空を飛ぶのはお前だ
午前の授業が終わって、気付いたら僕はこの場所に来ていた。
H.G.同好会の文字。
何をやってるんだろ、僕は。
扉に手を伸ばそうとして、一瞬躊躇った。
僕は一体何を求めてるんだろうか。
突然目の前の扉が開け放たれた。
「来たか、宮前。まぁ入れよ」
「え、あ」
椎倉は相好を崩して僕の伸びきった腕を引っ張ると、部室へと連れ込んだ。
昨日と何も変わっていない、雑然とした部屋だった。
「ふむふむ」
椎倉は腕を組んで、僕の身体を上から下まで観察する。
腰を落として足のふくらはぎや太股を撫で回す。
「ちょ、ちょっと、なになに?」
「いや、宮前はひょろそうだが意外とがっしりしているなと思ってな」
「くすぐったいんだけど……」
上半身の胸から腹にかけての筋肉も吟味するような指で揉んでいく。
「お前、何かスポーツやってた?」
「昔はやってたよ」
サッカー部だったということは自然と伏せていた。
期待しないし、期待されない生き方。高校からの癖で自分の過去を僕はあまり人に話さない。
「これならいける。絶対、飛べる」
眼鏡の奥にある椎倉の目が一段と鋭くなり、確信に溢れたものになる。
「お前はどうしたい?」
「僕は……」
僕は一体どうしたいんだろう。
一年生から何もすることなく過ごしてきた。これからもそうであるはずだった。
「飛びたいか?」
「……ちょっと」
「嘘付けよ、ちょっとじゃねぇだろ」
にやにやと笑って僕の肩を叩いた。凄い勢いをつけて腕を振りかぶったものだから、衝撃に備えていたけどあんまり痛くなかった。
「まぁいいや。よし。今日からお前は同好会の一員だ」
「……え」
「なんだよ。飛びたいんだろ? お前専用の機体、俺が作ってやる」
僕は躊躇っていた。他人を避けてきた僕がサークルをやるなんて……。
「なに、思い詰めたような顔してんだよ! やりゃいいじゃねぇか!」
「……わかったよ」
「改めて、二年の椎倉雄大」
「二年、宮前翼」
鋭利な瞳を細めて、爽快に笑う椎倉。彼はとてもよく笑うと思った。
「いま何してたの?」
大きなハンググライダーが翼を床に窮屈そうに広げていた。
椎倉は腰を下ろして、足を組んで翼の端から端までを念入りにチェックしている。
「昨日落ちちまったからな。多分木とかに当たってパイプとかへしゃげてると思ってチェックしてるんだ」
「翼には穴が空いてたもんね」
「多分買わないといけないな、また」
椎倉の話によると、メインのノーズプレートは大丈夫だったそうだ。
ところが、交差するクロスバーが少し曲がり、翼を風の抵抗に負けないように真っ直ぐ伸ばす役割を果たす、バテンが折れている。前翼に取り付けられているリーディングエッジも同じような状態らしい。
僕は飛ぶには、翼があればいいと思っていたけどそうではないようだ。
もちろん翼も必要だが、それを支える人間の骨とも言うべきバーがないと風に流される。
「やっぱり部品足りないな。あのとき落ちちまったのかぁ」
椎倉は翼に固定されているナットを外して確認している。
いまはハンググライダーのナイロン製の翼は外され金属支柱だけになっている。
「ないと困るの?」
「一個ないだけで、そこから緩んで飛んでる最中に振動して真っ直ぐ飛ばないんだ」
「探しに行く?」
昨日落ちた場所に行けば、ない部品も見つかるかもしれない。とっても疲れそうだが。
「そうだな」
僕は立ち上がって部屋を出ると、椎倉が着いて来ていないことに気付く。
「……なにしてんの?」
椎倉は部室で胡座をかいて、こちらに背中を向けている。機体の調整に勤しんでいるようだ。
「お前に任せた!」
「一緒に行こうよ!」
「……うっ、動くな、悪魔の心臓がっ! 静まれぇぇ!」
突然胸を押さえ始めて、部屋の地面を転げ回る。僕は呆れて長い溜息をついた。
「僕も暑いのいやなのにな……」
「ここは任せて先に行け! 部品は頼んだぞ!」
そう言うと、背中を丸め部品の解体と確認の作業に戻ってしまった。
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もう登ることなどないと思っていた。今まで存在には気付いていたけど、登りたいと思わなかった。山道の風景は昨日とまったく変わっていない。暑さも登る辛さも一緒だ。鳴いているセミなんて昨日より多い気がする。
椎倉が来なかったのは体力がないせいだろう。昨日三十キロ相当の機体を持って帰るときもバテるのが僕より速かった。実は一年生から運動はしていなかったけど、筋力は中学時代からあまり衰えていない。ボランチとして鍛えられた体力は底なしだったがこの坂は別だ。
「あつい……」
サークル棟にいるときはまだ幾分か涼しかったが外に出た途端この暑さだ。
身体から汗が一気に噴き出る。
僕は足を懸命に動かし、登ることだけを考え始めようと思ったときだった。
坂道で立ち止まり、辺りを見回す。
見渡す限り樹木が立ち並び、間を抜けるだけで骨を折りそうだった。
どこだっただろうか、椎倉が飛んだ場所は。
昨日は椎倉という目印を頼りに森を突き進んだが、今回は何もない。どのくらい登って森に入ったかも覚えていなかった。もっと山頂の方だった気もするが、下の方だった気もする。
無理だ……これ……。
あの場所に向かうことさえ困難なのに、小さな部品を下草が茂るなかから探すのは不可能に近い。何か下るときに目印でも付けておけば話は違っていただろう。
もう少し登ってそれらしいところがなかったら帰ろ……。
登山するような格好で来ていないのでズボンやシャツが濡れて気持ち悪い。辺りを見渡しながら登ろうと思っていたが、次第に頭が下がり地面ばかりを見ていた。こめかみに浮かんだ汗がぽたりと落ち、乾いた地面に吸い込まれた。
もう帰ろう。これは無理だ。
僕は重い頭を起こし、視線を上げた。
僕の少し先に少女が、いた。
偶然彼女もこちらを振り返っていたようだ。大きな瞳をさらに大きく見開いている。チェックのスカートを履いていて、ブラウスの上には白いベストを着ている。この位置から少女のスカートから伸びる白い足がよく見える。身体全体の線は細く抱きしめれば折れそうだが、胸は服の上からでもわかるほど大きい。
「……宮前くんだよね?」
確認するように彼女は控えめに訊ねた。
「え、あうん……」
「私のお願い、聞いてくれないかな?」
彼女の薄い唇がぽつぽつと小さな言葉を紡いでいく。
「私、あそこに行きたいの」
滑らかでくきのように細い指が、ゆっくりと上に上がっていく。僕は指の先を視線で追った。
頭上の木々の梢を抜け、葉の間を抜けていく。僕には、それが――空を差しているように見えた。
「一緒に行きたいっ! 無理なら、私死んじゃうからっ!」
大きな瞳をぎゅっとつぶって、彼女はこちらに飛び込んでくる。彼女の方が少し高い位置にいたため僕の方へと降ってくるようだ。避けることもできたはずだった。だけど僕は彼女をしっかりと受け止めた。
彼女の身体を受け止めると、衝撃で身体が後ろへ流される。少し身体に力を入れ、胸に少女を抱きかかえた。ずるずると背中に暑さと痛みが走った。
ようやく摩擦のおかけで僕と彼女は坂を滑り落ちることがなくなった。
「大丈夫?」
彼女は僕の胸に身体を寄せ、顔を押しつけている。
よっぽど恐かったのだろうか、目をぎゅっと閉じ、シャツを掴む指にはかなりの力が入っている。
「もしもし?」
「……えっ!?」
少女は自分がいる場所に気付いたようだ。慌てて立ち上がろうとする。
「ご、ごめんねっ、きゃぁぁ」
僕と彼女は坂下に頭を向けている。
少女が体勢を直そうと地面に手をついた瞬間、滑って身体がさらに僕の方へともたれかかる。
「お、落ち着いて」
落ち着くのは僕も同じだった。女の子とこれほど近くで吐息を交わしたことはない。
「うん、ごめんねっ」
謝るなら飛び込まなければ良かったのに。だけど文句を口にできなかった。
飛ぶときの彼女には何かしらの決意のようなものが見え隠れしていた気がしたからだ。
少女がようやく動転から回復したころを見計らって、僕は立ち上がって訊ねた。
「えっと名前は?」
「文月綾っていうの。宮前くんのことは知ってるよ」
僕に文月という名の女の子に心当たりはない。
況してやこんなに可愛らしい女の子を忘れるはずがない。
それからしばらく沈黙が降りた。
文月は何も言わなかったが、どこか返答を待っているように思えた。
彼女の死ぬという言葉。普通に頼まれごとをされていたら、断っていたかも知れない。
でも死ぬとまで言われれば躊躇う。
文月と目が合ったがすぐに外される。
彼女の目は不安に怯えているように見えた。
「……で、行きたい場所って……空?」
僕の言葉を了承と受け取ったのだろう。文月は、笑みを顔一杯に広げた。
「うん! 近いかも。ちょっと来てくれないかな」
言うと文月は、僕の手を控えめに握って坂道を上り始める。
滑らかでさらさらしている彼女の指に僕は心臓が少し跳ねた。
でも何故か彼女の指からは震えが伝わってきた。
飛び込んで来たことも疑問の一つだ。
一体何のために高い場所から僕に飛び込んで来たのだろうか。こうしてまた登る羽目になるのに。
文月が元いた場所に行くと、目の前の道は途切れていた。
何かに切り取られたように崖になっている。
「あそこに行きたい。祠があるの」
文月の目線を追うと、絶壁にぶつかる。僕たちのいる場所から五メートルほどだ。硬い断層でできた岩肌が随分上まで続いている。一番上はここと同じように木々が生い茂っている。高さはこの場所から十メートルほどか。
「あそこ?」
「うん」
目の前の崖下は滑り落ちたらまず助からないだろう。
高さ四十メートルはあるかもしれない。地面はまっさらな砂で、木や草は一切生えていない。
「ここなに?」
「……昔地震があったよね。それでこの町って地面が緩くて山が崩れやすいんだって」
三年前の地震はこんな傷跡を残していたのだ。この場所から絶壁の上まで道が続いていたのだろう。だけど地震のせいで緩い地層が滑り落ち、木と一緒に砂が下まで滑り落ちていったのかもしれない。硬い地層だった部分だけが屹立してこの絶壁を生んだのだ。
「崖の下が砂なのって、誰か整備したの?」
「多分木とか地盤ごとずれちゃったから、木なんかが横倒しになったんじゃないかな。そのままだといけないから、撤去したんだと思う」
「……ちょっとどう行けばいいかわからないや」
地面から垂直に屹立する絶壁を登るのはロッククライミングの技術がないと無理だろう。僕にそんな技術はない。
「ちょっといったん戻ろうか。僕にはどうしたらいいかわからないよ」
「そう、だよね」
文月は残念そうに目を伏せた。
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「おぉ帰ったか、ってうぉ! 彼女なのか!? 一人行かせた俺に腹いせなのか!?」
「ち、違うよ!」
椎倉が勘違いするのも無理はない。
文月は僕にぴったりと身体を寄せ、服の裾を控えめながら指の先でしっかり握っている。
山から下りて来るときもこんな感じだった。
文月は派手派手しい可愛らしさではない。少し控えめで小動物のように守ってあげたくなる雰囲気を持っている。だからこそこの行動は不可解だった。文月の行動を一部分だけ切り取って見ると確かに控えめだ。指先然り、仕草然り。でも本当に控えめなら、人前で出会ったばかりの僕にこのようにぴったりと身体を寄せてくることがあるだろうか。彼女の行動と印象がちぐはぐしているように思える。
何か原因でもあるのだろう。
僕は彼女のことを知らない……多分今後も知ろうとしない。
「……大丈夫?」
「ご、ごめんっ」
ぺこぺこと文月は頭を何度も下げる。こう何度も謝られると僕の方がとても申し訳なくなる。
僕は山を下りる最中に何度も文月に注意していた。
ところが何秒か経つとまた服のどこかを掴んでいるのだ。
「どう見ても彼女にしかみえねぇよ。えっと……」
「文月綾って名前らしい」
僕が椎倉の疑問を先取りして答えてあげると後ろの文月がこくこくと頭を振った。
「二年生か」
緑の色のリボンを胸元につけているから椎倉はそう判断したのだろう。
一年生は紺色で、二年生が緑、三年生が確か赤だった気がする。もしかしたら違うかも知れない。
「で、二人は何なの?」
僕は文月と出会った経緯を説明した。ナットなどの細かい部品を探そうと裏山に登ったのだが、場所が分からなかったこと。結構登っていくと崖のような場所があること。文月と山道で出会ったこと。
彼女には行きたい場所があること。
「まず行ってみるか……くっそ悪魔の心臓が……」
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体力がない椎倉は心臓を抑えながら毒づく。
椎倉と文月を連れて山道を登っていた。僕は無視して、絶壁の上を指し示す。
「あそこだって」
「……ほんとにあそこに行きたいのか?」
椎倉が眼鏡をあげながら訊ねると、文月は少し表情に影を落としながら言った。
「あそこに小さい祠があるの。あそこに行きたい」
文月の言葉には痛切な何かが込められているように思えた。
僕は深い理由は聞かなかった。
他人を知るということは期待させることに繋がる。
「へぇ、祠があるんだ……でも無理だろ。普通にいけない」
僕たちが立っている場所は、かつては絶壁の上と繋がっていた。
地震が起こる前なら難なく歩いて行くことができた。
この道以外にいける方法がないのか確認してみたところ、道を戻れば別のルートもあった。
ところがその道は山奥へずんずんと進んでいくだけの道だ。
祠へと通じる道は完全に閉ざされてしまっている。まさに陸の孤島だった。
僕たちがいる場所から反対側の山からの通路も地震で崩れてしまっている。
祠は歩いて行ける場所にはない。
「やっぱり、無理かな……」
文月は僕が断れば、死ぬと言っていた。
それほどまでに追い詰められる理由が存在するのだろう。
「あぁ無理だ。下から登る手段もない。手段があっても落ちたら死ぬ。通じる道も他にない」
断崖。空を目指すように屹立する大きな壁。
僕たちは為す術がない。
「そっか……」
「確かに普通じゃ無理だ。しかし――俺たちには翼がある」
椎倉の自信に溢れたあの目。
僕と文月は、驚きの声を同時に上げた。
「飛ぶってまさか……椎倉……」
僕が唖然としているのを愉しむように椎倉は言い放った。
「あぁ、地面からがダメなら、空から行けばいい」
僕たちはいったん部室に引き返した。広げてあった緑の翼を横に押しやり、椎倉は隅に固められていた段ボール箱に向かった。中身を漁り何かを取り出し机の上に広げる。
三十センチ四方の地図だった。
町一帯を俯瞰した鳥瞰図ではなく、商店名まで記された詳しいものだ。
「いいか。いまさっき居た場所は校舎の高さを三十メートルほどとすると、おおよそ五十メートルほどの高さだ」
椎倉は、地図上の崖がある裏山と校舎に指を置いた。僕と文月は地図を覗き込む。
北側に学校の校舎があり東側には大きな川が流れている。
学校の校門を出ると長い道路沿いに商店が立ち並ぶ。
さらに直進すると南の方に大きな文字で風越ハンググライダー場という文字があった。
「サークル棟の窓からもあの崖付近が見えるから多分間違ってないだろう。あとで高度計ででも確認しよう。それでだ。ハンググライダーの練習場から学校までの距離がこの地図からもわかるとおり約八百メートルだ」
椎倉は人差し指を地図上の学校からハンググライダー場へと滑らせる。
「ハンググライダー場の頂点の高さは忘れたが、多分二百メートルはある。二百メートルの高さから飛んで八百メートルの距離を進み校舎を越えて高さ五十メートルの崖へと到達できればいいんだ」
次々と椎倉は明快に説明をしていくが僕はある疑問が沸いた。
隣の文月も同じことを考えているようで首を傾げている。
彼女の疑問も僕が代弁することにした。
「そんなに飛べる?」
「飛べる。ただし、あの機体じゃ無理だ」
椎倉は横目で壊れているハンググライダーを流し見た。
確か椎倉が言うには普通のハンググライダーより小型に作っているそうだ。
「じゃあどうするの?」
文月が訊ねると椎倉は口元の端を僅かに上げた。
「そう。新しい大きな機体を作る必要がある。滑空比が八も出るようなすごい機体をな」
滑空比とは自分がいる高さから飛び、どれくらいの距離を進んで着地したかで測られるらしい。
今回だと始めに僕たちが飛ぶ高さが二百メートル。到達地点の高さが五十メートル。
崖に到着しなければならないから両者を引くと百五十メートルが飛ぶ高さだと考えられる。
進まなければならない距離は八百メートル。よって距離と高さを割ると滑空比が約八とのことだ。
椎倉が以前話していたが、ハンググライダーが輸入された最盛期には手作りで滑空比が二十もの機体が作られたらしい。しかし技術は失われ、二十という数字は伝説となっている。
「機体をとにかく大きくしないといけない。文月は崖の祠に行きたいんだよな? 自分で確かめないといけないか?」
「自分の目で確かめたいけど、あそこに何があるのか、私は知りたい。だから私自身じゃなくても問題はないかな」
「よし。機体を俺が作る。でもそれだけじゃ足りない。周囲の風の状況のデータも必要になる」
「ちょっと待ってよ、椎倉。一体誰が飛ぶの?」
「宮前、お前だ」
二人の視線が一気に集まり胸が苦しくなる。
期待に胸が押しつぶされる。
「どうして僕?」
「俺じゃダメなんだ。俺は運動ができない。お前は運動が得意だろ? 文月は女の子だから無理はさせられない。最悪、校舎に激突して落ちる」
期待していた飛行距離が得られなければ校舎を越えられずハンググライダーは衝突する。
高さ三十メートルから落ちれば骨が折れるかもしれない。
「じゃ、じゃあさ別の方法とかないの? もっと探せばありそうだけど」
「ない。それに探さない」
椎倉は僕の瞳をひたと見つめて言った。
「どうして、こんな危ない方法取るの?」
「がぜん、燃えるからだ」
椎倉の瞳は爛々と輝いている。
これから僕たちが成し遂げるであろうことに思いを馳せ楽しんでいる。
僕は頭を垂れた。
期待よりも失敗の想像が頭を過ぎる。
「大丈夫だよ。墜落するような機体は俺が作らない。だから機体作りに集中する分お前は飛ぶことに集中しろ」
「で、でも宮前くんが危ないなら……」
文月があたふたとしながら僕と椎倉の会話に割り込んだ。
「心配するな。宮前ならきっと大丈夫だ」
肩をばしばしと叩かれる。
僕は結局椎倉に説得されライダーを務めることになった。
面白かったら評価・ブクマよろしくお願いします。