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SAS  作者: 洗濯バサミ
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プロローグ

はじめまして、洗濯バサミと申すものです。


えーっと、実はこの話、友人と共同制作で作っています。

友人が人物の名前などの原案を書き、わたしが文を書いております。


お暇でしたら、読んでやってください。

カチッ・・カチッ・・カチン


秒針が「12」を指すのと同時に、むくりと布団から起き上がる。時計が「6:00」を示していることを確認すると、彼女は満足気に微笑した。

手早く朝食を済ませ、寮から学校への道を一人で歩いて行く。その姿は凛として強く、そして美しかった。

彼女の名は天野あまの 才花さいか。どちらかと言えば小柄で童顔。かわいい顔をしている。烏の濡れ羽のようにつややかで美しい黒髪は、すっきりとしたショートボブ。黒曜石のような瞳は力強く前を見据えている。

そんな彼女の背後に、一人の男が音も無く現れる。どうやら友達のようで、才花は笑顔で振り向いた。


「おはよう。殺翁」

「・・・おはよう」


他人が聞いたら怒っているのかと不安になるような、不機嫌な声で短く答える。

彼の名は暗野あんの 殺翁さいおう。背は高くないが低くはなく、細身で身軽そうな身体をしている。地味だが端正な顔をした彼の表情はピクリとも動かない。まるで顔の筋肉が凍り付いてしまったかのようだ。下手に整っているので、怖さが倍増している。髪の毛は才花と同じ烏の濡れ羽色で、少し短めにカットされている。瞳は才花よりも、深い、深い黒。どこまでも吸い込まれてしまいそうな、闇のような黒。

二人は何をしゃべるでもなく、ただ黙って歩いている。そこに気まずさはなく、むしろ穏やかな空気が流れている。

その穏やかな空気をぶち破るように、遠くからすごい勢いで走ってくる足音が二つ。音の主が分かったふたりは、どちらともなしに足を止め、振り向いた。


「はぁ・・・懲りないね、陽牙も」

「・・・・」


殺翁も無言で同意を示した。


「止まれこのクソ野郎!今日こそ木っ端微塵にして、二度と拝めないような顔にしてやる!!」

「きゃ~!こっわ~い」


鬼のような形相で、爆弾片手に男を追いかけている彼女の名は、火神かがみ らん。フード付きのだぼだぼしたコートを着ているため、体系は分かりづらいが、中肉中背。髪は染めたかのように鮮やか茶色。瞳は髪より濃いこげ茶。目立たないが結構美人である。


「気色悪い声だすな!この女っタラシ!!」

「え~心外だなぁ。俺ほど女の子を大切にする奴はいないよ?」


逃げながら笑顔で答えるこのチャラそうな男の名は、朝宮あさみや 陽牙ようが。今は茶色く染めてある長めの髪は、先々週までは金髪だった。蘭と同じ色をした切れ長の瞳は、見るものを魅了する。すっと通った鼻筋にシャープな顎のライン。間違いなくイケメンである。背が高く細身だが、無駄のないしなやかな筋肉を持っており、身軽で持久力もありそうだ。

さらに激しいバトルを繰り広げそうになっている二人を、いや蘭を、才花がなだめる。


「まぁまぁ、蘭。そんなに怒らないの」

「そぉそ。あんまり怒ると身体に悪いよ~」

「なっ!誰のせいで怒ってると思っ」

「はい、ストップ!陽牙は余計なこと言わない」


また攻撃をはじめそうになった蘭を止め、陽牙を叱りつける。殺翁は黙ってそれを見ていた。我関せず、

という感じである。


「今日は何やらかしたのさ、陽牙?」

「え~何にもしてないよ?ただちょ~っと協力してもらっただけ」


そう言っていたずらっぽく笑う陽牙。どうも機嫌がいいみたい。蘭はすごく機嫌が悪いみたいだけど。

ふたりに詳しい話を聞いたが、陽牙が蘭をからかったり話をまぜっかえしたりして長くなったので、要約するとこんな感じ。


朝、陽牙に女の子が告白してきた。それを断ったところ、「付き合ってるひとがいるんですか?誰なんですか?」と問い詰められ、困っていたところに蘭がちょうど歩いてきた。「この子が俺の彼女。だから・・・ごめんね?」陽牙はそう言って蘭の肩を抱き寄せた。女の子が去っていった後に、固まっていた蘭が正気に戻り、さっきの状態に至る、というわけらしい。


「まったく・・・何やってるのよ、陽牙」


そんなことしたら怒るに決まってるのに・・・。私がこれ見よがしにため息を吐くと、陽牙は悪びれた様子もなく肩をすくめた。


「俺ちゃんと謝ったよ?」

「あれは謝ったうちに入らない!」


蘭は納得していないらしい。まぁ悪いのは十中八九陽牙だろうし。しょうがない、奥の手を出すか・・・。陽牙近づいて行って、耳元に小声で一言。


「・・・好きな子ほどいじめちゃうってわけ?」


途端に陽牙の顔が真っ赤になった。相変わらず見掛けによらずピュアね。チャラくって女ぐせ悪そうなのに、実は本命には告白もできないなんて。

くそっ、お前後で覚えとけよ、と陽牙が小さく毒づいた。


「・・・ご、ごめんなさい」

「・・・許す」


軽く涙目になりながら、じとっとわたしを睨んでくる陽牙。蘭はとても満足そうだ。


「これで一件落着っと。さぁ、学校行くよ」


まだぶつぶつ言ってる不機嫌そうな陽牙と、ご機嫌になった蘭を連れて歩き出す。その後ろを殺翁が黙って付いてくる。いつもと同じ、平和な朝だ。

―――――――――――-‐-

なんだかんだで、何事もなく一日が過ぎ去った。平和すぎて怖いくらいね。

いつもの習慣でメールボックスを確認すると、メールが届いていた。珍しく学校からだ。なんだろうと思ってみてみると、もうすぐテストがあるとの通知だった。


「あぁ、もうそんな時期だっけ。・・・また面倒なのが来るのね」


あぁ・・・憂鬱。テストよりもあいつらの方が面倒くさいわ・・・。なんて考えながら、ふとパソコンに目をやると、もう一通メールが届いていることに気付いた。誰からだろう?


「・・・陽牙?」


なんで陽牙から?不思議に思いながらメールを開くと“お前絶対覚えとけよ”と一言。

まだ朝のこと根に持ってるの?そんなに気にしなくても蘭は絶対気付かないのに・・・。

五秒くらい経ったところで、パソコンの画面に爆弾が現れた。機械音が鳴り響く。


「10….9….8….」

「甘いね。こんなので私には勝てないわよ」


ま、陽牙も分かってのことだろうけど。ふふっ、と楽しげに笑い、素早く爆弾をクリックしてキーボードで解除コードを打ち込んでいく。


「今回は結構レベル高かったかな?」


セキュリティにも引っかからなかったし・・・。無事解除し終わって満足気に呟くと、返信ボタンを押して、少し考える。


「このぐらいかな~」


カタカタと打ち込んでパソコンを閉じた。大きく伸びをして、電気を消してからベッドに潜り込む。ふふっ、そろそろ見たかな、陽牙。いい気味。にやりと笑い、才花は静かに眠りに落ちた。一方その頃、男子寮のある一室で断末魔のような悲鳴があがったとか。


―――――――――-‐-

From:才花

 件名 :RE:

本文 :80点。なかなかやるわね。

    あと、明日食堂に集合ってみんなに伝えといて。

     P.S.添付ファイル見てね。

                        才花

“添付ファイル有”


―――――――――-‐-


なんか長くなってしまった気が・・・。すみません。

読む気うせるよとか思った方もいますよね(笑


ここまで読んでいただいた方、ありがとうございました。


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