第13話 イタズラな風のせいで
今回はこの作品中で、一番短い話です。
それから今回は、お約束のパンチラネタです。
「ああっ、急がないと〜」
「どうしたのミズキちゃん?」
「うん、風が強くなったから。
洗濯物を取り込まないと、飛ばされそう」
数日経った、ある日の事である。
この付近に、台風が近付いていて。
直撃こそしないけど、カスりそうな感じだし、天気が悪くなるのは確実である。
それで、天気が悪くなる前に、洗濯を済ませて干していた。
最初、朝の内は、ほとんど無かった風が。
昼前になり、段々と強くなって行く。
外を見ると、まだ雨は振りそうには無いが。
洗濯物が、風に飛ばされそうになっている。
それを見て、慌てて、外に出てみたら。
着ている白いワンピースの裾が、危うく捲れそうになった。
そんな強い風の中、洗濯物を取り込もうとした所に。
たまたまカズちゃんが、縁側を通っていたのであった。
カズちゃんは、そんな僕を見て尋ねてきたので。
急ぎつつも、カズちゃんにそう答える。
・・・
ここに来てから僕は、色々と家事を行っている。
昼間は、叔母さんが働きに出ているので。
その代わりに、自分で出来る事を行っていたのだ。
料理とかも、夕方、叔母さんと一緒にしたり。
掃除とかも自分の部屋だけでなく、居間なんかもやっていた。
洗濯も全自動で、自分でも出来るのもそうだが。
洗濯物の中には、僕の下着なんかもあるので。
叔母さん以外には、もちろん僕がやらないといけない。
乾燥機もあるけれど。
この家では、天気が悪いとき以外は外で干す事が多いので。
その習慣に、僕も従っていた。
「あ〜、カズちゃん、何見ているの〜」
「えっ、いや、別に何も・・・」
カズちゃんが、干してあった洗濯物を見ていた。
その中には、カラフルで小さな物も有った。
それらは、小さなリボンが付いた単色、もしくは縞や水玉などの模様の。
小さく縮んだ三角や、二つのカップが付いた物である。
そう、これらは僕の下着なのだ。
カズちゃんは、僕の下着をチラチラ見ている。
僕が、そんなカズちゃんを咎めると。
カズちゃんは、言葉を濁しながら視線を逸らせた。
まあ、僕も元男だから、カズちゃんの気持ちも分かるけど。
しかし、その対象が僕が身に付けていた物。
それも肌に付けていた物である。
その事を考えたら、何だかとても恥ずかしくなってくる。
こうして、カズちゃんを咎めた後。
僕が、洗濯物を取り込み始めようとした時。
「(ピュ〜ッ)」
「(ぶわっ)」
「きゃっ!」
「えっ!」
突然、強い風が吹き、ワンピースの裾が捲れ上がる。
思わず裾を抑えるが、裾がお腹の部分まで捲れ上がってしまった。
慌てて僕が裾を抑え、それから顔を上げると。
その先には、驚いた顔のカズちゃんが居た。
「カズちゃん・・・、見た・・・?」
「(ぶんぶんぶん)」
僕が涙目になりながら、カズちゃんに聞いてみるが。
カズちゃんは、必死で首を横に振る。
「嘘・・・、本当は見たんでしょ・・・」
「見てない見てない、白い物なんて見てないよ!」
「やっぱり、見たんじゃないの!」
「ごめんなさ〜い!」
カズちゃんの言う事を信用できない僕は、更に問い詰めてみたら。
ポロリと白状した後、縁側から急いで逃走して行く。
・・・
結局、僕はバンチラをカズちゃん見られてしまった。
昔、僕も男だった頃は・・・。
ええ、ええ、パンチラにロマンを感じていた事もありました。
しかし、いざ、その見られる側になったら。
これ程、恥ずかしい物もありません。
”元からの女性の皆さん、どうもスイマセンでした”
しかも、相手がカズちゃんだと思うと。
もの凄く、恥ずかしくてなってくる。
「あ〜、も〜、恥ずかしいなあ〜」
僕は、その場に裾を抑えながら、しゃがみ込む。
余りにも恥ずかしくて、穴が有ったら入りたい位だ。
「後で、顔を合わせられないよお〜」
しゃがんだ状態で、そう愚痴るが。
周りには、風にたなびく洗濯物が有るだけであった。




