表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/24

19

 まあ偽だよね。

 五日目:昼パート


 旅人:マコト

×小間使い:ナナ

 青年:ハンニバル

×ならず者:メアリー

 老婆:コーデリア

×盗賊:マスケラ

×芸人:エイプリル

 羊飼い:ドナ

 掃除婦:エリザベス

×シスター:アイリーン

 学生:チサト

 技術者:アンナ

 殺人鬼:ナイヤ

×楽天家:ジョン


 『学生:チサト』は無残な姿で発見された。

 『老婆:コーデリア』は無残な姿で発見された。 残り六人


 ……二死体?

 このルールで朝に死体が二つ以上出現するケースはいくつかある。

 一つは『人狼』が『猫又』を襲撃した場合。この場合、襲撃を直接行った『人狼』一人と、襲撃された『猫又』が死体となる。

 一つは『人狼』が襲撃に成功した上で、『妖狐』が占われた場合。

 もう一つは『妖狐』が占われて死亡。『背徳者』が後を追って死体になったという場合だが……、この場合は『だれそれは妖狐の後を追って死亡した』とアナウンスが流れる。よって今回のケースでは当てはまらない。後追いと襲撃が重なったというケースを除いての話だが。

 「……バカな」

 苦々しくそう言ったのはハンニバルだった。額からは汗が流れ、表情を蒼くしている。

 「遺言呪殺(襲撃された日に占い師が妖狐を殺害すること)……? ありえない。コーデリアはチサトが三日目に『シロ』を出した位置。この二人が同時に死体になるということは……つまり」

 「……そういうこったな。『コーデリア』が『妖狐』でも『猫又』でもチサト『本物』の可能性はない。いずれにしてもあのメスガキはタヌキだったって訳かい。おっかねぇおっかねぇ」

 ナイヤが飄々とした口調で言った。

 「『コーデリア』ちゃんが『妖狐』なら、『背徳者』の位置を考えんとあかんやろなぁ。まあ、今までに死んだ中に紛れているか、『チサト』ちゃんいうことになるやろ。襲撃されつつ後追いでも死んだいう、おもしろい可能性が見えるなぁ」

 アンナが興味深そうに口にする。

 「まさかあれだけ信用を勝ち得たチサトちゃんが襲撃役にはならへんやろ。チサトちゃんは人狼陣営からも本物やと思われてた偽者っちゅうことなんかな。『狂人』か『背徳者』か。人狼に不利な結果を出し続けていたのだとすれば、『背徳者』で後追いと襲撃が重なったと見るのが妥当なんとちゃう?」

 ……アタマがこんがらがってくる。こいつらの情報整理の速度はいったいなんなんだ。まだ死体が二つあがってから数十秒もたっていない。即座にこれだけのことを判断できるのは本当にたいしたものだ。

 「……あの。いいですか」

 そこでおずおずと手が挙がる。『チサト』が占い師として破綻した今、本物占い師の可能性がかなり上昇した『ドナ』だ。

 「占い結果を宣言します。占い先は『コーデリア』さん。結果『シロ』でした。

 チサトさんとは信用差があったので、『妖狐』を狙って占いました。予告をしなかったのは、ここが『エリザベス』さんと『チサト』さん、両方の『シロ』先だったから。占ってここが死体になるなら当然わたしが『本物』で確定します。それが彼女を占い先に選んだ大きな理由です。……実際そうなった訳ですしね。

 コーデリアさん自身の発言が特別『妖狐』らしかったかといえば、そうではないと思います。ですが、コーデリアさんは対抗占い師二人から占われ、『シロ』を出されている……。対抗二人のとちらかに『背徳者』がいるのであれば、ここで『囲い』が発生している可能性は十分にありうる話でした。『チサト』さんがそうだったのかもしれません」

 ドナは淡々とそう言った。疲れきったというような様子で、しかしどこか機嫌を伺うように

 「こ、これであたしが『本物』だって分かってくれましたよね? 『チサト』さんが本物ではありえないですし、『エリザベス』さんが本物だとすれば、人狼のチサトさんが猫又のコーデリアさんを襲撃したという主張になります」

 ……確かにそれを見るのは難しい。あれだけ高い信用を勝ち得ていたチサトが、リスクを犯して襲撃役になるだろうか。他に『人狼』がいるならそいつが襲撃をするのが正しい戦略のはずだ。 

 「じゃあワタシも占い結果をいうわねぇ。占い先は『ドナ』ちゃん、結果は『シロ』よぉ。『狂人』か『背徳者』ねぇ。

 妖狐狙いよぉ。ワタシはねぇ『占い師』に『妖狐』混ざりは十分にありうると考えていたわぁ。『占い師』を名乗れば本物の占い師の占い先にもなりづらく、上手く信用を勝ち取れれば処刑されずに残ることができるし、何より村の進行をコントロールすることができるからねぇ。

 でもそれがあるとすれば初日に『クロ』を出したチサトちゃんよりは、無難な結果を出し続けている『ドナ』ちゃんって感じがするわぁ。なんというか生存意欲が高い騙りと言う感じよねぇ。『エイプリル』ちゃんにクロを出したのも、怪しい人物に『クロ』を当てていくことで村人から信用されようとする動きに見えたわぁ。だから占ったのだけれど、外れだったみたいねぇ」

 ……占い先は『ドナ』か。そこが『妖狐』という可能性はまあなくはなかったのだろうが……しかし結果として外すのならば信用は落ちたと言える。占っても『シロ』しか出ない『背徳者』や『狂人』は、あまり占いたくはない役職だ。

 「……ワタシ視点、『妖狐』の生存は確定しているわぁ。そして『チサト』ちゃんが『人狼』で『コーデリア』ちゃんを襲撃したこともねぇ」

 「レアケースやわ。それはいくらなんでも」

 アンナはため息がちに言った。

 「信用が高いのはドナちゃんの方やねぇ。『チサト』ちゃんが『人狼』で襲撃役になったというのよりは、『コーデリア』ちゃんが『妖狐』という方が考えやすい感じやなぁ。

 ほんで『ドナ』ちゃんが本物やと過程すると……これまでの占い結果は『ナイヤ:シロ、アンナ:シロ、エイプリル:クロ、コーデリア:シロ(死亡)』、やから……。『人狼』三人は『アイリーン』『エイプリル』『ハンニバルないしエリザベス』狂人があるのは『チサトないしエリザベス』妖狐は『コーデリア』背徳者は死亡済みいうことになるわな。『霊能者』が偽の場合は知らんで」

 「いや。ドナを本物で過程しても、『チサト』が人狼だったケースが否定されるわけではない。『猫又』を占った日に猫又が襲撃されたのだとすれば、可能性は大きく広がる」

 ハンニバルが言った。

 「そして『コーデリア』を『猫又』と過程した場合の内訳だが。この場合だともちろん『エリザベス』が本物という可能性も追う必要があるな。

 彼女の占い先と結果は『マコト:シロ、ナナ:シロ、コーデリア:シロ、ドナ:シロ』か。ふん実に使えん。だがしかし可能性は残っているから一応本物の場合を考えてみよう。

 エリザベス視点での『人狼』位置は、まず『アイリーン』『チサト』が確定する。そして『ハンニバル』『ナイヤ』『アンナ』の中に『妖狐』と『人狼』が生存していて、『ドナ』は『狂人』『背徳者』のどちらかということになるだろう」

 ……こうしてまとめると。エリザベスの『ドナ』占いは実際のところ、そこまで悪手ではないということが分かる。特に『エリザベス』はおおよそハンニバルを村人で置いているはずだ。『ドナ』を占って『シロ』が出たことで、『ハンニバル』『ナイヤ』『アンナ』の三者に『妖狐』『人狼』の生存が確定。『ハンニバル』を村人でおくのならば、すべての始末すべき敵陣営をあぶりだせていることになる。

 「……まとめありがとうなハンニバルくん。やけど、どうしてもエリザベスちゃんが本物には思えん。エリザベスちゃんは占い先に無駄があるように見えるし、だいいち『チサト』ちゃんが人狼で『コーデリア』を襲撃する役を負ったていうのはないと思うわ」

 アンナが言った。

 「ドナちゃんを信じるならば、今現在妖狐は始末済み。最後の『人狼』は『エリザベス』ちゃんか『ハンニバル』くんやろ」

 「その場合俺様は『村人』だから、『エリザベス』が『人狼』となる。だがそうとは断定できない。『コーデリア』が『猫又』という可能性は十分に考慮に入れる必要がある。

 確かに『チサト』の信用は高かった。だがだからといって一概に『襲撃役にはならない』と断じてしまうことは難しい。虚を付くものは必ず破綻するのだからな。死体二つがあった際、村人がしかるべき情報処理を行えば誰が嘘吐きかなど容易く判明するはずだ。中盤までならともかく、『占い師』に出た『人狼』が最後まで信用を保って生存するのは簡単なことではない。なら『人狼』にとって虎の子の潜伏役が襲撃先になるよりは、道連れ覚悟でチサトが襲撃を行っていたというのも十分に考えられることだろう」

 ハンニバルが考察を語る。……が、その表情からは動揺が見え隠れしている。チサトが偽者だったからか? それとも……。

 確かに『コーデリア』が『妖狐』だった場合、『ハンニバル』は『人狼』が濃厚な位置となる。ドナ視点、役職非宣言者の中で占っていないのは『ハンニバル』のみ。ここが最後の一匹というのはあまりにも妥当。ドナからすると最後の『人狼』がありうる位置は『エリザベス』『ハンニバル』のどちらか……、そして『エリザベス』の動きが『人狼』らしいかといわれると違和感がある。

 いずれにせよこの二人を処刑すれば勝利……? そんな簡単なことが。

 「おい『共有』。考え込んでいるところ悪いが、一つ提案を聞いてくれないか?」

 無表情にそう言ったのは、ナイヤだった。

 「なんだよ。ナイヤ……提案って」

 「ああ。これは、おめーから言い出してくれるもんだと思ってたんだがな。ったく世話がやけるぜ」

 そう言ってナイヤは淡々と、コートの中から華奢な腕を突き出して言った。

 「『共有者』、今すぐ『猫又』に出てくるように指示をしろ。

 今この議論の焦点は『コーデリア』が『妖狐』か『猫又』かというところだ。それでもし残っているぼくたちの中から『猫又』が出てきたら? 或いは出てこなかったら? それですべての決着がつくじゃねーか」

 「……あ」

 簡単なことだった。俺は思わず口を空けてしまってから、すぐに気を取り直して

 「『猫又』は生存中なら出てきてくれ。それで『コーデリア』の中身が何かを証明するんだ」

 俺が指示をする。そして宣言を受け入れる為の沈黙がほんの一瞬、流れて。

 それから、「くくく」と、どこか老獪な笑みがその静寂の中に冷たく響き渡った。

 「……おっそいわぁ。ずっとまっとったんやで、それ言うてくれるのをな。マコトくんはじらすのが上手なんやねぇ」

 アンナはそう言って、口元だけで微笑みながら宣言をした。

 「『技術者:アンナ』が『猫又』を宣言するで。うちにはずぅっとこの二死体が『妖狐』の死亡やとわかっとったんや」

 「……決定打かっ!」

 俺はつい叫んだ。エリザベスが「あらあら」と微笑み

 「これでワタシ視点、アンナちゃんが敵陣営なのは確定したわねぇ。実際、この宣言はちょっと遅いもの。

 だってねぇ死体が二つでた時点で、『猫又』の役割は自分が猫又だと知らせることで『妖狐』の死亡を確定させること。なんで今まで黙ってたのかしらねぇ」

 「うちはずぅっと『コーデリア』が『妖狐』の場合の話しかしとらん。出ぇへんかったのは『共有』の指示をまっとっただけや」

 アンナは言って俺の方を見る。

 「まあうちが自分の役職を知らせるまでもなく、状況的にエリザベスが偽者なのは明らかやね。チサトちゃんが人狼やったっちゅうのはレアケースやレアケース。そもそも初手で身内切りなんてのは、『人狼』が五人おって初めて成立する戦法やで。四人で奇策、三人なら愚行ちゅうもんやろうて。『チサト』が人狼なんてありえへんやろ」

 くくく、とアンナは水中ゴーグルの裏に瞳を隠したまま微笑む。そしてその老獪な声で言った。

 「ほなっ! エリザベスちゃんとハンニバルくんを処刑しようやっ! それで百パーセントゲームは終わるでっ!」

 「……エリザベスが『人狼』? まさか、俺様にはそうは見えない」

 ……確かにそのとおりかもしれない。『エリザベス』はいくらなんでも仲間を囲う気配がなさ過ぎる。偽者があるとしても『狂人』に見えた。ならば『ハンニバル』が『人狼』……いやこれだとすると、チサトがハンニバルに『シロ』を出していることに違和感が残る。

 「じゃあハンニバルくん、あんたが『人狼』っちゅうだけの話や。あんたは『チサト』から『シロ』を出されてる。その上で『チサト』を襲撃すれば当然あんたが『シロ』で確定させられたはずや。それを狙って『背徳者』なり『狂人』を襲った『人狼』いう可能性は、十分にありうるやろう」

 「……何かがおかしい」

 ハンニバルは歯噛みしたように言った。

 「チサトが偽者……それは認めざるをえない。しかし『ドナ』が本物でラストウルフがエリザベスというのは、どうにか解せない」

 「解せへんも何もあんた視点それで確定しとるやろ。あんたが村人ならな」

 「ドナが本物だとする……となると『エイプリル』は『人狼』だった。これは間違いない。ならば何故エイプリルはああもおとなしく処刑されて言った?」

 「あの子の処刑のされ方のどこに『おとなしさ』があったねん?」

 「奴は意図的に自分を臭く見せていただけだ……。それでいて『狩人』にも『猫又』にも出ていない。四日目の時点で生存していた『人狼』が『エイプリル』と『エリザベス』なのであれば、何故エイプリルは自身が『猫又』で宣言することで本物をあぶらなかった? 残り一匹の人狼陣営にとって猫又の居場所が分からないままにしておくことは、あまりにも悪手だ」

 ……確かにそうだ。そしてそれはハンニバルが『人狼』の場合においても同じことが言える。

 アンナは首を振るって

 「しらへんよ。実際にあぶらへんかったもんはしゃあないやないか。そもそもエイプリルちゃんがそこまで思い付かなかっただけいうこともあるんちゃう? 考えすぎや」

 確かにエイプリルは臭かった。あれは『ドナ』の本物要素だ。

 「どうかしらねぇ。あの子はあれで人狼ゲームのことはきちんと理解してると思うわぁ。本当に『人狼』なら何もせずに散っていくなんてことがありえるのかしらぁ?」

 エリザベスが言った。

 「そもそもあぶる必要なんてあったんかいな。『人狼』が一匹残りとは言え、確実に『猫又』でないと言える襲撃先かてなんぼかあるやろ?」

 「……いや。エイプリルに『クロ』が出た時点ではまだ四日目、ゲームが七日目までだとして襲撃は三回。『猫又』をあぶらないなら、残った一匹は『占い師』二人と俺しか襲えなくなるぞ?」

 俺は疑問に思って言った。アンナは動じた風もなく

 「それで十分やったんちゃう? そもそも敵陣営の都合や考えをうちに聞かれても困るいう話やな。

 ただ推理はできるで。人狼陣営にとって実に恐ろしいのは『猫又』やのうて『占い師』や。これはどんな配役でも変わらん。『ドナ』を本物認定されることは人狼陣営にとって猫又の潜伏を許すよりはるかに致命的や。『ドナ』から『クロ』を出されたエイプリルが『猫又』で出る、そこですかさずうちが対抗『猫又』宣言をする。こうなったら当然『エイプリル』は『猫又』の偽者として処刑されるんがオチやな? それで当然猫又の特性である道連れも発生せん。これこそ致命的や、誰が見ても『ドナ』が本物やったと分かる」

 ドナの信用をあげないために猫又をあぶらなかったということか。確かにそれなら納得ができる。だがだとすれば、エイプリルはもう少し村人らしい振る舞いをして処刑されているような気も……いや、それこそ個人のスキルに依存してしまう話か。誰もが自分を『村人』に見せかけられるわけではないのだから。

 「エリザベスとハンニバルを処刑すればええ。もうあたしたちの勝利は見えとんのや」

 息を呑む。ハンニバルも腕を組んでいらだつようなしぐさを見せるも、それ以上の反論はないらしい。これは、決まりか……?

 「なるほどなるほどー。よく分かったぜ。アンナちゃんは本当に賢いね。こんなすらすらと口からでまかせが出てくるんだからな」

 そう、平坦な声で言ったのは、ナイヤだった。

 「確かにもう村人陣営の勝利へのビジョンは見えている。……チサトが猫又を噛んだお陰で、だけどな」

 ……っ!

 「ナイヤはなにをいっているんだ? アンナが『猫又』に出ているだろう。おまえが提案したことだ」

 俺は言う。アンナはいぶかしげな様子で

 「そうや。いきなりなにを言い出すん? コーデリアちゃんは『妖狐』やったいうとるやんか。『猫又』はうちやっちゅうとるやないの」

 「いや。それはありえない」

 「ありえないなんてことはないで。なにか根拠があるんなら言うてみぃって。せっかく村が勝てそうなんや、余計なこと言って引っかきまわさんといてくれる?」

 「……茶番だな。とんだ茶番。まだ気づかないのか」

 ナイヤはつまらなさそうに言った。

 「興ざめだ。アンナ、おめーはちょっとは骨のある奴だと思ってたよ。まさかこんな簡単なことにひっかかるなんてな。その『猫又』宣言、あまりにも悪手だ」

 「なにが言いたいん?」

 静かな声で言うナイヤに、アンナはいぶかしげな表情を浮かべる。

 「待て。いくらなんでも……」

 ハンニバルは表情を歪め、額に汗を浮かべながら。

 「まさかとは思うが。ナイヤ、君はもしかして」

 「あーそーさ。そのとおりさ。言ってやるよ」

 ナイヤは目を閉じて、けだるげに、眠たそうに頭を振るいながら酷くぞんざいに言った。

 「『殺人鬼:ナイヤ』が『狩人』を宣言してやるよ。昨日の護衛先は『チサト』。

 これで分かっただろ? 『チサト』が襲撃されたってのはねぇ。つまり今朝の二死体は『チサト』が『コーデリア』を襲撃した以外ありえない。翻って『猫又』を宣言している『アンナ』は、敵陣営だ」

 「バカなっ!」

 ハンニバルが混乱した様子で叫んだ。

 「……っ!」

 アンナは忌々しげに息を呑む。それから歯をきしませるようにかみ締めて

 「あんたも敵陣営か。これで内訳が完全にはっきりしたな。

 ハンニバルくん、疑ってごめんよ。『人狼』は『エリザベス』でこの男は『狂人』らしいわ」

 ……アンナ視点だとそうなるのか? アンナとナイヤはこれで完全に別陣営が確定している。アンナ視点では『コーデリア』を占った『ドナ』が本物で確定しているから、『ドナ』の『シロ』であるナイヤは『人狼』ではなく『狂人』、ということか? ……くそ、頭がこんがらがる。

 「……おい。これはいったいどうなっている?」

 ハンニバルは憔悴を隠しきれない様子で。

 「今更『狩人』が出てくるだと? まさか……いやありうるのか? しかし『ナイヤ』が本当に『狩人』で『チサト』を護衛していたとすると、今朝の二死体は猫噛みで確定。しかしそうなると『妖狐』の生存が濃厚ということになってしまう。いや……ナイヤ視点だとこの俺様も……」

 今いる人数が六人、処刑は二回しか使えない。確実に今日妖狐を処刑、翌日に人狼を処刑しなければ勝てないことになる。……ナイヤを信じるのならば、だが。

 「実際生きてるんだよ。『人狼』も『妖狐』もどっちもな。そして『狂人』か『背徳者』のどちらかも生きている」

 ナイヤが言った。俺は目をむいて

 「……処刑二回で、敵陣営が三人?」

 「おっと。そこんところは安心してくれ。なにせぼくは『狩人』なんだぜ? 今の人数は六人、護衛成功を出せば処刑回数が一回増えるだろ。それで『アンナ』『ドナ』『ハンニバル』を処刑しきれば勝ちだ」

 「おまえは『ドナ』を偽で決め打つのか?」

 「ああ。『ドナ』は敵陣営の『アンナ』に『シロ』を出している。そこが『狂人』『背徳者』ってことはおおよそねぇよ。そして『ハンニバル』は本物占い師の『エリザベス』のラストグレー、『アンナ』は言わずもがな。この三人はぼく視点だと絶対に処刑したい位置だ」

 「いいや。本物占い師はドナちゃんやで。エリザベスちゃんを処刑してや」

 アンナが言った。ナイヤはどうでもよさそうに

 「あーはいはい。しかし妙な話だぜ。お互い、三日目の時点でもっとも『本物』の目が薄いとしていた『占い師』を本物で主張する羽目になるなんてな。エリザベスが本物とは、皮肉な話だぜ」

 ナイヤは首を振りながらそう言った。

 「……おいマコト。つったっていないで指示を出せ。まとめ役のおまえにはやらなければならないことが山ほどある」

 ハンニバルがするどい声で言った。俺ははっとして

 「ナイヤは今すぐに護衛記録を提出しろ。まさか描いてないなんていわせないぞ?」

 「あーそうかい。やっぱりいるって言い出すよな。それでなにが分かるのかっつー話だが」

 「まさか、ないのか?」

 「いいやきちんとつけてきたぜー? ほらよ」

 そう言ってナイヤはコートの中からメモ帳を取り出して読み上げる。

 「護衛日記

 一日目:できない。死体:ジョン

 二日目:チサト 死体:マスケラ

 他に護衛先がない。ブラフ撒いてたマスケラは勝手に死ねばいい。

 三日目:チサト 死体:ナナ

 霊能者とのライン。身内切りの可能性もあるが本物濃厚。他は噛まれてもかまわない。

 四日目:チサト 死体:

 信用勝負らしい。チサト護衛続行。コーデリアに『シロ』二つ、ここが猫又ならどうだ?」

 偉く淡白だが必要な情報はすべて入っている。ナイヤは首を振って

 「護衛記録なんざかったりーからテキトーにしか書いてねーけどよ。まあ出方で本物って分かるだろ? この状況で、アンナが偽者だと知っているのはチサトを護衛した『狩人』であるぼく一人だ。ましてぼくが『狂人』? どうしてここで『狂人』が『狩人』に出られるんだ?」

 「……お仲間の『エリザベス』ちゃんを助けに来た、それだけやろ? うちを破綻させられない限りにおいて、『人狼』の『エリザベス』ちゃんは処刑されること不可避や」

 「それはぼくが『エリザベス』の中身を知っていた場合の話だ。

 いいか。今ぼく視点では『アンナ』『ドナ』『ハンニバル』の三者が敵陣営で確定している。当然『アンナ』とは既にラインが切れているし、そこに『シロ』を出す『ドナ』も当然敵陣営だ。アンナの出方で『背徳者』や『狂人』は考えなくていいからな。そして本物『占い師』である『エリザベス』から『ドナ』にシロが出ている以上、ここは『狂』か『背』で見るしかない。そしてアンナの中身が『人狼』か『妖狐』かは分からないが、どちらにせよもう片方が行方不明。その居場所が『ハンニバル』となる。

 ぼくが『狂人』で『狩人』で出るという行為は、あまりにも危険すぎるんだよ。何故ならこの行為は『マコト』と『エリザベス』以外の生き残りをすべて、敵陣営で確定させることなんだからな。誰が自分の主人なのかも分からない『狂人』に、これはできないはずだ」

 ……なるほど確かに。ナイヤが『狂人』だとすれば、『アンナ』や『ハンニバル』が『人狼』だった場合の危険性、これをあまりにも顧みていなさすぎる。ナイヤの嗅覚が飛びぬけて優れているのならばともかく、このようなことは、通常しえないはず。

 ハンニバルが考え込むように

 「……なるほど。確かに、『ナイヤ』が『狂人』なら『狩人』では出られないだろう。

 通常なら『猫又』で出る場面のはずだ。『アンナ』と『ナイヤ』の二人の『猫又』宣言者から処刑する流れにしたがるはず。それで運良く『アンナ』が処刑され、猫又の道連れ能力が村人陣営に飛べば、翌日三人残りで『人狼』『狂人』『共有者』三人残り。パワープレイが可能な布陣。『エリザベス』を仲間の『人狼』であると決め打って『狩人』で出るよりは、いくらか勝率の高い戦術……」

 「ちょっと。ハンニバルくん何いうとんのや? そいつが『狩人』やとすればあんたが敵陣営で確定してまうんやで?

 そいつは『狂人』や。それ以外ありえん。うちは本当に『猫又』なんや」

 「……『ナイヤ』は『狩人』ではありえない。つまり敵陣営。これは間違いない。

 だがアンナ。君の『ナイヤ』を『狂人』で見る主張、これも無理がありすぎる。つまり『アンナ』『ナイヤ』ともに敵陣営。しかし、敵陣営同士でお互いが反目しあっている。……なんだこの違和感は」

 「その違和感こそうちが『猫又』であるという証拠やっ! あんた視点、うちを『猫又』で確定させない限り、絶対に筋が通らんで?」

 なんだこの状況は……。くそ、頭が痛い。視界がかすむ。命がかかっているというのに、理解が追いつかない。心臓が高鳴る。

 もっとも単純で理解しやすいのは、『ナイヤ』が本物『狩人』で、『アンナ』『ハンニバル』『ドナ』に『妖狐』『人狼』、『狂または背』が生存しているというパターン。他はすべてレアケースであるとも言える。

 俺はこれまで三回、人狼ゲームをしてきたが……思えばすべて、無難な役職内訳で落ち着いてきたような気がする。しかし今回は極めて複雑な配役を持つ十四人猫又村。『ナイヤ』狩人なのだとしても、相当に複雑なケースをたどってきたことになる。

 「なやむこたぁねーよ『共有者』。今日は『アンナ』を処刑すればいい」

 ナイヤが静かに言った。

 「……何故? おまえ視点でも、そこが『人狼』なら『妖狐』の勝利になってしまうぞ?」

 俺が尋ねると、ナイヤは表情を変えずに

 「ぼくは『人狼』をハンニバルのほうで見ている。そこは同じく『人狼』であった『チサト』とラインがあった。ハンニバルはチサトを執拗に、妄信的なまでに『本物』占い師で推していたし、そのチサトから『ハンニバル』に『シロ』が出た。信用勝負で仲間同士で補助をする動きそのもの。翻って『アンナ』は『妖狐』だろう。

 ……。

 「ここを処刑して、もし『ドナ』の中身が『背徳者』で道連れになれば、ぼくは当然『エリザベス』を護衛して翌日『ハンニバル』に『クロ』を出してもらう。これでハンニバルを処刑してゲームセット。

 『ドナ』が『狂人』のケース。当然『妖狐』で見て『アンナ』を処刑し、その翌朝に死体なしが出て残り五人になれば、当然ぼくの中身は本物『狩人』で確定になる訳だ。『妖狐』が濃厚の奴が死んで、にも拘らず死体なしが出る以上はな。その場合でも、当然ハンニバルを心置きなく処刑できる」

 ……ナイヤを本物狩人で見るならば、確かにそれがもっとも安定する処刑順に見える。ハンニバルの動きは確かに怪しかった。チサトとのラインが露骨だったというのも事実。視野狭窄気味な盲信はたしかに冷静なハンニバルらしくない。まだしも二番手、三番手の『占い師』候補を考えていたナイヤの方が味方に思える。だが……

 「『ドナ』が『狂人』で、それで護衛失敗したらどうなる? 今の残り人数が六人、翌日四人でおまえ視点『人狼』『狂人』『狩人』『共有者または占い師』残りだ。『人狼』と『狂人』が投票を合わせれば、投票は二対二になってしまう」

 「もし『狂人』に『人狼』の居場所がはっきりしているなら、引き分け投票が続く。永遠にな」

 「……ああ。もしそうなったら……」

 「どうなるのかねぇ。わっかんねぇ。そんなもん夜時間にでも電話口で聞いてみるしかねぇだろ。『敗者復活』『慈悲』を掲げるこのゲームで、『引き分け』なんてぇ結果がどう処理されるかは分かったもんじゃねーがな。ま、んなもんぼくにはどうでもいいことだ」

 「どうでもいいって」

 「引き分けも負けも一緒だからだ。勝ってないっていう一点、その一点においてな」

 ナイヤはそう言って首を振るって

 「人がわざわざこんなくだらねぇゲームに参加してやったんだ。勝たねぇとおもしろくねぇだろ? ぼくが引き分けになんかさせねぇ。絶対にな」

 「ふん。『アンナ』が『妖狐』に見えるというのには俺様も同意してやろう。だが、死体なしなどでない。断言しておいてやる」

 ハンニバルは不適にそう言った。

 「何故なら君こそが最後に残った『人狼』なのだからな。『コーデリア』が『猫又』であったことを知っているのは、何も『狩人』だけではない。今日は『妖狐』のアンナを処刑する。それでもし『ドナ』が『背徳者』で道連れになれば、『エリザベス』から君に『クロ』が出て試合終了だ」

 「あかんで。そいつは『狂人』や。『エリザベス』を処刑してや。それでゲームが終わる」

 アンナがいう。俺は決断を迫られる。

 『アンナ』『ハンニバル』『ナイヤ』この中に確実に一人以上敵陣営がいる。アンナは『ドナ』を、ナイヤは『エリザベス』を本物で主張する立場。

 まずはどちらが本物の『占い師』か。それを決め打つ。

 「……どうするんですか? マコトさん」

 ドナがおずおずと言った。

 「信じてるわよぉマコトくん。あなたならきっと……正解に辿り着くわぁ」

 エリザベスがそう言って俺の顔を見る。ハンニバルが続けて言った。

 「言ったはずだ。虚を突くものは必ず破綻する。三試合を経験した君になら、『占い師』の内訳くらいははっきりさせられるはず。状況的に明らかだ。決め打ってくれ」

 今日は……今日の処刑先は。

 …………。

 「……ああ。腹は決まった」

 俺は言う。残り時間を示すデジタル時計は、もう二分もない。固唾を呑んで見守る皆に、俺は宣言する。

 「今日の処刑先は『技術者:アンナ』。『ドナ』を偽者占い師で決め打ち、『アンナ』は『妖狐』であると見て処刑する」

 ……これでいいはずだ。

 『ドナ』を偽で決め打つ。ここまでは辿り着いた。だがその場合でも唯一怖いのは、『アンナ』がもし『妖狐』でなく『人狼』だった場合。この場合は……。

 「アンナに宣言はあるか? 『妖狐』ではなく『人狼』であるという」

 ハンニバルが慎重を期すように言った。アンナはため息をついて、両手を晒した

 「あらへんよ。そんなのはただの悪あがきや。処刑の順番をずらす以上の効果はあらへん」

 ……。

 ……正解だったか。

 「しっかしナイヤくんも曲者やなぁ。うちをあぶりだすなんて。完全にひっかかってしもうたわ」

 「いないと分かっている『猫又』に出ろっつったことを言ってるのか? そこを褒めるのはナンセンスだね。あんなもんは、ひっかかるほうが悪い」

 ナイヤが飄々として言った。アンナはくすりと自嘲げに笑ってから、気の抜けた微笑を浮かべて、ドナのほうに視線をやる。

 「ところで。多分違うとは思うんやけど……あんたはうちの後を追ってくれる人なん?」

 ドナは何も答えずに沈黙を護る。アンナはおかしそうに笑って

 「だんまりやろなぁ。しかし。あんたもなかなかの嗅覚やと思うよ。よくエイプリルちゃんに『クロ』なんて出せたなぁ」

 「処刑回数を稼げそうな位置でしたから」

 ドナは静かに口を開く。アンナは愉快そうに

 「ドナちゃんには、ハンニバルくんとナイヤくんのどっちが『人狼』かの区別はついてるん?」

 「どうでしょう。ただ……どちらが『人狼』だったとしても、おとなしく引き分けにするようには、ちょっと思えません」

 ドナは少しだけ意地の悪い表情でいう。

 「そこなんよなぁ。問題は。まあ、マコトくん次第やろうて。うちらの命運は」

 アンナは諦観した風に言った。

 もはや自分の中身を隠す気もない二人のやり取り。『アンナ』に投票先を宣言した以上、『ドナ』が偽者であることも割れている。もはや取り繕う必要などもないのだろう。

 「ほなそれじゃ。霊界でまっとるで。人狼陣営さんも村人陣営さんも、せいぜいあがきいや」

 それ以上。もう言葉はいらない。このまま『アンナ』を処刑し、翌日『人狼』を処刑すればいい。

 残り数十秒。吊り縄の揺れる部屋で沈黙が続く。残り時間を俺達はただ、お互いに探るような視線を向けながら消化していく。静かな、胃がきりきりとするようないやな静けさの、そんな待ち時間……。

 「……待て」

 その静寂を切り裂いたのは、誰であろう。ハンニバルははっとした声でつぶやいた。

 「なんだよ『人狼』。いまさらなんかあんのか?」

 「これではいけない」

 「……?」

 ハンニバルは強い言い方で

 「このままアンナを処刑してはいけない。『ドナ』が『狂人』だったなら明日は四人残り、『人狼』『狂人』残りが発生するな?」

 ハンニバルは俺の方を見て訴えかけるように言った。俺は戸惑って

 「待てよハンニバル。『ドナ』が『背徳者』ならそのまま村の勝ちだ。そうでなくとも、仮に『ドナ』狂人で四人残りが起こったとしても、『狂人』には『人狼』の位置が分からない。『人狼』が名乗り出れば絶対に引き分けにしかならないだろ? 引き分けで生き残れるか分からない以上、『人狼』だって迂闊に名乗り出て引き分けにしてきたりは……」

 「『ドナ』が『狂人』なら、マコト、おまえに票を入れるはずだ」

 ハンニバルが言うと、ドナはつぶやくようにして言った。

 「……まあ。気づきますよね」

 俺は唖然としてドナの方を見る。ハンニバルは訴えかけるように

 「もう時間がないっ! よく聞けマコト。『ナイヤ』は『人狼』だ。よって死体なしなどでない。百パーセント明日は四人残りになる。

 その上で『狂人』のドナが『共有者のマコトに票を入れる』と宣言したどうなる? 当然『ナイヤ』は黙っておまえに票を入れてくる。そうなったらもう引き分け以下しかない。俺様はナイヤにしか票を入れない。そして、君が間違えて俺様に票を入れてしまえば、敗北するのは村人陣営だっ!」

 「……っ!」

 俺は絶句する。ナイヤは淡々と

 「そのとおり。ドナが狂人で、ハンニバルが村人陣営ならもう引き分け以下しかない。村に勝利があるとすれば、それはぼくが本物『狩人』で、護衛成功を出せた場合のみ。

 まあ。その事実に今更気づく時点でハンニバルが村人ってのはねぇよ。つか、一応気づいた振りだけしておいて、自分が村人だってアピールしたいだけなんだろ? どっちにしろ今日は『アンナ』を処刑する以外にねぇよ」

 「確かにそのとおりだ。今この状況、もしハンニバルが村人だったとしたら、もうどうしようも……」

 「違う。俺様が村人か否かなどどうでもいいっ! 村人陣営は『ドナ』に票を入れろっ! エリザベス、君は『アンナ』を占え。それで決着するっ!」

 ハンニバルは焦った様子で口にする。エリザベスは興奮した声で

 「分かったわぁん。あなたのいうことならなんでもしたがってあ、げ、る」

 俺は当惑して

 「ま、待て……どういうことなんだ、それは……? おまえが味方かも分からないのに従える訳……」

 「理解しろっ! 敵陣営三人をすべて殺しきるにはこの手しかないことをっ! 今日『狂人』を処刑し『妖狐』は呪殺すれば処刑回数は足りるんだっ! いいか……」

 ハンニバルが鬼気迫る様子でそう切り出したその瞬間……

 「……投票の時間になりました」

 無機質なアナウンスが響き渡る。

 「議論を終了してください。これ以降の発言はすべて反則行為とみなします」

 ぴしゃりとそう言われ、ハンニバルは歯噛みする。ナイヤはにやりと笑って、ハンニバルの方を見た。それから関心した風に、しかしどこかバカにしたような淡々としたペースで手を打ち鳴らす。

 ……どういうことだ?

 「投票室へ案内いたします。どなたからいかれますか?」

 俺は真っ先に手を上げる。先導されていく俺を、ハンニバルは睨むような視線で見つめていた。

 今の話を理解しろということか? しかしハンニバルが敵陣営で、口車に乗せられているだけという可能性もある。そうだ、『アンナ』を残して占えというのはまさに、自分かナイヤが占われることで、自らが「人狼」であることを悟られないようにするための発言ではないのか?

 ……だが。

 「考えろ」

 ……考えるのをやめるな。『ハンニバル』が村人で『ドナ』が『狂人』だった場合。確かに、このゲームはもう勝ち目がないだろう。引き分け以下、ドナとナイヤは俺に票を入れてくる。

 それを防ぐ為には『ドナ』を処刑する必要がある。しかしその場合は『アンナ』が残る。『妖狐』のアンナを残しては勝てない。ならばどうするか……?

 「……エリザベスが、アンナを占って。それで妖狐のアンナを殺せれば」

 翌日三人残り。『人狼』のナイヤを処刑すればすべてが終わる。

 「……なる、ほど」

 ハンニバル視点ならば、思えば簡単な話……しかしあの混乱の中からこの手を思い付けるのは、流石はハンニバルというところだ。俺なんかよりよっぽどまとめ役に向いている。

 ……しかし問題は『ナイヤ』と『ハンニバル』のどちらが『人狼』かという根本的な問題。だがこれは……。


 五日目:投票パート


 0『旅人:マコト』→『羊飼い:ドナ』

 0『青年:ハンニバル』→『羊飼い:ドナ』

 3『羊飼い:ドナ』→『技術者:アンナ』

 0『掃除婦:エリザベス』→『羊飼い:ドナ』

 2『技術者:アンナ』→『殺人鬼:ナイヤ』

 1『殺人鬼:ナイヤ』→『技術者:アンナ』


 羊飼い:ドナは村民会議の結果処刑されました。

 ハンニバルorナイヤ。

 どっちが人狼ショー。

 正解者にはクリスマスプレゼントとして特効の鼻毛が送られます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ