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転移者ミヨチャンは6歳児(1-6)

 先行する騎馬隊が雨の中を走り続けること、約1時間半。

 道のりにして25キロほど来ただろうか。

 相変わらずの雨は雨足をさらに強め、馬の足元は最悪の状況だ。


 「騎馬隊、一時休憩。馬も休ませろ!」

 アウラーデ子爵が馬上から指示を出し、隊列が止まる。

 ぬかるんだ足元ゆえ、急げば転倒の可能性が高くなる。

 視界も最悪の状況だ、明朝より一向に景色が明るくならない。


 雨音のはるか向こうから馬の蹄の音が聞こえる?

 「まさかな?」皆、頭に浮かんだ疑問符を打ち消す。


 「しかし、濡れない鎧がこんなに快適なんてなー!」

 若い騎馬兵が仲間と話している。


 雨中進軍は神経が張る、濡れて体力消耗がひどくいつもならだれもしゃべれないほどだ。

 

 来た!雨しぶきの向こうより、白い馬が泥にまみれて真っ黒になりながら信じられないことに馬車を3台、音もなく引っ張ってきた。

 不思議なことに御者台には誰もいない。

 白い馬は当たり前のように騎馬隊の前で静かに停止すると「ヒヒ~ン、」と一声、いななく。


 先頭の馬車より降りてきたのはロイドとミヨチャン。

 「アウラーデ隊長に報告、ここより30キロ西方にて友軍発見。

 馬、人ともに救護、手当ののち、無事な馬車3台を神馬、ハナちゃんが単騎曳航。

 馬は無事な6体にそれぞれ6名が単騎騎乗、その他9人は馬車に分乗、全員無事です!」


 騎馬兵から歓声が上がる。

 「被害は馬2頭が魔獣にやられました。あと、馬車1台が中破してましたので放棄、帰還しました。」

 「残りの馬も全馬、完全回復状態で間もなく到着するでしょう。」


 待つこと、約1時間後。

 雨の中から次々と単騎騎乗の馬たちが帰還してくる。

 その度に歓声が沸き上がる。

 帰還した馬上の兵の鎧も顔にウレタンフォームが詰めてある。


 「お前たちの鎧もシリコーン防水か?」

 「あー、黄色い神様が馬も俺たちもまとめて助けてくれた!」


 馬から降りて近くの木に馬をつなぐと、みな口々に互いの無事を喜びあう。

 

 ミヨチャンははせっせと馬に飲ませるタライの水に栄養ドリンクを銅のコップから作っては混ぜてやる。

 世話女房タイプである、やるときはやるのだ。

 

 「隊長さん、ハナちゃんはあと1時間くらいで帰っちゃうから、先に馬車を引いて戻っていいかしら?」

 ミヨチャンがアウラーデ隊長に聞く。


 「あ、ありがとう。そうしてくれ。

 いや、そうしてください、ロイド。ミヨチャン、まだ終わってないが礼を言わせてくれ。」

 

 「おー、アウラーデ隊長も泣くことがあるんだな、よい土産話ができた。」

 ロイドが笑って言う。

 

 「バカヤロー、これは雨だ!もう一仕事、頼んだぞ。」

 「頼まれたぞ、従兄殿!」

 ビシッ、と敬礼するロイドさん。


 ”ヒュ~ン”、空気を切り裂く音がして”あのコップ”から白いヒカリが空をめがけてかけ上がってゆく。

 連続して頭上で”ドカーン、ドカーン”と雷鳴のような轟音が連発する。


 ”任務成功!後続補給部隊は撤収せよ”の合図。


 「さー、足の無い騎馬兵は馬車に乗った乗った!早くしないと置いてくぞ!」

 ロイドの掛け声に

 「こんな快適な馬車旅なんてしたことねーよな。」

 とか言いながら、救助された騎馬隊の面々が馬車に乗り込んでゆく。


 ロイドは全員が馬車に乗ったのを確認すると

 「頼むよハナちゃん。」と一声かける。


 「ヒヒ~ン、」、一声いななき3台の馬車をすごい速さで引いて雨の向こうに消えてゆくハナちゃん。


 「馬車の音がしないっすねー(アキレ)。」

 「重さを消してんだってよ(アキレ)。」

 「御者台に人のいない馬車って、初めて見たわ!」

 「『頼むよハナちゃん』とか言ってたぞ。馬車の中から!」

 「なんか、あれ、ありえねーよな!いろいろと(笑)」


 「って言うか、おまえロイドさんの声色真似すんじゃねー、きめーし!」



 「さー、みんな!無事に戻るまでが仕事だ。

 2時間かけて街に帰るぞ!

 パーフェクト・オーダーだ、帰ったら飲むぞ!(昼前だがな)」


 「おー、隊長公認だ!昼からヒャッハーするぜ!」

 「ヒャッハー(全員)」

 「おまえら、砕けすぎだ(怒)」

 


 

 

 


 



 


 

 


 


 

 


 

  

 

 

 

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