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13話 波乱ずくめの転校初日

 それから数日。何故か怪しげで物騒なケーキ屋さんでアルバイトしたり。身の回りの必要なものを揃えたり。地下の射撃訓練場で銃を撃たせてもらったり、再び変身できる方法を模索したりと色々な事をした。


 その間も雫は学校に行ったり行かなかったり、三日に一回くらいは影霊が出現してその対処に行ってたりした。


 影霊って結構な頻度で出るみたいで結構忙しそうだった。



 そうして六日後、明日は初登校の日だ。私はソファーに腰掛けながら学校のサイトを見る。


 因みにこのスマホ、霧から貰ったものだ。


 彼女はガジェットオタクらしく何台もスマホを持っていた。意外と優しいところもあるもんだなあの娘。


「私立百合ヶ咲学園高等部」


 なんだか如何にもお嬢様学園みたいな名前だ。


「しかし……女子校かよ」


 都心の一等地に存在するらしく、外見は如何にも現代(モダン)風でオシャレな感じだった。


「んー、女の園に元男が……やっていける気がしない……」


 不安で一杯だ。マジで緊張してきた……


 私はスマホの画面を落とし、チラリと壁にかかっている制服を見る。


 百合ヶ咲の制服は上品なセーラーワンピース、雫が来ていたものと全く同じだ。


「あんな可愛い制服、私が着るのか……」


 未だに慣れない、身体は完全に女の子なので全く着ても問題はないはずなんだが……やはり心はまだ男。気恥ずかしさが勝ってしまう。


「恥ずかしいと言えばケーキ屋の制服も大概だよなぁ……」


 ケーキ屋の制服は、なんかメイド服みたいな感じで若干コスプレ衣装がかった感じだった。


 紫電さんはそんな恥ずかしがる私を見ていつもからかってくる。


 バイトのたびに羞恥プレイみたいな状況になって大変だ。


「はぁ、新しい生活に慣れるのも大変だなぁ」


 ホント色んな意味で……



〜〜〜〜〜〜〜



 そうした翌日、スマホのやかましい目覚まし音で叩き起こされる。


「ふぁ〜、眠い……」


 今日から学校だ。私はベッドから起き上がる、寝ぼけ眼をこすりながら洗面所に。


 顔を洗い歯を磨き洗面所を出て事務所に向かう。


「うぃ〜……」


 事務所のドアを開け適当な椅子に座る。柔らかな朝日が差し込む事務所内には香ばしいコーヒーの香りが漂っている。


「私にも淹れてください〜……」


 コーヒーを淹れていたのは雫のようだ。


「はいはい」


 面倒くさそうにしながらも、なんだかんだ私のリクエストに答えてくれる彼女。


 そうして私の元に淹れたてのコーヒーが運ばれてくる。


「ありがと」


 私はカップを手に取る、コーヒーのいい香りが漂ってきた。


「ミルクと砂糖は?」


「いらない」


 カップに口をつけ、一口飲む。苦い……だがこの苦さがたまらない。


「真鶴さんは?」


 部屋を見渡すか彼女の姿が見当たらない。いつもそこの大きめの応接用ソファーで寝てるんだけど……


「さぁ、知らないわ」


 雫も知らないようだ。あの人たまに居なくなるなぁ……どこに行ってるのやら。


「北條さん、今日は学校行くの?」


「今日は行かないわ」


 行かないのか、1人じゃ心細かったから一緒にいて欲しいなー、と思ったたんだけど。


 ……そういえば霧は学校に行ってるのだろうか。あの()、部屋から出てる様子ないしなぁ。



 そんな事を考えているうちにそろそろ準備しなきゃマズい時間に、転校初日だし早めに行ったほうがいいだろう。急いで着替えよう。


「あれ? 北條さんいない、部屋に戻ったのかな」


 気がつけば雫が居なくなってた、それにしても彼女。メチャクチャ学校サボり気味というか。実は結構不良娘だったりするのだろうか……?


「まあいいか、早く着替えよう……」


 私は自室に戻る。壁にかけられているオシャレで可愛らしい制服を見つめる。


「これ、どうやって着るんだ?」


 上から被ればいいのか……?



 そんなこんなで着替えるのに若干手間取りつつも準備を済ませる。


「……よし」


 スカートをピラリとめくり、太ももを確認。


 太ももには銃をしまうホルスターが巻かれている。私はそこにグロックを収納する。


 真鶴さんには、銃を携帯しておく様に言われてる。影霊に遭遇した際の万が一に備えてとの事だ。


「ん〜、セクシー」


 実はこういうの憧れていた、映画やアニメで女の人が太ももにはこういうのを付けてるの……なんか凄くセクシーでカッコ良くない?


 そう思うのはきっと私だけじゃないはず!


 スカートを下ろす、銃は完全に隠れて見えなくなった。


 スカート捲りとかされたら大変だな……まあ大丈夫だと思うけど。



 着替え終えた私は通学カバンを手に取り部屋を出る。


「北條さん〜? じゃあ私は学校行ってくるから」


 ドア越しに声をかけるが反応はない。もしかしていないのだろうか?


 ……まあいいか、そろそろ出なきゃ。えっと、スマホスマホ。


 私は携帯を取り出した、マップを起動し百合ヶ咲学園へのルートを検索する。学園はここから地下鉄で二十分ほど。乗り換えなしで一本でいける。


 マップを確認しつつ事務所を出る……一応鍵をかけておこう。


「よし、じゃあ行くか……」


 女子校……女の子たちの園。はぁ、私やっていけるのだろうか?

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