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2.結ばれる2人

  魔王との闘いが始まってから既に何時間かが経過していた。

  しかし、共にかすり傷一つなく、おまけに魔力切れの気配さえない。


  魔王は、常に身体を強力な結界で覆っている。攻撃が通ったとしても、圧倒的な技量による完全回復(パーフェクトヒール)で瞬時に回復されてしまう。

 

  魔力が切れても、エルフの特性である1000年の長寿を利用して『生命変換』。生命エネルギー、即ち寿命を魔力に変換する魔法。

  これによる寿命の消費量は魔法行使者の技量による。

  魔王ともなればその消費量は1年の0.1%にも満たないだろう。


  一方の私は【ギフト】をフル活用している。

  私の【ギフト】は、【生命強化並びに自強化効率化】。

 

  生命強化は生命力が強化される。これにより少しの傷ならあっという間に治る。生命力による治癒は体力を消費するので不便だが、この能力の本質は別にある。


  自強化効率化は、強化魔法が効率化される。この能力は、身体強化の魔法だけではなく、己を強化する魔法全てが効率化する。

  魔力の補給も対象となるため『生命変換』にも反映される。


  生命強化により私の寿命は人の域を超えている。更には自強化効率化により消費する寿命も限りなくゼロに近くなる。

  寿命の消費量ならば魔王を凌ぐだろう。


  持久戦では埒があかないので、短期決戦に持ち込もうとするも、こちらも互角になる。


  魔王による無限の魔法も、剣を極めた私が術式から斬る。

  私が"全てを斬る剣術"を探究した末に見つけた"術式を斬る剣術"によって魔法は無効化。


  しかし魔王は、武闘術の鍛錬もいていたのだろう。私の剣術に武闘で対抗してくる。

  もともと高水準な身体能力があるので、魔王と私の闘いは常に均衡を保っていた。


  そして幾日、幾週、幾月かたって、幾年がたった。時間の感覚などもう無い。

  この頃になると、王国の命令に従い魔王の首をとるのがどうでもよく感じた。


  魔王との闘いは、今までの人生が無かったと思えるくらい充実していた。

  一瞬の攻防、一瞬の駆け引き、それらは今までにないほど楽しいと思えた。麻薬のようだと思った。


  次第に私は魔王とずっと一緒に居たいと思い始めた。それに胸に不思議な熱いものを感じる。


  魔王、アビスと居れば自分はもっと上を目指せると。


  その思いはアビスにも共通していた。


  何を言うでもなく私は剣を下ろした。同時にアビスも魔法の構築をやめた。


  こうして、何年にも及ぶ闘いが終わりを告げた。

 

  不意に一条の光、鳥の声がどこまでも澄み渡る。


  不死鳥の祝福の下に、魔王、アビスと勇者、アイリーンは、結ばれる。


 

 


 

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