序章
「うーん、やっぱり手掛かりがないわね」
最近、殺人事件が多い。しかもその1件1件手掛かりが少ないのだ。 同一犯なのか。と思ったりもするけどやはりそれぞれの被害者の接点がない。
「八方塞がりね…」
ため息まじりにつぶやくと隣の後輩が
「宮森先輩、ちょっと帰りにどこかに行きますか?」
「いや、やめとくわ。1人で頭ん中整理するから。」
殺人事件なんか全国で一日に1回起こるか起こらないかなのに、
最近この町で一日に1回起こっている。
こうなると、全刑事で1つの事件をする訳にもいけないし、
複数の事件の掛け持ちになる。
完全にブラック企業よりブラックだ。
風呂でゆっくりするかと、夜道を歩いてると、1人で立っている子供を見つけた。
一応警察なので、話を聞かなければならない。
「おーい、そこの君ー。何してるの」
その子供はフードを被っていて目元が見えない
「こんな夜に危ないでしょ?」
その子供はゆっくり彼女の方をみて、フードをあげた。
眼が紅い可愛らしい少女だった。
しかし、その少女は不敵な笑顔をしていた。
「っ、、、、、、」
彼女は恐怖を感じた。
その少女にというか、その少女の奥にあるものに。
そしてその少女は不敵な笑顔のままで、
「ありがとう、お姉さん」
と。
不思議にその言葉は悲しそうに、寂しそうに聞こえた。
そして、その少女は彼女の右手を握り。
彼女はベッドの上だった。
「え…?」
状況が理解出来なかった。
そりゃそうだ、寝床についた記憶もないのに
急にベッドで目覚めたのだから誰だって理解
できないだろう。
(私はあの女の子に…)
彼女にはあの少女の顔と、彼女に植え付けら
れたトラウマに似たものが頭から離れなかった。
紅い眼、あの眼には喉元にナイフを突きつけ
られたような恐怖と悲しみを感じた。
(でも、きっと夢よね…)
彼女は冷静になりスマホを見る。
しかし、スマホを持つ手を震わせ冷汗がでた。
「あっ…あ…」
あまりの驚きに言葉が出ない。
あの少女に握られた右手の甲にくっきりと何かの
御札のマークのような傷がくっきりと刻まれているのだ。
「な、なんなの!?これ!?」
また状況が理解出来ない。
しかも、この傷は新しく出来た傷のようではなく
古傷のようにずっと前の傷のようだったのだ。
また動揺し、落ち着きを取り戻せていない中
携帯が軽快な音楽を鳴らした。
「宮森!はやくこい!」
上司からの電話だった。
「あ…はい!すみません!」
上司の声で冷静になることが出来たが、傷への疑問は
消えない。
捜査会議が終わり、後輩と決まった地域を聞き込みする。
「事件発生時何か聞きましたか?悲鳴とか」
「聞かなかったです、すみません」
「やっぱり手掛かりなしねー」
「何なんでしょうか?こんなに手掛かりがないなんて
初めてですね」
「それだけ犯人は前もって計画して犯行に
およんでるんでしょ?」
「それは、ここ最近事件を起こした犯人
全てがそんなことする人ばっかなんでしょうか?」
「そうよね…私も引っかかるのよね…」
殺人犯には計画的に犯行におよぶばかりでは無い。
衝動的にやってしまった人もいるわけで、
しかもこんなに手掛かりがないなんておかしい。
「聞き込みするしかないんだけどね」
街の中を歩いていると、小学生くらいの少年が
こっちを見ながら裏路地に入っていった。
彼女の数年間の刑事の勘が、何かあると
察した。
「あっ先輩!!」
「すぐ戻るから!!」
そう言って彼女は、少年が入っていった
裏路地へ入った。
しかし、入ったはずの少年の姿が見当たらない。
(一本道なのに…どこに消えたの?)
目を凝らしても全く居ない
不思議そうに思いながらも、後輩を待たせているので
裏路地から抜けようと後ろを向こうとした時
「動くな!!」
少年の鋭い声が後ろから聞こえた。
「僕と一緒に来てください。来ないのなら…斬ります」
「…は?」
初めて書いた小説なのでアドバイスお願いします!