第二話 12:00より前は早朝さ☆
週に一回更新を予定しておりますが、毎週できるかわからないのであまり期待しないでください。
「WI-FIねえとか終わってんなぁ」
窓からは爽やかな風が吹き込み、鳥が鳴きぽかぽかとした陽気に包まれて、起きているのか疑うほどに大声で寝言を言いつつ眠りこける習真であった。
現在の時刻は7:30、普通の学生ならば起きていても全くおかしくない時間であったが、引きこもりにはまだ早朝。起きるわけもなかった。
ドンドンドンッ!
乱暴にドアを叩く音がする。しかし習真は全く反応せずに眠り続けている。
「起きろ!何時だと思っているんだ!」
「ほへ?まだ12:00じゃないだろ?ならば早朝だから寝る。」
とても学生とは思えないセリフを残してまた夢の中へと帰っていく。
呼びにきた兵士も痺れを切らしたのか、バゴォン!と、派手な破壊音をたてて、部屋に侵入してくる。
「いい加減起きろって、言ってんだろバカがァ!」
「うわっ!?なんで僕の聖域に他人が居るの!?」
「ごちゃごちゃ言わずにとっとと訓練場に来い!お前以外はとっくに全員集合してるぞ。」
「え?こんな朝早くからなにするのさ。まあ、着替えるからでてってくれよ。」
「訓練場は突き当たりを左に曲がった場所だ。ちゃんと来いよ。」
そう言い残し、さっさと走り去って行く兵士。
「おいドア直してくれよ。外から見えるとか誰得展開だぞはよ直せ。」
「チッ。聞こえてねぇか。まあいいや。二度寝しよーっと。」
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「一人寝坊してまだ来ていないが訓練を始める。勇者として召喚された人間には、聖剣を呼び出す能力があるらしい。念じると出てくるからやってみてくれ。」
勇者達の手のに光が集まり、一人一人違った形の剣となっていく。その光景はとても美しく神秘的であった。
「うっ、眩しい!?聖剣の召喚に成功したのだな!聖剣には所持者の能力を格段に引き上げる力が備わっているらしいぞ。聖剣があれば勇者として戦うための力は充分。剣の使い方を覚えたら、君たちは近くの村に派遣される。そこでモンスターと戦ってレベルを上げるのだ。」
「レベルやモンスターについては後でまた教わると思うから今は剣を使うことを意識してくれ。」
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共に召喚された生徒たちが汗を流して猛特訓している間、習真は涼しい自室でゲームしていた。
「WI-FI無いのは辛いけど携帯ゲームあるからそこまで暇にはならなそうだ。それにしても異世界もののテンプレをまったく踏んでないな。僕は主人公じゃないにしても王女がいないなんて異世界らしくねえや。」
「訓練場で話してる人声でか過ぎやろ…50mはあるのに余裕でここに聞こえてるし。」
習真の独り言は止まらない。大人数とは無理だが、一対一ならちゃんと話せるし、しゃべるのは好きだからである。
「ふむふむ。念じれば聖剣出てくるのか。我が聖剣よ!その姿を表せ!それっぽいこといっとけば出てくるべ。」
しかし、なにも起こらない。
「おいおい、ちょっと待てよ。いくら僕が勇者っぽくないからって聖剣出せないのバレたらマズイって…」
習真はここに来てやっと慌てる。そして一応優秀な脳を働かせていく。
「そう言えば僕が読んでいたラノベにはステータスがあったなぁ。試して見ようかな。」
と、考えたちょうどその時に、
「おいお前まだいたのかよ!?訓練場に行けって言っただろ。」
先程の兵士が再び部屋に確認しに来たのである。
「ほら、行くぞ。いくら勇者とはいえ、訓練しないと戦えないからな。」
習真は悩んでいる。聖剣を出せないことがバレたら非常にマズイことになる。しかし、ここまで言われて行かないのも不自然である。
「しょうがないなぁ、そこまで言うなら行ってあげるよ。はあダルい。」
しぶしぶといった形で、のんびりと歩いていく。
聖剣は出ない。何度念じようと無反応だ。小声で呟いたりもしたが効果がない。
「僕のまったり異世界ライフはどこに行っちゃったの??」
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