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転移者ミヨチャンは6歳児(1-7)

 ここはアズーレの城下町で騎馬隊の面々がいつも利用する定食屋”ヒマワリ食堂”。

 名前は安っぽいが騎馬隊が懇意にするくらいだ、そこそこの質と品格を誇る。


 冒険者ギルドの真ん前だが、冒険者たちには少し、敷居が高い。

 雨はまだ降り続いている。


 上座には(テーブル)アウラーデ子爵(隊長)と町長のギュンター、ギルドマスターのリセラ。

 そして、その他は今回の救出に参加した騎馬隊と冒険者たち。


 悪天候の上、休日でもあるので”ヒマワリ食堂”は今日は急遽、貸し切り宴会場。

 みんな、重い装具を外して傍らに置きまずは一杯目を手に口々に談笑している。


 「諸君、今回の救出劇ご苦労である。

 救助された騎士団の団長として感謝する。

 犠牲となった馬2頭、ジュエルとパールの冥福を祈り30秒の黙祷を、黙祷!」

 

 ・・・

 「以上、全員の無事を女神セリシア様に感謝して乾杯『カンパイ(一同)』、以後遠慮はいらない。

 無礼講とする。」


 遊軍だったミヨチャンとロイドも末席の(端っこ)テーブルでご馳走を楽しんでいる。

 ロイドはすっかりお気に入りのカルピスシリーズをミヨチャンに次々と出してもらって飲んでいる。


 「このホッコリとしたお芋はジャガイモの茹でたのかな?」

 茹で芋を食べながらミヨチャンが聞く。


 「そうよ、ジャガイモはアズーレの特産品なの。よく知ってるわね。」

 ロイドがカルピス(オレンジ味)を堪能しながら答える。


 「ねー、ミヨチャンはハナちゃんの速さ、60キロくらいって言ってたよね?

 あたしはその3倍くらい早かった気がするんですけど?」

 今度はロイドが質問係。


 「えーっとね、ハナちゃんが普通に空を散歩するときは翼でパタパタ、行ったり来たりするだけだから60キロくらいの速さなんだけど、本気で飛ぶと100キロくらいが限界なんだって。」

 「フムフム。」

 

 「それでもっと早くするには駆け足をプラスするためにペガサスロードを空中に出すようよ。

 そうすると、だいたい200キロくらいかな?って、ハナちゃんが言ってたよ。」

 「危険だから、あたしたちの周りに重たくした空気をぐるぐる回すんだって。

 風で飛ばされちゃうから(笑)。」

 

 『今更、何を言われても驚かん、と思ってたあたしの負け。

 なおも、ビックリさせていただきました。』


 『1時間で直線距離200キロということは道のりなら5割増し、300キロってとこか。

 キャラバン隊の移動が街道では1日60キロ、それ以外では30キロ、平均で50キロ弱とすると、キャラバン隊が約1週間の行程をハナちゃんは1時間で行っちゃうのか。

 しかも、天気とか関係ないし、って隣国の偵察までできちゃう。

 イヤイヤ、もうやばいこと考えるのやめ。』

 ロイドは首を振る、少し酒で酔ってきた自覚もある。

 先ほどから宴会の面々に幾度となく飲まされて酔っているようだ(笑)


  「クゥーっ、このカルピス!ミヨチャン、あたし、ずっとこれ飲みたいんですけど!!」

 気分を変えるためにロイドが言う。


 「この白身のお魚はタラね、おっさん臭いとかよく言われてたけどアタシ、好物なのよね!」

 薄い塩味で煮たタラの大きな切り身が深皿にデーンと乗っている。

 「でも、味が薄いわ。」

 ミヨチャンは飲み終えたカラのスープ皿にタラの切り身の汁を移す。

 汁気の無いタラの切り身がデーンとあるだけ。


 「?」

 普通カルピスのリクエストを何気にスルーされたロイドがミヨチャンの行動を見ている。


 「よいしょっと。」

 膝の上に黄色い幼稚園カバンを開けると中をガサゴソ。

 マヨネーズのチューブ、黒コショウの瓶、ポンズの瓶を取り出してテーブルの上に並べ、

 「これで良し!」とか言う。


 茹でジャガイモにマヨネーズと黒コショウをかけ、茹でタラの切り身にたっぷりとポンズをかける。


 うん、美味しい!

 ジャガイモ、10倍増し!タラ、20倍増し増し!!

 嬉しくて足をパタパタさせて喜ぶミヨチャンを見て、ロイドも「ミヨチャン、貸してねー!」と調味料をつけてジャガイモとタラへ。


 「ミヨチャン、これ美味しすぎ!!」声がでかすぎた。

 いい加減、飲んでネタの尽きてきた酔っ払いたちの興味を一斉に引いた!


 冒険者や騎士たちが(酒臭い!)わらわらと寄ってくる。

 「ロイドさん、どうしたんですか?」

 「ロイドさん、具合悪いんですか?ムネ揉みましょうか?」

 (ドカッ、<= 殴り!)


 揚げ物にかけたソースやケチャップ、マヨネーズや黒コショウ、クミンやセージの小瓶まで並べられたテーブルの上は調味料マニアのミヨチャンが幼稚園カバンから取り出したもの。


 「こら、お前ら!鎧を脱いだ女性騎士の周りをウロウロすんじゃねーぞ!

 ロイドさんとミヨチャンは客分だぞ!」

 やかましさに注視すれば端っこに座っている客分格のミヨチャンとロイドの席が見えないほどに野郎どもに囲まれているのでギルドマスターのリセラが救援!しに来た。


 「あれ,付けて食うとスッゲー美味いんすよ!おれ、コショウって初めてっす!」

 若い冒険者がリセラに言う。

 ちなみにリセラの巨乳、ガン見である。


 「おまえ、いい度胸してるなー!」

 リセラはそう言いながら、若い冒険者の頭に腕を回すと抱き寄せる。

 リセラの巨乳に若い冒険者の顔が埋まる(笑)。


 1分後、リセラが手を離すと、呼吸できなかった若い冒険者は床に崩れ落ちる。

 店内を沈黙が支配する。


 「どうした、みんな?わたしのご褒美だぞ、ほら、まだ飲んでけ!席に戻れ戻れ!」

 リセラがカワイイ笑顔で言う、さすがは元暗殺者(ウワサ、)。


 「かわいいお客さん、怖がらせて悪かったね。ちょいと座っていいかい?」

 リセラがほほ笑みながらミヨチャンとロイドに尋ねる。

 

 


 

 

 

 



 

 


 

 

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