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カケス

勢いで始めてしまいました。果たして完結するのか? 作者も不安 (スミマセン)

「やっやめてよっ!」


 体育授業から教室に戻り着替えている時だった。男子しかいない教室に突然響いた声。誰もが振り返り「ああ、またか」と何事も無かったように制服を身につけ出す。


 数人の男子に囲まれ、体育で使った柔道着の帯を何本も繋ぎ合わせて、教卓へと括りつけられているのはこのクラスきってのいじめられっ子、山懸周防( ヤマカケスオウ) である。

 

 ひよろ長い体と白い肌。気が弱くていつもオドオドしている。中学一年のアホなガキ大将達にいじめられる理由としては充分だが、彼の顔にはーー正確には額の左半分から目の辺りまで青アザがある為に前髪でその部分を隠し「なんだか分からないけどブキミ」という理由も上乗せされて弄られる。


 ついたあだ名は"カケス" 目の周りに黒い模様がある鳥と名前に掛けたのだ。


「おい、二郎丸。お前委員長だろ。止めてこいよ」

「ちっフザケンナよ。コッチだってなりたくてなったんじゃねーや」

 中学一年の一学期の委員長は教師が決める。二郎丸というのは名ではない。苗字だ。二郎丸玄一郎(ジロウマルケンイチロウ) チョー長い名前だ。


「ほーほー、委員長様がそんなこと言っててイーんですかね」

「イーんだよ。どーしても気になるんなら音羽(トワ)いってこいよ」

 「ヤダ。オレ保健委員だもん。……ジロちゃん」


 森多音羽(モリタトワ )は潤んだ瞳で二郎丸を見つめる。アーモンド形の目に色素の薄い茶色の瞳をウルウルさせて。


 幼い頃から二郎丸はコレに弱い。


「ホント、しゃーねーなぁ」


 ため息混じりにそう言った時だった。


「男子ー! もう着替えたァ? 」


 別教室で着替えた女子が帰ってきた。


「おいっ! 早くしろっ!」

「おおっ!」

「うわー! やめてー! お願いっ!」


 ガキ大将達はカケスのズボンとパンツを素早くずり下ろして、下半身を晒け出した。


「うわっ! コイツまだ生えてないじゃん!」

「ホントだ! ツルツル!」


 そんな嬌声をあげてはやし立てた。


「もー、入るからねー。チャイム鳴っちゃうじゃん」


 女子達はドアを開けて入ろうとした。先頭の女子の目にカケスの姿が入ったのは言うまでもない。


「キャー!」

 悲鳴を上げてドアを勢いよく閉めた。

「男子っ! 信じられないっ! サイテー!」


「ひゃーはっはっはー!」

「うわー、女子やーらし。何見てんのー」

「カケスがやってくれって言ったんだぞー!」

「そんなッ! 僕、そんな事言ってないっ! もう(ほど)いてよー!」


 そんな騒ぎを上塗りするようにチャイムが鳴り出した。


「お前ら席座れよ。ホラ、カケス解いてやるからじっとしてろ」


 泣きながら暴れるカケスを制して二郎丸は帯を解いてやった。

 カケスはパンツとズボンをはき、ベルトを締めるのも忘れて教室から飛び出していった。


「あーあ、しょうがねぇなぁ……。おい、音羽。お前追いかけて捕まえろ。そんで保健室にでも連れてけ」

「なんで俺がっ」

「んー、んんん? お、ま、え、保健委員だろ? 保健室に連れていくのは保健委員の仕事だ。大丈夫、先生には信望厚い委員長のお、れ、が、ちゃんと言い訳しといてやるからさ」


 二郎丸は唇の端を上げてニヤリと笑った。コレも音羽には幼い頃より馴染んできた笑いだった。


「わかったよ」


 音羽は教室へ入ってくる女子達をかき分けてカケスを追って走った。







感想等頂けたらchisaiは飛び上がって喜びマス。ああ、でも。どうぞお手柔らかに。

よろしくお願いします。

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