第二十四話
テストの評価基準は大きく二つに分けられる。
まず分かりやすいのは“タイム”。テスト開始からの経過時間のことである。テストでは開始時間のみが決まっており、その時間から、終了したと理事長に通達をするまでの時間が短いほど得点が高くなる。理事長への通達は、理事長室にチーム全員で直接向かわなければならない。怪我人等が出た場合はきちんと伝えればよい。ちなみに、通達に行ったにもかかわらずテスト内容が達成できていなかった場合、得点はゼロとなる。
次に、“方法”。これは少しあいまいなものだが、例えば今回のテストの場合、いかに自然に殺す
か、というのが(他にもあるが)一番の基準となる。今回のように暗殺でなくとも、当然それなりの被害は出る。それをいかに自然に見せるかが評価されるのである。今までで一番評価が高かったのは、盗んだカツラを気付かれずに頭に戻したときだ。
と、まあこんな説明はこれくらいにしておこう。
いよいよ、テスト開始まで30分となったわけだけど・・・。
「なんでそんなに機嫌悪いの?」
自分の持ち場に立ちパソコンを開く。
「ねえ、冬弥?」
視線を移し隣に立つ冬弥の横顔を見る。
「・・・なんのことかな?」
一見いつもどおりに見えるやわらかな笑顔だが、今日はどこか硬い。
「いや、明らかに不機嫌でしょ」
「・・・はぁ。知ってるくせに、聞かないでよ」
取り繕うのを諦め、拗ねた表情を浮かべている。
「・・・・・・ふふっ」
あ、やばい、思い出しちゃった。
「あぁーもー・・・・・春貴のせいだ!」
「ふふっ、結構似合ってたわよ?あのリボン」
「嬉しくないから!あぁ、思い出させないでよ・・・」
昨日の打ち合わせの後、冬弥は春貴に着けられたリボンに気付かないまま部屋に戻ったらしい。そのまま過ごし風呂に入る段になり初めて気付いたが、寮の部屋の鍵は防犯のため午後10時から午前5時まで内からも外からも開けられなくなる。そのため春貴への仕返しは朝になってしまったらしいが、さっき見た限り一晩で怒りは衰えなかったみたいだ。
「はいはい、もうこの話は終わりだよ。こら、いつまでも笑わない」
さっきまでの拗ねた顔はいつもの食えない笑顔に戻ってしまった。
「あ、ばれてた?」
「分かりやす過ぎ」
「ごめんごめん。みんなは?」
「大丈夫だよ。ただ陽牙と蘭がね・・・」
はぁ・・・本当にどうしようもないわね。
「こんな日まで喧嘩してるのね・・・」
トランシーバーを陽牙に繋げる。
「陽牙?またなんかやったのね?」
『何で俺が悪いって決まってんのさ~』
「じゃあ違うの?」
『そのとおりだけどね~』
楽しそうな笑い声が聞こえ、悪戯っぽい笑顔が目に浮かぶ。
「こんな日くらい仲良くしてよね。ほら、もう15分しかないし」
『はいは~い。俺の方はばっちりだよ~』
トランシーバーを全員に繋げ呼びかける。
「他は?みんな大丈夫?」
『はい、陽動担火炎班、問題ありません』
あぁ、夏美に任せて正解だったな。分かりやすくていい。
『同じく陽動担当、問題ありませんわ』
『捕獲担当、問題ないよ~』
「じゃあ全員開始までそのまま待機ね」
『了解』
全員の声が重なり通信が切れる。冬弥は通信が切れたことを確認すると、残りのふたりに繋げる。
「ふたりとも準備できてるよね?」
少しも心配していない声で冬弥が尋ねる。
『こっちは大丈夫だよ』
『・・・問題ない』
答えるふたりも全くいつもどおりだ。
何故ふたつに分けて確認したかというと、単純に混乱を防ぐため。指示を出すにしても、暗殺は基本
的に単独プレーなのに対し、他の担当は連携プレーが重要になる。冬弥とわたしは同じ場所に居るため暗殺担当との細かい調整はここでできるので、分けた方が楽なのだ。
ちなみにわたしたちがいるのは、革獅子と冴苗が来る予定の廃工場の近くの道路。路上で大丈夫かと思うかもしれないが、あらかじめこの一帯は工事中ということにして通行止めにしてあるため問題はない。というか、そもそもここら辺は人が住んでいないから全然問題ないんだけど。
「後一分だよ」
冬弥の静かな声が静寂に飲み込まれていく。
「分かった」
短く答え、目を閉じる。そのままじっと、待つ。
長いような短いような沈黙の後、トランシーバーから聞こえる無機質な声。
【テストを開始します】
やっとテスト・・・です;
もー!話が進みません!早くあのシーンを書きたい・・・とか思うのに中々進まない上に書く時間自体ありません;;
くそぉ・・・高校生忙しいよう。中学校に戻りたいです(笑
というか前に小学生と間違えられました(泣
靴下を親と買いに行ったとき
店員さん「中学校にご入学ですか?」
切なかったですねー、あれは。
はい、どうでもいい話でした。すみません。
読んでくださった方、本当にありがとうございます!
相変わらずのろのろ更新ですが、頑張って行きたいと思いますゝ