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六話「保険」

六話「保険」

『・・しぶといわね・・』

「そろそろ諦めたら?あなたじゃ私は倒せない」

 アヤとアクアの戦いは更に激化していた。最初はどうにかしてアクア

 を黙らせようとしていアヤであったが徐々にその考えがエスカレート

 してしまったのだ。そこへ隼人を連れた太助が戻ってくる。

「・・原田、お前は悪魔の方を抑えろ。俺はあいつを止める」

「ああ・・」

 隼人がアクアの方へと向かって歩く。隼人の服装は制服ではなかった。

 この閉鎖空間に入った時から服装が変わってしまっている。黒一色で統

 一された身動きのしやすい服装。まるで死神を想像させる姿だ。その服

 装を見て、アヤの動きが止まる。よく見ると微妙に震えているのが分か

 る。

「アヤ?」

「な・・なんで・・なんであいつが・・」

 アクアも隼人に気づき動きを止めた。閉鎖空間はすぐに解除される。それ

 と同時にアクアは仮の姿に戻り、隼人の服装も制服へと変わっていた。ア

 ヤはまるで見てはいけないものをみたかのようなリアクションだ。何をそ

 こまで怯えているのだろうか。

「アクア、もうこの悪魔には手を出すな」

『でも・・』

「・・俺が討つのは人間に危害を及ぼす悪魔だけだ」

 アクアがその言葉に頷いた。隼人はそのまま校舎へと戻ろうとしたが納得

 出来ない人間が一人。それは太助であった。なぜアヤがここまで怯えてい

 るのかが分からない。

「・・それはそいつに聞け。昔話は嫌いだからな。行くぞ、アクア」

 アクアを連れて隼人が校舎へと戻っていく。アヤは閉鎖空間を展開した。

 理由は誰かに聞かれるとまずいからだそうだ。アヤはうつむきながら話

 始めた。隼人の事について。

「全く気づかなかったわ・・まさか・・狩人がいるなんて・・」

「狩人?」

「多分あなた達がまだ中学生だった頃よ・・私達悪魔を次々と倒していった

 一人の中学生がいたの・・」

 悪魔の中ではかなり有名な話らしい。退魔師の大半は力押しで悪魔を殲滅

 しようとする。だが、狩人は違った。まるで獲物を狩るハンターのように

 悪魔を狩っていた。いろいろな手段を使って。だが、狩人はとある行動を

 起こした悪魔しか狩らないという噂もあった。人間に牙を向いた悪魔の大

 半が狩人にその命を狙われている。大半の者は殺され、一部の者は命から

 がら逃げ延びた。

「一年前・・ある悪魔が精霊と契約している人間を葬るためにヨーロッパ

 で大規模な戦いを起こしたの・・」

 そこに狩人は現れた。そして、狩人は戦いに参加した悪魔を全て殺した。

 狩人もその戦いの中力を全て使い果たしたといわれるほどの激戦であった。

 もちろん閉鎖空間の中でだが。それでも両陣営とも多数の負傷者を出した。

 その結果持ち上がったのが今回の計画だという。人間と悪魔の共存という。

「・・この学校に転入したいっていのうのは私の希望だけじゃなかったの」

「まさか・・計画に携わっている連中が・・」

「ええ。ここに通いなさいって・・」

 狩人はその戦い以降姿を見せていないという。最後に確認されたのは東京

 らしい。人間を襲おうとしていた一体の悪魔が閉鎖空間内で殺されそれ以

 来狩人を見た者はいない。噂ではその時襲われたのが人間内部の穏健派つ

 まり、人と悪魔の共存を実現させるという今回の計画に携わっている一人

 だったらしい。

「この学校を指定した理由が分かったわ・・過激派から計画を守るためね」

「隼人も計画に関わっているのか・・・」

「恐らくはね・・。狩人がいれば人間側ね悪魔側も過激派からの攻撃を防げ

 るもの」

 悪魔側はもちろん、人間側にも狩人に恐怖を感じる者は多い。あくまで噂

 だが、狩人は一度悪魔排斥を目指す組織と交戦し、これを壊滅さしている

 らしい。理由さえあれば同族である人間にさえ牙を向く。それが狩人の恐

 ろしさである。

「どうも怪しくなってきたな・・」

「え?」

「・・考えてみろ、狩人と呼ばれるほどの凄腕を計画に携わる連中はどうして

 味方につけた?」

 答えは簡単だ。保険のためである。太助とアヤを守るための保険。それが狩

 人の役目なのだ。人と悪魔の共存を目指すこの計画には敵が多すぎる。計画

 の関係者達はそれらの敵から二人を守り通すために狩人を味方につけた。

「・・敵が襲ってくるかもしれない・・ってことね?」

「ああ・・」

 それも少数ではない。恐らく大規模な部隊が。最初から二人を監視している

 であろうはずの者達は敵が二人を殺しにかかることを知っていたのだろう。

 そうでなければ狩人など呼ぶはずがない。仮に狩人が彼らの提案を断ったと

 すれば、彼らに著しい被害が出ていたかもしれないからだ。それだけのリス

 クを背負ってでも、狩人を誘わなければならなかった理由があるのだろう。

「思っていたより勘がいいようですね・・原田太助殿」

 少し不安を覚える二人の前にひとりの男が突然姿を現した・・

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