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鯊太郎の摩訶不思議短編集  作者: 鯊太郎
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104号

 「体温低下。液圧がどんどん下がっています」

 「よし、循環促進オイルを点滴で投与しなさい」

 医院長の指示が飛ぶ。


 「投与しましたが、これでは体内の毛細管が、圧力に絶えられません」

 「身体の一部を切開し、そこから体液を取り除きなさい」

 看護士達は、良く医院長の手となり足となって動き回る。


 「医院長、これでは患者の体力が持ちません」

 「最後まで、あきらめてはいかん」


 「ピーーーーッ・・・」


 「医院長、心肺機能および循環器機能が停止しました」

 「細胞蘇生オイル二百ミリリットル投与。電圧電気ショックを二回与えたまえ。その後循環器マッサージ。心肺気エアー補充。これを繰り返しなさい」

 手術室では、医師団による、懸命の蘇生手術が施されていた。


 「医院長、全ての機能が停止しました」

 「サブモーター始動」

 「サブモーターは、すでに停止しています・・・」


 「やむを得ん、家族の方達に手術室に集まるように言いなさい」

 看護士は、悲痛な面持ちで手術室をあとにする。



 患者の家族は手を握りしめながら、口々にこう叫んだ。

 「104号、死んだなんて嘘でしょう」

 「ねえ、目を開けてよ104号 104号!」


 「まことに残念ですが、午後四時十三分、子育てアンドロイド104号は耐久年数に達し、すべての機能が停止いたしました」

 医院長はそう言うと、患者の脳から取り出したICチップを、家族に手渡した。


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