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SAS  作者: 洗濯バサミ
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第二話


「昨日メールがあったんだけど、13日にテストがあるって」


 やっと手を離して貰えた陽牙が、なるほど、というように頷く。


「だから朝から騒がしかったんだね~」

「・・・・・・」


 殺翁も、相変わらずの無表情で同意を示し、蘭も納得したように頷く。


「はぁ・・・」


 そして示し合わせたかのように全員がため息を吐いた。何事にも無関心なあの殺翁ですら。


「またあいつら来るのかぁ・・・」

「・・・来るでしょうね」


 ふっと投げやりに笑い、遠い目をする陽牙。わたしも似たような目をしてるのだろうけど。


「あぁ~考えただけでうざい」

「・・・・・・」


 フードの上から頭を掻きむしる蘭。殺翁も顔をしかめている。いつも無表情で感情を表に出さないあの殺翁ですら。

 わたしたちが何をそんなに嫌がっているのかというと・・・


「よぉ。しばらくだなぁ、天使さん方」


 決して友好的とは言えない雰囲気をかもし出しながら、五人組の男女が近づいて来た。いいタイミングでご登場ね。


 このうざそうな五人組はいつもテストで三位の「海賊船(パイレーツシップ」。私たちと「AS」(チームについては後ほど説明するよ)に負け続けてるチームよ。そんな三流チームの人物紹介とかいらなっ・・・」

「おいっ!黙って聞いてりゃ言いたい放題か!三流とかいうな、三流とか!言っとくけどなぁ!お前ら「天使」と「AS」が強すぎるだけだからな!!」


 確かに「海賊船」は決して弱いチームじゃない。むしろ他のチームに比べれば飛びぬけてレベルが高い。だけど・・・私たち「天使」や「AS」には敵わないってわけ。だから一応その実力は認めてる。絶対言ってあげないけど。


「えっ口に出てた?気付かなかった~」


 これ厭味じゃなくて本当なんだけど・・・信じないだろうなぁ。

 案の定つっかかってくるし・・・。


「嘘吐けぇ!絶対わざとだろ!?」


 それにしてもなんでずっと怒鳴るみたいな音量でしゃべるのかな・・・うるさいよ。しかもリーダー以外しゃべってないし。まぁ他のメンバーも似たようなことしか言わないから別にいいんだけど・・・。


「で?何か用?」


 分かりきったことだけど、一応聞いておく。

 ふふんっと勝ち誇ったかのような顔をして(それもメンバー全員がそろって同じ顔をしていた)、リーダーはこう言い放った。


「今回こそは一位になってやるからな!」

「ねぇリーダーそれって負けるやつの言うセリフよ」


 やっぱり・・・と思いながら突っ込みを入れておく。負けフラグ立ってるよ。

 リーダーは、うぐっ、と言葉に詰まり、一瞬怯んだようだったがすぐに言い返してきた。


「う、うるさいうるさい!!いいか、見てろよ!お前らあとで絶対泣きを見るからなぁ!覚悟しとけよ!!」


 「海賊船」のリーダーはこちらをビシッと指差して子供っぽく喚き散らし、チームのメンバーを連れて去っていった。


「はぁ・・・やっと行ってくれたわ」

「今回はいつもより短かったなぁ~」

「あ~もう!相変わらずうざったい!テストの度に突っかかってきやがって・・・」

「・・・・・・」


 はぁ・・・一気に疲れた。今日は授業ないからまだいいけど・・・。


「あっ。才花、テストのプリントちょうだ~い」


 陽牙に言われて思い出した。今日集まったのはその為だったのに「パイレーツシップ海賊船」の登場ですっかり忘れてた。


「あぁ、そうだったわね。うっかりしてたわ」


 全員にプリントを配り終わり、詳細はメールする、と告げてとりあえず解散にした。


「・・・・・」


 すると、殺翁の姿が音もなく掻き消えた。

 陽牙が、ひゅうっ、と口笛を吹き、しかしたいして驚いた様子もなく呟いた。


「相変わらずやるね~」


 てっきり自分もそのまま去っていくと思ったら、くるりと振り向いて、すっかり油断していた蘭のおでこに軽くキスをした。


「っ!!」


 目に見えて不意を衝かれている様子の蘭。その顔を確認したあと、満足気に笑いくるりと向こう向いて、手を振りながら、じゃあね~、と鼻歌まじりに去っていく陽牙。

 蘭が怒るよ、絶対。分かっててやるんだから、しょうがない奴だわ。・・・というか、自分でキスしたりするのは平気なくせに、なんで人に言われるとあんなに照れるのかな・・・?

 この前の朝のことを思い出しながら、変なの・・・、と呟いたところで、ショックで固まっていた蘭がハッと正気に戻った。そして案の定怒りが沸いてきたようで、硬く握り締めた拳がぶるぶると震えている。ぎりっ、と、歯軋りとは思えないような音量で、しかし紛れもない歯軋りの音が聞こえてきた。怒りが尋常じゃないみたいね。


「あいつ・・・!ふっざけんなぁ!!今度こそ息の根とめてやる!!!」


 どこから出したのか手榴弾を両手に持ち、去って行った陽牙を追いかけるべく、食堂から走り去っていく。私はというと、至って普通に荷物をまとめ、席を立った。殺翁や陽牙たちのように派手な演出はしない。さすがに殺翁のようなことはできないし、なるべく目立ちたくない。とゆうか、「頭脳科」のわたしは本来裏方だよ。

 ・・・だいたい気付いていると思うけど、私たちは普通の学生じゃない。通っているのも普通の学校じゃない。


 ここは、日本一を誇る「暗殺者育成学校」。私たちは正真正銘「暗殺者」である。


               ~到達度テスト~

                             試験日 3月13日

                【試験内容】


     指定された人物の暗殺または捕獲。

     ターゲットなどの詳細は、のちにチームのリーダーのPCに送られる。


                【注意事項】

 

 1,ターゲットの居場所などの情報は自分たちで集めること。学校側は一切の協力をしない。

 2,他のチームへの妨害、情報操作、裏工作を認める。ただし、学校外の一般人に迷惑のかかることはしてはならない。(例:インターネット上の情報を書き換える。

                                  など

 3,任務に失敗したチームには、「特別補習授業」への強制参加が課せられる。

 4,任務に失敗したチームは直ちに学校側に連絡すること。連絡しなかったチームには、

  「特別補習授業」プラス一ヶ月の外出禁止、二ヶ月間全校舎の掃除が課せられる。                     

                          理事長 瑠緋戸るひと 菖蒲あやめ


長い・・・・!今回は長かったです。

あれ?なんか・・・長さのことしか言ってない様な・・・?


読んでいただいた方、ありがとうございました。

これからも、お暇でしたらお願いします。

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