ってくるわ」


 そうして灯は連れてきて早々に屋上を去って行く、忙しい娘だなぁ。


 私は静かな屋上に一人取り残される。


「……」


 柵越しに周囲の景色を見る、周りには背の高いビルが林立している。


「ほんと、都心のど真ん中って感じだなぁ」


 そんな事を考えていると、ふと誰かの気配を感じた。灯が戻ってきたのだろうか。


「灯?」


 だが待ってみても戻ってくる様子はない。灯じゃない……のか?


「はぁ……まったく、こんなのが私の主だなんて……」


「だ、誰だ?」


 声のする方向を振り返る、声は上の方からした。


「……アゲハ蝶?」


 柵のてっぺんに蝶が止まっている、先程の蝶だろうか。


 その蝶はヒラヒラと私の元に飛んできた……そうして、私の目の前に着地。


「……え?」


 蝶がキラキラとした光に包まれる、そうして気がつけば蝶は消え……可愛らしいロリっ娘が現れた。


「いや……きみ誰!?」

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