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開け!サモンズゲート!  作者: カオル
4/5

「元気」悪魔のべいびあかすけくん(3歳)

一応ですが、今のところ誰が話しているのか分かりやすいようにトオルの呼び方を

ユキ→トオル、わん子→ご主人たま、サディック→トオル君、あかすけ→とおる、とバラバラにしております。

読むときの参考にしてもらえると嬉しいです。


日曜日、午前8時。

戸川家リビングにて。


「で、何でお前らは帰らないんだ⁉」


「仕方がないじゃない。挟まっちゃった(・・・・・・・)んだから♡」

そう言ってサディックは自分の胸を両手で持ち上げながらくねくねして答える。


「そうじゃなくて、自主的にだよ!出て来れたんだから本当は帰れるんだろ?」


「「むーーーー‼」」

ユキとわん子は揃って不満な様子をあらわにする。


それは、昨夜のことである…



「た、助かった…ありがとう、ユキ」


「幼馴染として当然のことをしたまでよ!こんな性欲悪魔どもにトオルを襲わせるわけにはいかないし」


「あはは…(こいつも途中まで混ざってたような)」


「なぜ止めるんですか⁉ユキ!」


「こんな不純なの、認めるわけには行かないから!」


「あららら。私の予想通りにはならなかったわね…残念♡」


「おい!サディック!俺をはめやがって!」


「ええ?はめたのはそっちでしょ?私を無理やり部屋に連れ込んで…」


「「⁉」」

わん子とユキが大きく反応する。


「わーーーーー!!!!何言ってくれてんだお前⁉」


「トオル?」


「ご主人たま?」

迫り来る二人。


またニヤリとサディックが笑う。


「あーー!またやりました!こいつが犯人です!」

トオルは半泣きになりながらサディックを指さす。


「私何も知らないけど…?」


「しらを切るつもりか⁉」


「やだ…怖い…」

サディックはわざとらしく弱々しい声を出す。


「トオル?」


「ご主人たま?」

さらに迫り来る二人。


「あーーー‼サディック、お前がいると本当に話が進まねえ!」


「えーーーーー」


「俺を怒らせるなよ?開け!サモンズゲート!」


「ええ⁉ちょっと…トオル君?」

サディックの体がネックレスへ吸い込まれ始める。


「トオル⁉証拠隠滅するつもりなの?」


「そうですよ!ご主人たま!」


「違うっての!ちょっと静かにしててくれない⁉」


「ね、ねぇ…ごめんごめん。ちょっと調子に乗っちゃっただけだって…ね?」

サディックは焦りながらも上目遣いでトオルの方を見ながら顔の前で手のひらを合わせて見てる。


「…」


「え、ちょっとほんとに⁉」

サリックの下半身が完全に飲み込まれる。


ギュム


「お」


「「あ」」


「あ、あれ⁉」

焦るトオル。

その目線の先ではサディックがゲートに詰まって(・・・・)いた。

まあ、どこが詰まったかは言わなくても分かるとは思うが。


「あはは…なんか、ごめん?」


圧倒的な差を見せつけられ、放心状態に入った女性陣二人を目の前にサディックは謝った。



そんなことがあり、結局3人とも隣の部屋で寝ることとなったのだった。


「…別に私帰るつもりないし(トオル君をいじめられるからね)」

サディックは自分の長い髪の毛の先を指でいじりながら答える。


「はい!ちなみに私も帰りませんから!」

わん子は元気に手をあげる。


「はあ…トオル帰らせるのは一旦諦めてそろそろご飯にしない?」

ユキがなんだか呆れたように席を立つ。


「そうだな…なんだかもう疲れたし。朝だけど」


「そういえば、悪魔ってご飯食べるの?」


「はい!いっぱい食べます!」


「しっかり食費がかかるのかよ!」


「本当は食べなくてもいいですけど!」


「おい!」


「私は牛乳とチーズとヨーグルトね」


「注文が多いな!」


「はいはい、出してあげるから…(乳製品ばっか…もしかしてサディックの胸って…いやいや、気にしてないから!)」

ユキは内心良い事を聞いたと思いながら朝ごはんの支度に取り掛かった。



朝ごはんを食べ終わった四人。


「じゃあ私片付けちゃうね?」


「あ、ありがとう。俺も手伝うよ」


「なんですと⁉ご主人たまの共同作業なんて私許しませんから…ああ…あれ…」


バターン

わん子がそのまま床に倒れ込む。


「「⁉」」


「ムニャムニャ…フゴッ…」


「どうしたんだ⁉」


「あらら。多分わん子ちゃんはご飯を食べたらすぐ眠くなっちゃう種族なのねぇ」


「悪魔に種族とかあるの?」

ユキが不思議そうにサディックに問いかける。


「それはもちろんあるわよ。トオル君も気になるんだったら教えてあげないこともないけど…ベッドで」


「お断りします!」


そんな会話の後二人は朝ごはんの後片付けを始めた。


「~♪」


「どうしたの?ここ数日めちゃくちゃなのに機嫌良さそうじゃん」

ユキがトオルの顔を覗き込む。


「ん、確かに…(こんなに賑やかな食事は久しぶりだからかもな…)」


「そう(私のおかげ…じゃないよわね。もしかして悪魔のせいだったり…)」


「でも確かに『元気』でたかも!」

そう言ってトオルは伸びをする。


「…よかった」

ユキは笑顔で返す。


しかし二人の悪魔はその言葉を聞き逃さなかった。


「まあ!あそこも元気ねぇ♡」


「ご主人たま、発情期ですか?」


「あーーー!ちがうっての!ていうかわん子はいつ起きたんだよ!」


「悪魔に睡眠は不要ですから!」


「昨日の夜もさっきも寝てただろうが!何でそこで微妙に見栄張んだよ!」


「はあ…(いい空気ぶち壊しかも…)」

ユキがため息をついたその時である。


ピカー!


ネックレスが怪しい赤と白の光を放つ。


ボンッ


リビング全体に白い煙が立ち込める。


「こんなに早いペースで悪魔って召喚されるの…?」

そのトオルの言葉はなんだか諦めが感じられるものだった


白い煙が晴れた頃トオルの目の前にいたのは体長30センチほどの小さな男の子の幼稚園児のような悪魔であった。

その肌はピンク色、瞳はこれ以上ない宝石のような赤色で、まだ幼さの感じられる紺色の髪の毛の間から小さな角が2本飛び出していた。

そんな可愛らしい悪魔が背中から生えた小さな羽とこれぞ悪魔と言わんばかりの矢印型のしっぽををピクピクと動かしながらトオルの方を見据えていた。


「お、おまえがおでをしょうかんしたにんげんか?」


「う、うん」

トオルは戸惑いながらも会話を始める。


「よろこべ!お、おではな!おではな!『げんき』のあくまなんだじょ!つよいんだじょ!おまえ、なまえをいえ!」


「えっと、トオルっていいます…よ、よろしく?」


「よろしくしてやるじょ!とおる!」


「ありがとう。君の名前を教えてもらってもいいかな?」


「あ、しょっか…お、おでのなまえはべいびあかすけ!」


ガタッ


「「米尾⁉」」

先程まで座ったままだったわん子とサディックが二人の姿を確認し、会話を聞いて立ち上がる。

二人の顔は今までに見たことがないほど真剣そのものである。

それに対してそのファミリーネームの凄さが分からない他二人は頭に「?」を浮かべる。


「ちょっと…ご主人たま…」


「トオル君…」


「「何呼び出してくれちゃってんですか⁉」」


ビクッ

他3人の体が大きく反応してしまうほどの大きな声をわん子とサディックは出す。


「なんなんだよ⁉」


「何?」

トオルとユキが二人して身を乗り出す。


「なんなんだよもなんなんだよもありませんよ!」


「そうよ!」

それ以上に悪魔の二人は身を乗り出して事の重大さを伝えるようだった。


「だから理由を説明しろよ!」


「いいですか?まずご主人たまは二つの理由からヤバイ状況に巻き込まれてます!」


「う、うん…(さっきまで『好き好き大好き悪魔』だったわん子と『ドS変態悪魔』だったサディックがここまで真剣なのってもしかして相当やばい?)」


「まず一つ目の理由はこんなに小さな悪魔を呼び出してしまったことです!」


「い、いけないのか?」


「いけませんよ!悪魔社会にも人間と同じように子供と社会人との区別があるんです!人間で言えば幼稚園児を働かせるようなものです!今頃保護者は大パニックだと思います!」


「それは確かにまずいな…(そういえばデビ三郎も)」


「なんでこんな小さな悪魔をそのネックレスが呼び出せるのかは分かりませんが、普通は呼び出せないはずです!それでも、保護者のいる魔界までこの子を送り届ければまだ大丈夫でしょう」


「でもさらにまずいのは2番目の理由の方よ…」

サディックがわん子の言葉に合わせて話を進める。


「それは…?」


「この男の子、さっき名前何て言ったか覚えてる?」


「べ、べいび?」


「そーだじょ!べいびあかすけだじょ!」


「そうよ!米尾よ!」

サディックの声に力が入る。


「いい?米尾ってファミリーネームは広い魔界でも有名なひとつの一族しかないわ!」


「そんなにすごい名前なのか?」


「米尾は代々魔界騎士団団長を務める超エリート一族。たぶんこの子は魔界騎士団団長の息子にあたる人よ!」


「マジすか?」


「マジよマジ。おおマジよ」


「な、なんでおでのとうちゃんがきしだんちょってしってるんだじょ?」


その時、ユキの目の前の空間が歪み、中から真っ黒な雲が湧きだす。


「な、なにこれ⁉」


「あわわわわ。きちゃった…」

わん子はパニック状態である。


「そうそうトオル。あなたは知らないかもしれないけど、騎士団長ぐらい力のある悪魔なら自力で人間界へ出入りすることもできるから。殺されないよう頑張ってね♡」


「え⁉」


「とにかく、何が起こるかわからないけど私は逃げさせてもらうから」

そう言うとサディックは頭からゲートの中へ潜り込んで行く。


「やっぱり自力で帰れるんじゃねーか!」


「抜け駆けなんてさせませんよ!」

わん子がゲートからはみ出しているサディックの足を掴んで引っ張る。


「止めてーーー!帰らせてよ!」


「嫌です!死ぬときは一緒だって約束したじゃないですか!」

わん子が今までにないほどいい顔をしてサディックに話しかける。


「そんな約束してないわよ!私たち昨日あったばっかりじゃない!見えちゃうから!」


「昨日の敵は今日の友です!ていうかむしろ見せたっていいじゃないですか!減るもんじゃないし!」


「さっきから言ってることの意味が分からないわよ!さっさと離しなさいっての?」


ガンッ


「グヘェ」

ジタバタと暴れるサディックの足がわん子の顔面にヒットし、わん子は床へ崩れ堕ちる。


ギュゴゴゴ

つまりかけの排水溝のような音を出しながらサディックは魔界へ消えていった。


「キャーーーーー!!!!」

そこへユキの悲鳴が聞こえる。


「ユキ!」


ユキの目には黒雲の中から出てくる雷神のような悪魔が映っていた。


その悪魔は、緑色の龍の背にあぐらをかいて乗り、黄色い肌の顔から大きく見開いた黒い瞳の凄まじい眼力でギロリとトオルを見据えていた。


「ヒッ」

わん子は言葉にならない声を上げる。

実際わん子は最下級といってもいいような悪魔であり代々騎士団長を務めるような超エリートの悪魔とは格が違うのだ。


(アーーーーー‼お父様‼すいませんすいません‼)

トオルは心の中で実況する。

しかしトオルを含めたあかすけ以外の三人は凄まじい眼力で動くことが出来ない。


「とうちゃん‼」

あかすけは父親の方へ駆け出す。


その様子を見た黄色い悪魔は大きく両手を広げる。


(ああ、終わった…)そんなことを思いながらトオルは正直ちょっと漏らした。



次回へ続く



・おまけ・

「なあ、わん子。魔界騎士団団長ってお前らより強いのか?」


「当たり前です!めちゃめちゃ強いです!」


「それってどれくらい?」


「5万ドラゴンぐらいです」


「いや全然知らない単位でできた⁉」


「1ドラゴンは魔界の一般的なドラゴンの強さが基準です」


「魔界の一般的なドラゴンの強さなんて知らないんだけど⁉…騎士団長はドラゴン5万匹分の強さってことか?」


「いえ、1ドラゴンは5秒間にドラゴンを何匹倒せるかです」


「……それめっちゃ強くね?」


「めっちゃ強いです」


「ちなみにわん子は?」


「3ドラゴンです」


「…(まじかよ)」


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