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旅立ち
のどかと言える村。聞こえるのは小川のせせらぎ、小鳥のさえずり。鼻をくすぐる緑の匂い…
それらを突き破る少年の怒鳴り声…
「できるわけ、ないじゃん!!」
直後に響いた鈍い音
少年は頭を抱えてうずくまっている。
その横には、金髪の青年が拳を握りながらも何もなかったかの様に涼しげな顔で少年を見下ろしていた。
「…怒鳴る必要はないんじゃないか?というかだな、開き直ったって、意味ないから」
「…っくううぅ…」
涙目でうらめしそうに見上げる少年を敢えて無視し、沈みかける太陽を細目で眺める。
「不穏な動きをしているな…」
親友が、王座に着くなど、天地がひっくり返ってもありえないのに、そう思っていたのに、あいつは…エディは、王となった。
ついつい苦笑を漏らしてしまう。
「…一人で笑ってやんの…」
少年の呟きの後、また鈍い音が響いた