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異世界チームVS戦乙女聖騎士団⑤

『始めぇぇえ!!!』


「行きます!」

「モフモフちゃん!」

「キュキュキュウ!」


 始まると同時に両者攻撃を始める。さっきと同じように距離を取りつつ魔法で攻める結城さん。そしてローリーはというと…


「えっ!?」

「燃えよ炎(ほとばし)れ烈火『ラピッドファイア』!」

「モフモフちゃんお願い!」

「キュ…ッッ」

「きゃぁぁあっ!!」


 ローリーは詠唱を行い、『ラピッドファイア』という魔法を唱えた。現れた炎はそこらの魔法よりもとてつもなく速い。

 結城さんも防御しようと思ったが追い付けず、モロに受けてしまったらしい。


「だ…大丈夫?モフモフちゃん」

「キュゥ…」


 ペロペロと結城さんの頬を舐めるモフモフした獣。心なしか心配そうにしている。


 周りの観客たちも思いっきり直撃したのを見て眉をひそめている。


「美郷ちゃん!」

「優香!これは結城さんの戦いだ!俺たちが入り込んじゃいけない」

「でも…」

「シュン…」

「そんな捨てられた制汗剤のような目で見るな、最悪あとでお前が勝てば良いだろう」

「シュン……捨てられた制汗剤ってなんだ?」

「うるさい、黙って見てろ」


 結城さんはああ見えてタフだ。このままやられることはない…だろう。


「う、うう…よし!まだまだ行けるよね、モフモフちゃん!」

「キュゥ!!」

「おかしいですね、直撃したはずなのにまだ立てるんですか」

「根性だよ!」


 可愛い女の子が根性論を語りだしたよ。ギャップ萌えか?いや萌えないけど。


「燃えよ炎迸れ烈火、『ラピッドファイア』!」

「もう見たよ!」

「そうですか、ではこちらで」

「えっ、剣っ!?」


 ローリーは腰に据えた木刀を取りだし結城さんに向かっていった。


「出ましたわね!ローリーは魔法騎士ですから、魔法と剣技を上手く使い分けることに関しては私たちから一つ頭抜けていますわ!」

「久しぶりの登場ねぇ」

「あら、起きてたんですのねユーナ。髪がボサボサですわよ」

「気絶させられてさっき起きたからかしらぁ。それよりセレナはもう負けたのぉ?」

「イツキと次鋒のユウカを倒して、その次のユウキミサトに負けちゃいましたわ」

「だらしないわねぇ」

「負けた私たちが言えることじゃないですわ。それよりも、本当。ここまで強い子たちとは思いませんでしたわね…」

「少なくともそこら辺の一般兵よりは数倍強いわぁ。数人スカウトしちゃおうかしらぁ?」

「あら、なら私もイツキを誘っちゃいますわ」

「ジェシカ、女騎士団に男入れるつもりぃ?」


 アイツら声がでけえな。聞こえてる聞こえてる。あとなんだおい、松岡。お前なに順調にハーレムルートを進んでんの?殺すよ?


「キュゥ!!」

「ふん、当たりませんよ」


「惜しい!結城さん!!うぉぉお!燃えてきたぜえぇ!」

「鎮火」

「うわっ!?なんだ宮坂!水をかけるなぁ!!」


 なんでこんな暑苦しいやつがモテるんだ。やっぱり顔か?よし、韓国行くか。


「キュキュウ!」

「だから直線上の魔法は聞きません」

「それはどうかなっ?」

「それはどういう…?」


 と、そんな話の中でも戦いの最中の結城さん。風魔法を飛ばすが、軽く避けられる。しかし結城さんはニヤリと怪しく笑った。


「後ろからっ!?」

「名付けてブーメランウィンドだよ!」

「キュキュウ!」


 後ろから戻ってくる風魔法。戻ってくる様子がブーメランのようだから『ブーメランウィンド』。安直だな。


「これくらいなら避けれます」

「そうはいかないよ!」

「…ッ!?足が…?」

「土魔法で足を掴んだよ!」


 地面が歪み、膨れ上がった土がローリーの足を包み放さない。すごいな、そんな器用なことが出来るのか。


「凄いですわ!土魔法をあそこまで使いこなすなんて!妖精を介して魔法を打つから自分はフリー!その間に土魔法を自ら使ったんですわ!妖精だけには頼らないその姿勢、侮れませんわね!」


 はい、説明ありがとうジェシカ。


「ぐぁっ…!」

「よし!ヒット!」


 体を大きくぶらすことで急所は外したが、それでも肩や足を切られてしまったローリー。


「まさか妖精を使うことで二つの魔法を同時発動するとは…恐ろしいですね」

「練習してたんだ!シュンくんに負けっぱなしじゃいられないからね!」

「それはあなたの彼氏…というやつですか?」

「ふぇっ!?そそそ!そそんな!滅相もないというか…私なんかがというか…でへへへ」


 何を言ってるんだ?声が小さくなって聞こえない。が、今俺の名前を出したよな?『シュンくん負けパないし?』俺の負けが凄い?は?煽ってんの?


「おい結城さん、後で話がある」

「ふええっ!?」

「はい、隙ありです」

「あっ」


 ドスっと鈍い音が響き結城さんの体が沈む。あーあ、やられちゃったか。


「シュン…」

「シュンくん…」

「宮坂…」

「なんだよお前ら。俺を見やがって。見物料取るぞ」


 俺が話しかけたせいで負けたって?

 はいはい、俺が悪かったよ。ごめんなさいね。


『勝負ありぃ!!途中何かあったのか結城美郷の動きが止まりそこに一閃!木刀が腹を貫きました!』


「いや貫かれたら死ぬだろ」

「そういう表現だって」

「ちっ」


『勝者!戦乙女聖騎士団副団長ローリー!』


「「「「おあああああああぁぁぁぁ!!」」」」


 お、おああ?どういう歓声だ。どっから声だしてんだよ、そんな声。


「ご、ごめんなさいみんな」

「えっと…あれはシュンくんが悪いんじゃない?」

「あれは宮坂が悪い!」

「シュン、もう少し考えて発言をした方がいい」

「なんだよ、よってたかって叩きやがって」


 そう睨むな。俺も1割くらい悪いかなって思ってるから安心しろ。


「すまん、結城さん。俺のせいだ」

「う、ううん!私が変に意識しちゃったからさ…」

「意識した?何を?」

「えっ!?えぇと、そのー、あれだよあれ!」

「………チラ」

「俺に助けを求めないでくれシュン。ホントに分からないのか?」

「うんうん、美郷ちゃん分かりやすいと思うけど」

「羨ましいぜぇぇ!シュン!」

「一樹くん…?」

「怖い怖いユウカ、目が怖い」


 分かりやすいってなんだ。何がだ。主語をつけろ。


「もしかして…みんな気付いてる?」

「あはは…うん」

「シュンにも春が来たんだな、嬉しいような寂しいような」

「ユウカ?痛いぜ?せめて怒るなら目を見て怒ってくれないか?」

「うわぁぁ!恥ずかしい恥ずかしい!ていうかシュンくんの前で言わないで…ってなんでもないよ!なんでもないからね!シュンくん!」

「いや意味わからん。なんの話をしている。あとユウト。出番だぞ」

「うわっ、忘れてた!行ってくる!見ていてくれシュン!」

「目が腐る」


 はよ行け。そして俺の出番がないように勝ってこい。俺が出ることになったら許さんぞ。


『いよぉし!副将戦を始めるぞ!!光ヶ丘裕翔VSローリー!いいなっ!?両者構えてぇぇぇ………………始めぇい!!』


「わぁぁぁぁぁ!!………あれ?みんな?」


 歓声が一人だけだと?可哀想に、恥ずかしいだろう。あ、逃げてった。しかしなんで歓声が止まって───



「「「「「「キヤァァァァアァァァァァァァアアアッッッッ!!!イヤァァァァァア!!」」」」」」


 うるっさ!!


 忘れてたわ。アイツ、とんでもないイケメンだったな………はぁ。


『副将戦は異世界チームの中でも特に有名な』


「「「「「イヤァァァァァア!!こっち見てぇぇぇ!!」」」」」


『……光ヶ丘裕翔は!エクスカリバーという』


「「「「キィアャアアアアアァァァァァァ」」」」


 おいマジで鼓膜が破れる。あとミラン兵長がまた泣きそうになってるじゃねえか。全部ユウトが悪い。


「おーいユウトー」

「あっ、シュン!これもう始めてもいいのか?」

「死ね」

「あれ、聞いてることと一ミリも関係ない答えが返ってきた気がするんだが」

「ローリー、好きなだけ殺ってくれ」

「わかりました」

「ローリーさん?」


 ノリがいいローリー。よし、やっとムカムカが収まった。あとはコテンパンにあいつが負けてくれたらそれで………あぁいや、そしたら俺がでないと行けなくなるのか。くそ、なんてことだ。板挟みとはこのことか。


「ふむ、これは良い勝負になりそうじゃの」

「別にならなくても良いけどな」

「そうなのか?あやつはシュンの友人じゃろう?」

「誰がだ。俺に友人なんて………は?」

「ワシを忘れてもらったら困るんじゃ。友達じゃろう?」

「リューナ…いつの間に来ていたんだ」

「シュンが遊びに来てくれんからこっちから来たんじゃ」

「帰れ」


 いつの間にか隣に居座ってたのは、元竜界王のリューナ。ワームホールに飛ばされたさきにいた変なやつだ。


「えっと…シュンくん?その女の子は誰かな?」


 と、近くの結城さんが気付き寄ってくる。もちろん松岡や刑部さんも連れられて。


「あー…うーん…トカゲ?」

「竜をトカゲと呼ぶのはトンでもない侮辱に値するのじゃけど……まあシュンならよいか」

「竜って………あの伝説の?」

「そうなるな」


 東洋や西洋に伝わる伝説のことだな。ちなみに東洋では蛇のような長い体型に小さく手と足が付いていて、浮いてるイメージの方だ。

 西洋は地面にいるイメージの方で、翼が大きく恐竜みたいな奴だな。東洋と比べて足が大きいし、ビジュアル的にも東洋よりも人気が高い。


「うっわぁ!スゲエな宮坂!いつの間に竜と仲良くなったんだ!?」

「仲良くない」

「俺とも友達になってくれよ!なっ!?」

「………………」

「あれ?…友達になってくれよ!」

「…………その………えっと………」


 急にドモるリューナ。どうした?


「しゅ、シュン!構わないと伝えてほしいのじゃ!」

「なんで俺経由なんだよ、二度手間か」

「わ、ワシは人と話すの苦手なんじゃ!」

「は?………あぁそういえばそうだったな」


 コイツ、最初あったときに距離感が分かってない様子だったな。


「いやまて、お前魔王と会ったときには普通だったろ」

「あのときは仕事モードだったんじゃ!」

「モード切り替えとかあんのかよお前」


 えらく近代的なドラゴンだなおい。


「シュンくん?魔王ってどういうこと?」

「………………あっ」


 やらかした。やべぇどうしよう。


「イル!いるんだろ?出てこい!」

「お久しぶりでございますご主人様!」


 はい、案の定どこからか飛び出てきたよ変態が。


「こいつらの記憶を飛ばせ!」

「無茶を言いますね…」

「出来なかったら優しくするぞ?」

「ショック療法でいきます!」


 イルが軽い電流を結城さんや松岡にかけて気絶させる。わお、凄い。


「どうですか?上級魔族ともなればこんなことが出来ちゃうんですよ!」

「アースゴイスゴイアリガトネー」

「あぁ!その誉める気の全くない棒読み!ありがとうございます!」


 うちのメイドはやっぱり変だ。いや変態だ。


「久しぶりじゃの、メイドよ」

「リューナ様?なぜ人間界に?」

「シュンに会いに来たのじゃ」

「…ご主人様は人気ですね。私!メイドとして!嬉しい限りでございます!」

「なんでちょっといじけてんだよ」

「いじけてません」


 めんどくさ。


「あ、ご主人様。すぐ起きる程度にしておいたんで、ややこしくならないように私はまた隠れますね」

「ありがとな」

「ふふっ…ご主人様の素直なお礼、感謝のあまり絶頂しそうです」

「お前さぁ………」


 もうなんていうか…死ねよほんと。


『………やっと歓声が静まったので、始める!!勝負始めぇい!!!』


 あ、やっと始まった。そういえば今練習試合の途中だったな。忘れてたわ。



お、終わらない………すいません、あと2~3話くらい続くかも……


許してヒヤシンス、ペロ。

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