第十七話
数秒後、ピロンッという電子音と共に、画面に“正解”の文字が浮かび上がった。
「おおっ!才花すっげー!!」
「ふふっ、よかった」
わたしたちが喜んでいるところに、理事長の執事が今の戦況を説明しだした。
「たった今、天からの使者チームが第一問を突破いたしました。All Seasonチームとは1.34秒差でございます」
ちっ、負けてる。
「なぁなぁ、なんで、Cの“皮膚”になったんだ?」
蘭が次の問題を読んでいるわたしの服の袖をくいっと引っ張る。
あぁ、そういえばまだ説明していなかった。
「この問題形式上は、クイズの様だけど問題自体はいわゆる“暗号”寄りなのよ。そうね・・・例えばミステリー小説とか読むと分かると思うんだけど、暗号を解くには大体方法が限られてくるの。今回わたしが使ったのは“五十音表”」
「“五十音表”?って、あの・・・ひらがなが並んでるやつだよな?あいうえお、とかの」
「そうそれ。五十音表を使うには、まず対象をひらがなにしないと意味が無いから、よっつの選択肢をひらがなにして考えるの」
蘭が指を折りながら、家、布、皮膚、裾、と選択肢をあげている。
「それで、キーポイントは問題の“中がない”ってところ。はじめに“い”と“え”つまり“家”ね、これを五十音表で見ると、“い”と“え”の間・・・つまり“中”には・・・」
「“う”がある!」
蘭が目を輝かせて答える。なんだか先生にでもなったような気分だ。
「そう。この方法で他のも考えれば答えが出るわ」
「えっと・・・“ぬ”と“の”の中には“ね”、“す”と“そ”の中には“せ”がある!中がないのは“ひ”と“ふ”でつながってる“皮膚”だ!!」
「正解。じゃあ、次の問題に移るわよ」
画面をさして蘭に問題を読ませる。
『第二問ある国の船に、柿と金庫と菊が乗せられています。さて、この船はどこの国の船でしょう。
最終問題の前だし、気を抜いて答えてもらって構わないわよ。
作者:理事長 』
「なんかさらにわかんねぇ・・・」
蘭は早くもお手上げのようだ。
そういうわたしもまだ分からないんだけど。
「それにしてもなぁ・・・この最後のコメントが理事長らしいっつーか・・・」
「本当にね・・・」
・・・あれ?何かひっかかった。なんだったかな・・・確か蘭の言ってたことになにかあったような・・・・・・。
「まだあっちも分かってないみたいだぞ」
冬弥たちの方を指差している。
「ええ・・そうね・・・」
頭では思考を続けながら相槌を打つ。
「・・・・分かった!」
「へ?何が?」
蘭が首を傾げる。
「答えへの糸口よ」
そう言って少し考えたあと、答えを打ち込む。
「蘭、ありがと。蘭のおかげで分かったわ」
わたしが満足気に微笑むと、蘭はますます首をかしげた。
「え?あたし何にもしてないけど・・・?」
確かに何もしてないけど
「とても重要なことを言ってたわ」
そして電子音と共に画面に現れた“正解”の文字。
思わず蘭とハイタッチを交わした。
今回の問題も自作です。
そのためレベルはそれなりですが・・・。
そして短いですね。うーん、計画性がなさ過ぎると言うか・・・。
ここまで読んで頂いてありがとうございます!
これからもぼちぼち更新ですが、がんばります。