2話 学校へ
夏休みで勉強中です。
化学基礎
広翔と加奈は14区の大通りにでた。
車が走っている数は少ないが、何故か人混みが多い。学ランや制服を着ている中学生がよく見える。同じく入学式なのだろう。次々と駅の中に入って行く。
この街には電車という乗り物は存在しない。無人機車【モノレール】が沢山と通っている。
「満員電車」という言葉も死語になっており、 2分間に1度というテンポで駅に停車する。そのため、大勢いてもあまり問題はない。
最近は駆け込み乗車や、ホームに落ちることはまずなく、安全性に満ちた科学技術世界に変わっている。
一方に能力を応用したテロ事件や暴行事件が多発してしまっているのが現状である。
過去にも事件は沢山あった。
改札で学生用パスポートを通し、階段を登った。 足が軽い。
《足が軽い》とはもちろん表現技法の一種で、《気持ちが浮いている》という意味だ。
あの地獄のような中学生時代はもう終わったのだ。
次の高校では俺の過去を知る者は姉以外誰もいない。
もう他人を避ける必要はなくなった。気持ちが軽い。
時刻は7:00。
ホームで停車中の無人機車に乗車しようとすると、 ホームの方から女の子が手を左右に振りながらこちらに走ってくるのが人混みの中から見えた。
黄色の制服に緑色のブレザー、科学技術国立高等学校の制服。同じ学校の生徒のようだ。
『加奈ぁーーー』
とトーンが高い声を出しながら少女は声を掛けてきた。
自分より20センチくらい、150前後の小さい小型系少女だった。中学1年生くらいの幼児体型だが加奈を呼び捨てなので同級生なのだろう。広翔にとってはれっきとした先輩だ。
『おはよ〜』
加奈に向かって言ったのだろうが一応こちらも
「おはようございます」
と敬語で軽くお辞儀しながら応答した。
彼女はニコっと笑い、手のひらを向けてくれた。
その表情には裏が無く、純情可憐な雰囲気が漂っていた。
『この子は? 彼氏さん?』
少し真面目な顔でこそこそと加奈に聞いた。広翔には聞こえてない。
「杏里、うちの弟だよ。」
と杏里に呆れながら答えた。
杏里の不思議そうな顔は晴れ、一瞬で納得した。
『あぁ!!弟さんかぁ〜 いいなー』
「杏里にも妹がいんじゃん」
『えー だけどうちの妹全然可愛くないもん』
と出ましたよくあるパターン。
世の中には《隣の芝生は青い》という言葉がある。自分のものよりも相手のものの方がよく見える、という意味だ。
この言葉がピッタリ合うだろう。
能力に対してもそうだ。人の能力が羨ましく見える、何故か人は自分を否定してしまう部分があってしまう。
『弟さん、沙苗 杏里です。 よろしく。』
いきなり自己紹介を押し付けてきたが、この人の言葉は自然体で不思議な点はどこにも無かった。
「美咲 広翔です。よろしくお願いします。」
かしこまりながら応答した。
モノレールのドアが閉まる前のチャイムが鳴った。
急いで中に入る。
席は十分に空いていたので、加奈が真ん中になるように座った。
『ところで広翔くんはこれからどこに行くの?』
「・・・はい?」
と、こちらからも疑問形で返してしまった。この人はもう分かっていると認識していたからだ。この制服を着ている時点で分かっていなかったのだろうか。
「杏里… 入学式。」
完全に呆れている声でフォローしてくれた。
この人にはピュアという文字よりも天然という文字の方が似合いそうだ。
でも天然は世の中で嫌われてない存在であることは確かである。
『そっか〜入学式かー 懐かしいね。』
全く反省していない様子。
自分を天然だと理解していないのだろうか。聞いてみようと思ったが無駄だろうと感じた。
「ところで杏里さんは…」
『杏里でいーよ。』
と話の前に突っ込まれてしまった。
先輩を名前で呼び捨てでいくのは無理があるだろう。 この人は…
加奈は微笑している。
話す気はなくなったがここで話さないのも気持ち悪いと思ったので一応聞いてみる。
「杏里は、なんでこんなに早いんですか?」
やはりタメ口 (みたいなもの)と丁寧語が混ざっているのはおかしすぎる。
義コチがないし、姉は笑っている。
ちょっとうざいと思ったが、彼女は真面目に回答した。
『加奈と一緒で運営委員だよ。』
「そーなんですか…」
乗って3分くらいしか経っていないがもう駅に着きそうだ。
距離的には15キロメートルくらいあるのだが、
摩擦変化金属【サーマニュチウム】という金属をレールに使用し、モノレールを低摩擦で走らせることができるため平均時速180キロメートルで走ることができるようになっている。
このために移動時間が短縮され、且つ電気量も相当減量ができるため、経済成長に大きく関わる点でもある。
サーマニュチウムの仕組みなど、まだ未解明であるため研究者たちの研究内容になっているのが多い。
第7学区の駅に着いた。
ばんばん感想お願いします。




