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41 冗談はここまでにしておいて

 「さァて、愉しまセてもらッたヨ……ククっ」


 くそくそくそくそ、もうなんなんだよまったく。

 腹を抱えて笑っているカデンツァに跳び蹴りしようとしたが実体ではなかったようで、見事な空振り。私は着地失敗して顔面からすっころんだ。幻影魔術ファントム・ビジョン恐るべし。

 寡聞にして存じ上げないが、前年度末の競技会でもこの手を使って対戦相手を翻弄したんだろうな。


 感じ悪い選手権覇者のエリアスにしろ、変態カデンツァにしろモフ耳可愛いリューガにしろ……攻略対象共、これ絶対にヒロインに対する扱いじゃねえからな! 覚えとけよ。

 いまの私は悪役令嬢どころか、ただの悪役下っ端やられ役っぽい立ち回り(変な二つ名付き)な気がする。今頃、ざまぁを謳歌しているルイーザ様は何をしておられることやら。

 ただ私の残念っぷりは、きっとローゼルたん自身じゃなくて私の個性が爆発してしまっているせいな気がするよ。ふむ……これくらい主人公の性格を自由に、プレイヤーのやりたいように設定出来たら面白いかもなぁ。


 なんて、私がこの悪夢から醒めれば、の話だけれど。


 私がもし仮に、考えたくもないけど死んじゃってるのだとしたら……私は、ローゼル・ベネットとして生きていくしかないのかな。

 そうしたら何もかもやり直しだ。大嫌いだった体育の授業……はないけど、ローゼル、結構運動神経よくて戦闘でもかなり役立ってるし。死に物狂いで勉強した受験……はもう入学式済だから終わっている。

 え、悪くないかも……? いやいやいや、冷静に。そんなことは当面の問題を片付けてから考えよう。


「冗談はここまでにしておいて……ウィス坊、儂はそろそろおぬしらの特訓の成果を見たいんじゃがのう」

「ソレはこっちモ同ジだヨ……どちラの弟子ガより使えルようニなったノか、勝負といこうカ、リューガ先輩?」


 ん? なんだって。冗談? じゃあさっき私が殺人ピエロに追っかけ回されながらリューガの正拳突きを躱していたのは?


「余興じゃな」

「不条理だ……この世界は不条理が過ぎる」


 がく、と膝を折って座り込んだ私をソウビが雑に引っ張り上げた。いいじゃん、少しぐらいは悲劇のヒロインごっこをさせてよけち、おこりんぼでけちのソウビくん!


「ところでソウビの苦手なものってなんだったの」

「……あんたに言うわけないでしょ。悪用されそうだし」


 しないよ、どれだけ私信用ないんだよ。

 嫌いなものをソウビが座る定位置に仕掛けたり、ラブレターを装った手紙の中に同封したりしないのに。ソウビが忘れて油断しきった頃にからかいはするかもしれないけどね。


「ちぇー、まあいいや。ようやくソウビと一緒に練習できるんだもんね。張り切っちゃうぞぉ!」

「……怪我しないでよね。あんた無茶苦茶するから」

「大丈夫大丈夫、どうせカデンツァ先輩が回復用の治癒魔法結界を張ってるだろうし」

「そういう問題じゃなくて! あんたは、何もわかってないっ……」


 な、何故私いま怒られてしまったのだろう。

 首をかしげていると思いっきり顔をそらされてしまった。どういうこと?


「若イねェ……」

「そうじゃのう」


 おいそこのじじいども、訳知り顔で頷いてんじゃねえぞ。

 こっちはコンビ解散の危機やねん。って、いつから漫才コンビ組んどったんかーい。もうやってられませんわあ。

 どもっ、ありがとうございましたー。


 なーんて、舞台袖に引っ込むところまで頭に浮かんでいるあたり、どうにも私には緊張感が足りないようだった。

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