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一人称”僕”は人外娘の仲間が欲しい  作者: クイックしずく
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そして僕は

 数週間後私は現状を理解したくないが理解した。


 まず自分が赤ちゃんになってなぜか人生のやり直しをしている。


 次に、自分の住んでいる場所はメイドや執事が大勢住まうことができる家に住んでいる。


 そしてこの世界には人外が存在している。


 それぞれ種族として分かれており、神、魔、機械、海、幻獣、獣など多種多様に存在し、その人外とは別の存在として人族が存在している。


 数十年前、この人間と一部の人外とで戦争があり、それに人間が勝利をした。


 結果、人間有利の和平条約を結ぶことになり、敗戦した種族は性・労働奴隷などになった。


 もちろん人権もとい人外権はあり、法律的には守られる存在であるが、電車での痴漢冤罪の如く、男性よりも女性の方が法律的に強い存在と同じように、法律はあって無いようなものみたいだ。


 だがそんな人外が好きな人もいるらしく、別国では国の皇子が海族の女性と婚約を結び法律まで改定されるようになったそうだ。


 そういった国では人とは異なる存在であるそれを人間と同様に扱っていることを歴史書で学んだ。


 ちなみに自分の住んでいるリプリ帝国は可愛い名前とは裏腹に先の戦争で中心国だったため人外への尊厳自体がないに等しい。いわば道端に転がっている石ころと同じ存在なのだ。


 同国出身の僕の両親も人外嫌いかというとそういうわけではないみたいだ。


 生まれたばかりの赤子を取らせるぐらいだから少なくとも偏見はないのだろう。


 言い忘れたのだが、私が赤ちゃんだったことは夢ではなかった。 


 しかし知能だけは生まれたときから成人していたので理解する脳はあったが生後にすぐ泣かなかったため尻を非常に強く叩かれてしまった。


 普通は尻は叩いても意味がないのだが、世界が違えば常識も違うのかもしれないと理解し、わざと泣いた。


 泣いたときの自分を取り出した人と母親の顔を見ると嬉しいのだろう笑顔でいっぱいだった。


 その日からいろんな人に世話されるようになったのだが、私を取り出してくれた人が主に担当してくれていた。


 オムツの交換をされる時が一番精神的にきたのは言うまでもない。


 一歳になるころ私は自立し、普通に歩行ができるようになった。


 誰も見ていないところでこっそり立つ練習をしていたのだが、どうやらこっそり両親に見られていたらしく、自立できた瞬間にドアからいきなり入ってきたのは今でも昨日の出来事のように鮮明に記憶に残っている。


 そのころから文字の読み書きを教えられてきたのだが、知能は成人してても元が幼児のためすんなり文字を覚え、話すことも出来た。


 四歳になり外が寒くなる頃、父が知人のパーティーに招待された、その際息子である私も共に行くことになった。


 その時にパーティーへの輸送手段として瞬間移動による転移をして、現地に向かうのには口を開けて驚いてしまった。 


 「これから会う人は私にとって友人ではあるが、私の息子であるお前にとっては敬うべき人だ。まだ意味が分からないかもしれないがこれだけは忘れるな、失礼のないようにするんだぞ。」

 

 「はい。失礼の内容に致します。」


 「よろしい。しかし、何もそこまで家ではかしこまらなくていい普段通りにしてくれ、でないと逆に気味が悪い。」


 その返答に対して私はクスクスと笑ってしまった。


 一体誰に似て、誰からそんな難しい言葉を覚えたんだか、と父さんはブツブツ言いながら呪文を唱え始めた。


 何を言っているか分からないが発音次第で、魔法の強弱があるそうだ。


 唱え終わった後、父さんを中心に周囲から光が吹きあがった。


 「さぁ、こちらへおいで。」


 言われるがままその通りにすると光は一層強まった。


 「最後に、もし私とはぐれてしまった場合は壁に向かって歩け。探してあげるから。」


 私が視界から外れた場合のことを考えているのだろう。たった一言だが、父さんの言った事に安心感を覚えるとともに私はそれに対して大きい声で返事をした。


 瞬間、周囲の光が私と父を包み込んだと共に見ている景色が一瞬で変わった。


 「おお!やはりここに転移してきたな!待ったぞクライアス!」


 「カイルド。久しいな、息災だったか?」


 二人は会話の後、がっしりと握手を始めた。


 身長は父と同じぐらいで、暖かそうな毛皮と思しきものを着用しており、筋骨隆々で頭は禿げている。正直体よりも頭が寒そうだ。


 「おぉ、この子がお前の話していた息子か。」


 「まだ初級も覚えていないがな。」


 カイルドと呼ばれたその人は笑いながら私の頭を撫で始めたが、私を見る目が違うことはすぐに分かった。


 「これから成長していくなら任せてもいいんだがな!」


 「本人達の意思に任せよう。これから若い世代が次を担っていくんだからな。」


 間違いないとカイルドは言ったあとに大きく笑い始めた。


 私はこのときカイルドに注目しすぎて気づかなかったが、彼のすぐ後ろで私と同じくらいの歳の女の子がじーっとこちらを見ていたのであった。   

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