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29 幻影魔法 ーファントム・ヴィジョンー

「ヨく気づいたねェ。この密林フィールドが魔導装置にヨルものではなくテ、ボクの構築しタ幻影ファントムだっテ」

「……あんたは最初から俺たちを勝たせるつもりだったんでしょ」


 ソウビがカデンツァをじろっと睨んだ。


「え、そうなの?」

「気付いてなかったのか……」


 素っ頓狂な声を上げると呆れた視線が私に突き刺さる。ごめんね、察しが悪くて。


「演習のとき、ルイーザが氷結結界を展開してたでしょ。あれも【幻影魔法ファントム・ヴィジョン】の一種。それを打破する方策ぐらいとっくに考え付いてるだろう、っていう課題をカデンツァに出されたわけ。試されてたみたいで苛つくけど」

「そ、そうだったんだ……」


 主人公、頭悪い説――いや、頭かたいだけ、私見た目は子供で精神がアラサーだから! うん、言い訳してて恥ずかしくなって来たぞお。

 あの突然の雪景色が【幻影魔法ファントム・ヴィジョン】とやらだったとは……。

 口にしたくもない二つ名の付与と単位落としたショックで感想戦すらしてなかった私の一歩、二歩、三歩先を行っていたソウビくん。正直推せます――さっすが相棒!


「ゴ名答。イイパートナーじゃないカ。邪魔者ハ身を引くとしよウ……新しい飼い主のもとで幸セにおなリ」

「いや私、先輩のペットじゃねえですから……」


 飼われていた記憶などない。いちおうここは否定しておかないと尊厳を保持できないところだ。この勝利により檻回避ルート来たって私、信じてますからね。


「ほォら、見てごらン。キミが喉から手が出るほど欲しがっていタ氷結魔法れいぞうこでキンキンに冷やしておいタつめた~イお水だヨ?」

「わんっ!」

「あんたってやつは……犬以下だよ」


 差し出されたグラスの水を一気飲みした私にソウビは呆れを通り越して憐れみの視線を向けていた。うるせえ、水がないと人は死ぬんだよ。


「うききっ」

「おヤ、マイケル。監視ご苦労サマ……そうイえバ、ひよこチャンは動物会話ガ出来るんだネ。ボク、他ニソレが出来るヤツ、ヒトリしか知らナいよォ」

「……ひとり、動物会話……」


 おろ、何か思い出しそうな予感。

 いや、これ私が作ったゲームなんだから何もかも知ってる全知全能の神的存在であってしかるべきなんだけど、ローゼルである期間が長くなるにつれてチートどころじゃなくなってきたのよ。

 こんな予定になかった悪役令嬢とのバトル組み込まれ、モブと相棒になるルート辿ってるせいでストーリーの先読みも出来ないし。

 あとローゼルと私の境目がぐちゃぐちゃになって記憶が混濁してきてる、っていうか。


 カデンツァによれば、【幻影魔法ファントム・ヴィジョン】は行使者の描いたイメージのとおりの空間を現実とおなじ質感で再現するというものらしい。


 結界魔法を組み合わせ、空間の中に獲物ターゲットを閉じ込めるのが定石。

 さっきまでジャングルでお猿と戯れていた身には実にわかりやすい説明だった。

 この理論を学べる科目を選択できるのは第二学年からだし、そのうえ難易度が高すぎて単位を諦める者が九割だ。専門家がいる研究機関でないと教わることさえ難しい魔法理論なのだ。

 第一学年のルイーザがこの魔法を習得していたということ自体が「不可思議だネ」とカデンツァは笑んだ。


「【幻影魔法ファントム・ヴィジョン】へノ対応方法はネ、構築されタ空間ガ虚構であルと見抜くことガひとつ、そしテ、展開した領域の脆イ部分を見つけテ、そこヲ叩クことダ。さっキひよこクンがやっタみたいニネ?」

「あー、カデンツァ先輩の居所がつかめない、って探知魔法使ってる振りして、結界の継ぎ目探してたんだね……」

「気付くのが遅いっ! 念話である程度情報共有してたでしょうが!」


 お猿のマイケルが耳となって、カデンツァに情報を伝えている可能性があったので作戦内容は主に言葉ではなく念話を使っていた。

 つい私のの考えがソウビに漏れて伝わりそうになって焦ったけど。たぶん若干あふれてたから、私からちょっと距離取ったでしょ、ねえ。

 金剛ダイヤメンタルとはいえ傷つくよ!

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