第一話
次の日、食堂に集合した私たち四人は、窓際の一番奥まったテーブルに座って、各自思い思いの飲み物を手にしていた。この食堂で、一番目立たないテーブルを選んだというのに、周りからの無遠慮な視線がぐさぐさと突き刺さってくる。何人もの生徒が私たちを見ながら何事か話している。まぁ・・・おおかたテストのことだろうけど。
「な~にしてくれちゃってるのかな。さ・い・か・ちゃん?」
陽牙が張り付いたような笑顔で話しかけてくる。わたしも笑顔で応戦。
「どうかした?陽牙くん」
「しらばっくれないでよ~?どうしてくれんのさ。俺のパソコンのデータが全部、グロい死体写真に摩
り替わってるんだけど?壁紙も心霊写真になってるし、どうやっても全然変えれないし」
「それなら大丈夫よ。一週間経てば自然に戻るから」
「どこら辺が大丈夫なのかな?一週間これで過ごせと?俺がこの手のやつ苦手なの知っててのやってるの?ねぇ」
ふふっ、た~のしい。思ったとおりの反応だわ。
「当たり前じゃないの。陽牙のために、すっごく怖くてグロい写真を選り抜いたんだから。大変だったわ~。普通のサイトじゃちょっとレベルが低かったから、警察のデータベースにもハッキングしたの」
「なぁに才能の無駄遣いしてんの?嫌がらせにそこまで手をかけないでくれない?」
「大丈夫よ。前から作ってあった、いつか使おうと思ってたウィルスだから、全然大変じゃなかったわ。だから心配しないで」
にっこりと笑いかける私とは対照的に、陽牙は苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「心配なんてしてないからね~。問題はそこじゃないしさ」
私がうっきうきで言い返そうとしたところで、蘭が止めに入った。
「いいかげんにしろよ、ふたりとも!わざわざ集まったのになにやってんだ」
「・・・・・・」
殺翁も呆れた目で見ている。殺翁って何考えてるのか分かりにくいけど、しばらく一緒に居れば、なんとなく分かるようになる。殺翁の無表情は笑顔で本心を隠す奴よりもよっぽど分かりやすい。慣れたら、むしろ駄々漏れかもね。
「で?結局何の話だっけ?」
陽牙は諦めたようにため息を吐いた。
「そうそう、陽牙をからかうのが楽しすぎて忘れてたわ」
「おいっ!」
また文句を言いかけた陽牙の口を、蘭が後ろから手を回して塞ぐ。
「黙れ」
「!!!・・・む~っ」
急な接近に驚いたのかちょっと赤くなっている陽牙。幸い後ろに回っている蘭に陽牙の顔は見えないけど。蘭の手を剥がそうとしながら、離してくれ、と目で訴えている。
うん。とりあえず放置の方向で。
「・・・・・・」
殺翁は黙って話を聞いている。どうでもいいけど、驚くほど自己主張が少ないわね。いや、・・仕事のときには便利だし必要だと思うけどね。
今回は短めでしょうか・・・?いや、長い・・・?
基準がわからなくなってきております(笑