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第4話 わけがわからないよ

私もわけがわからないよ。

「うぅ…」

うわぁ…全然目が開かねぇ…

月曜の朝よりヤベェぞこれ…

っていうか周りがうるさいんだけど…

……あれ、俺、今どこにいるんだっけ。

確か、部屋の中でスマホと…あ、その後寝ちゃったんだっけ。

じゃあ…制服のままじゃねぇか。また母さんに怒られる…

そういえばスマホ…床に落としたまま寝なかったか…?

…壊れてないといいな。

あぁ、そろそろ起きないと…今日も学校に行かなきゃいけない…

「ーーーっ」

大きく背伸びをして、目を開く。

「えっ」

……何ここ

「えぇっ」

…何処ここ

「えええっ!?」

ヤベェ何処だここー!!??

え、なんか、え、えぇ!?

「はーーーーあ?」

俺は大口が開いたまま閉まらない。

今俺がいる場所は、すごいメルヘンチックな場所だ。まず空がピンクである。

そして何故か俺は地面に大の字で寝ている。下半身しか見えないが、周りの人は変な格好の奴らばっか。コスプレイヤーか?

「えっ、えっ?」

マジでここ何処。雰囲気的には…遊園地的な?あ、あれか?ドッキリでよくある寝てる間に大移動ってやつ?あぁ、それじゃあ何かリアクションしないとな…はは…

「母さん…そりゃキツイよ…」

正直テレビに出るなんて嬉しくない。もういっそ全裸になって放送NGにしてやろうか…いや、股間部分に俺の顔写真つけられて終わりだろう…そんな映像が全国に放送されたら、爆笑ものだ。ええい、まずは起きなければ。

上体を起こすと、ガシャンガシャンという雑音がし、とても体が重かった。

「うぇぇぇえええ!?何コレェ!?」

自分の服装は、今まで制服だと思っていたのに、全身銀色の金属でできたロボットのような格好をしていた。コスプレイヤーからしたら、「やべぇ!超クオリティ高ぇ!写真イイっすか!?」って感じなんだろうけど、ぶっちゃけクソ重い。上半身だけで5キロ以上はある。

っていうか、よく見たらこれ、俺が愛用してるキャラクターじゃねぇか。Combine swordsのストーリー200話を全クリした人のみ開放できるキャラクターだ。ストーリーとは、このゲームの基礎の操作を覚えるためにある、言わば初心者用である。ある程度慣れたらイベントに参加するようになるのが普通だ。だから、全クリなんてしている奴は全ユーザーの1%未満だろうし、別に誇らしい事でもない。ただの暇人である。しかしこのキャラクター、他キャラに比べるとかなりダサい。人気投票ランキングがあったらぶっちぎりの最下位間違いなしだろう。使っている人を俺以外一度も見たことがない。っていうか、認知度すら低いのかもしれない。

その時、見覚えのある人物が横を通り過ぎた。

「あれ…アナザーさん?」

アナザーさんの話は前にも出たが、1位をかけて4時間という熱い戦いをしたユーザーである。非常に強く、俺自身も超楽しかった。

そんなアナザーさんが使用していたキャラクターが、今、真横を通り過ぎたのだ。路上に座り込んでいる俺を見向きもせず、素通りしていった。

いや、よくよく思い出したら違った気もする。失礼だとは十分思っているが、あえて言わせてもらう。顔面の差が違った。

というか、周りのコスプレイヤー達は、みなCombine swordsのキャラクターのコスプレをしている。え、Combine swordsのフェスか何かなのか…?

でも、遠くまで見渡しても、人の数は少ない気がする。これなら平日の遊園地の方が人は多いかもしれない。

…本当に、ここはどこなんだ。いや、もしかしたらこのドッキリのために作られたんじゃ…

テレビ画面の右上に「Combine swords大好きな息子さんのために、愛とお金をかけCombineswordsのフェス会場を作ってみた企画」なんて書かれているのを想像する。

「そりゃないよ母さん…」

先ほどよりも弱々しく呟く。しかし、分厚い金属の中なので、周りの人に聞こえることはなかった。

…あれ、なんだあの人。

前方から来る少女は、とても現実離れしていた。ピンク系統の非常に可愛らしい豪華なドレスを着ていて、薄い桃色の長い髪はよくできた人形のように細く、綺麗なストレートだ。そして、やや大きめで目立つ可愛い髪飾りを付けている。身長はさほど高くなく、全体的に細い。肌は雪のように白く、大きな瞳は、紅く染まっていて、まるで雪兎のようだった。"綺麗"と"可愛い"を足したような顔立ちは、俺からすれば完璧だ。そして、背中には肩幅より大きめの真っ白な羽が付いており、作り物とは思えないぐらいクオリティが高かった。いったい、どんな鳥の羽を使えば、あんなに美しくできるんだろうか。

「すっげぇ…」

思わず感嘆の声が漏れる。

本当に2次元の世界から出て来たような姿に、心臓が高鳴る。

…いや、そういえばドッキリ中だったな。

今頃スタジオの人達が「やっぱり、○○ちゃんのこの姿にはドキドキしてるんだろうねww」「すっげぇアホヅラっすねwwww」なんて会話をしていのだろう。チクショウ。

だが、あの女優の美しさは国宝ものである。後で握手するどころか抱きついて1時間ほど匂いを堪能したいくらいだ。

「あの……」

「えっ?」

こちらへ歩いて来ていた少女は、俺の目の前で足を止めると、しゃがみこんだ。

目の前には少女の顔面が。こんな体験、PCのデスクトップの背景ぐらいだ。

っていうか、めっちゃ声可愛い…やや高めの、透き通ったような声…アニメでよくいるタイプの声だ。この人、声優もやってるのかも。

「あなた…ですよね…?えっと、シエンさんでしたっけ…?」

…目の前の少女が何を言ってるのかわからなかった。

えぇー!?名前出しちゃうの!?俺、これでも結構有名人なんだぜ!?いきなりの顔出しはちょっと!!

「あ、あの…」

俺は目の前の少女から目を逸らしながら言う。

すると少女は、

「あっ、すいません!いきなりこんな…」

と顔を赤らめ、立ち上がった。うん、可愛い。

「えっと…とりあえず違う場所に行きませんか…?」

人目を気にしているのか、ソワソワしている。可愛い。

「は、はい…」

やれやれ、この格好じゃ立ち上がるのも大変だ。

少女について行くと、公園らしき所についた。

少女はベンチに座ると、俺を見上げて「どうぞ」と微笑んでくれた。可愛い。

遠慮なく少女の横に座る。

ごめんなさい。この装備、めっちゃ重いんです…

ベンチがミシミシといっているが、気にしない方向でいこう。

いやぁ、なんだこのドッキリ企画。最高じゃねぇか。

「あの…実はですね…」

少女が俺を見ながら言いにくそうに話し始めた。

「ん?なんですか?」

ドッキリだとわかっていれば意外と平気なものだ。主役の余裕というのを見せてやろう。そしてネタばらしの時に「ええ、なんとなくわかってましたよ」とつまらないコメントをしてやろう。

「あのですね…」

少女はもじもじしている。可愛い。

あ、もしかしてネタばらし?この子がネタばらしするの?まいったなぁ…この子がするんなら良いリアクションをしないと…後ろにひっくり返ろうかな。

「ん?なんですか?」

なるべく優しく言う。本当は今すぐにでも「うへへへ可愛いぃ…」と口に出したいのだが、自室以外では避けなければいけない。

というか、きっとこれも演技なのだろう。いやぁ、女優さんって凄いなぁ。あはは、可愛い。

「その…」

「ん?」

後ろにひっくり返る準備をする。よし、死にはしないだろう。

「あなたですよね…?私に何でもするって言ったの…」

…あれ、おかしいぞ。なんだこの展開。まるでアレじゃないか。『え?今なんでもするって言ったよね?』っていうパターン…まるで一緒じゃないか!!

なぜだろう。今まで天使に見えていた少女が、今では悪魔に見える。

朱い瞳なんて、獲物を見つけた獣のようだ。

「えっ…とぉ…」

すいません。全然覚えがありません。

そう言いたいのに、なかなか声が出ない。そう、この感覚はアレだ。

まぁ別にこれは忘れても大丈夫だろと思いながら教師に忘れた物を報告すると、結構怒られて予想外の事に頭が追いつかず声がなかなか出ない時に似ている。

さっきと何一つ表情が変わっていないのに、少女の笑顔は冷えているように

見える。背景は吹雪だろう。

っていうか何なんだこのドッキリ。早く終われよ。長いわ。

「シエンさんは、何故ここにいるのかおわかりですか?」

ひぇぇぇぇ……怖い…

ごめんなさぁぁい!早くネタばらししてっ!!

「シエンさん、あなたが私に願ったのですよ」

……は?

え、急に厨二っぽくなったんですけど…別に願ってねぇし…

「…忘れたのですか?昨日の出来事なのに?」

なんだこれ。演技ってレベルじゃねぇぞ。顔怖いって。

っていうか何で俺怒られてんの。怒りたいの俺なんだけど。

「…では、証拠を見せましょう」

そう言って少女が取り出したのはスマホだった。いや、スマホじゃないっぽい…?

少女はある音声を流し始めると、俺の耳元にスマホを近づけた。

しばらく雑音が流れていたが、ようやく聞こえてきた声に驚愕する。

『ああ…神様…!!助けてください!!これアレだ!現実から!現実から別の所に!!そしたら逃げ切れる!!神様ぁ!何でもしますからぁ!』

情けない俺の声が入っていたのだ。え、これいつのだ。

「聴こえましたよね?私は、シエンさんの願い通り、現実から別の場所に連れてきました。では、こちらからのお願いです」

頭がクラクラする。次から次へと流れ込んでくる情報に頭が追いつかない。

「私からのお願いは、シエンさんに、この世界の中心になっていただきたいのです」

「……はぇ?」


やっと出た声がこれだった。何なんだこのドッキリ。

企画したやつぶっ飛ばすぞマジで。

……あぁ、もう全裸になってもいいかも。

はい。結構投稿ペース早いんじゃないでしょうか。NNです。

またまた見直しておりませんので、誤字を発見したら、すぐに編集いたします。

あと、新シリーズ書きたいです。

これはただの願望なんですが、気が向けば明日にでも投稿するかもしれません。

感想とかいただけると嬉しいです…ではっ!

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