02 街と冒険者登録
日差しがほとんど届かないほど高い木が生い茂る。そんな場所の下に宗治は横たわっていた。森に響き渡るような爽やかな風の音、安らぎを与える小動物の鳴き声、そんな要素が混じり合い宗治は目を覚ます。
「んっ、ここはどこだ?」
一瞬だけ考え直ぐに今までの経緯を思い出す。
そうだ!異世界に転移したんだ。それにしても妙に体が軽いな、ここが異世界だからか?
確か第4神階魔法ディメンションホールに必要なものを入れてあるって言ってたな、早速取り出そう、手を前に出しディメンションホールを発動させる。発動させる瞬間に手の周りに魔法陣のようなものが浮かび上がり、直ぐにその魔法本来の形になった。
凄いこれが魔法か!魔法が使えるようにしてもらったが使うのは初めてだ。少し心が躍るな。
その魔法は空中に黒い穴ができており、自分の手を入れることができた。いろいろ実験すると、その黒い穴は時間が止まっており、自分の意思で大きさをある程度変えられるようだ。
黒い穴に手を入れ集中してみると、中にあるものが分かった。とりあえず中にあるものをすべて出すことにした。中にあったものは、手紙、防具、剣、魔法書、手鏡、地図、お金だ。まずは、手紙を見てみることにした。
宗治くん、これを見ているってことは無事に転生したみたいだね、おめでとう、この手紙はあっちで言い忘れたことを書いてあるよ、まずは宗治くんの外見と身体能力を少しいじったよ、嘘だと思うなら手鏡で顔を見てみるといいよ。
手紙を読むのをやめ、手鏡で自分の顔を見る。
イケな面がいた。これは!国民的アイドルのあの人に似てる!名前を言ってもいいが天罰という著作権がやばそうなのでやめておこう。
さて手紙の続きは
どうだった?世界中の女子が好きそうなふんわりとしたイケメンに仕上げといたよ!でも宗治くんは何でこんなことをしたのって思っているでしょ、それはこの世界では君の体は貧弱すぎるからだよ、だから君の体を強化したのさ、それに前の体じゃオドが少なすぎて魔法をろくに使えないからね、顔を変えたのはサービスだけど!
ナイスサービス!これで遂に春が来るぞ!
あと、この周辺の地図を入れておいたから役立ててね、それと剣と防具は宗治くん専用にしておいたから大きさも使いやすさもばっちりだよ!それに、生活に困らないように少しのお金と、言葉を理解できるようにしたよ!あともちろん文字もね!それで大量の魔法書を読んで勉強してね!それでは、僕はこの辺で、ばいばい!・・・・・・・補足、この世界では正井 宗治の名前はおかしいから自分で変えてね!性は偉い人しか持ってないからね。あと年齢は16歳だよ!
手紙をディメンションホールに投げ入れ、次に鞘から剣を抜き手に取る。剣の長さは身長170センチの俺と比べると90センチほどの長さがあり、横の長さも13センチほどでしっかりと手に馴染む、剣の見た目は柄以外淡い銀色を纏ったような感じだ。次に防具だが、これは見た目はただのベージュ色の長袖と黒色の長ズボンだ。しかし着替えてみると、恐ろしく硬い素材でできていることがわかった。
一体何の素材でできてるんだ?日本でこれがあれば護身用には最高だな!あれ?こんな考えはサイコパスのような・・・・・・
魔法書は量が多いのでまた今度にする。
さて、一通り見終えたので地図に載っている一番近い街を目指そう、地図を頼りに街の方を目指す。
身体能力が引き上げられているせいか全然疲れずに森を進めた。
それに転移した時すでに履いていた靴が最高だ。
茶色で少し深めの靴、これも恐ろしく硬かった。
試しに小さめな木を蹴ってみたら、いとも簡単に折れた。
うん、あれは?
向こうの木々にゴブリンらしき生物を見つけた。俺はすぐさま横にあった木に隠れ様子を伺う。
あれゴブリンだよね?緑色の肌に醜悪な顔、見た目は小学生ぐらいの身長だけど明らかに凶暴そうだ。神様は俺の身体能力を強化したって言ってたけど、本当にそうなのか?ここは念のため俺の一番強い魔法を放とう、魔法を撃つ準備をした後。木から飛び出しゴブリンに向かって魔法を放つ。とう!
(エクスプロージョン/炎の爆発)
第4神階魔法エクスプロージョン、今現在俺が使える最強魔法の1つ、その魔法は巨大な火の玉となりゴブリンに直撃した。その瞬間大きな爆発音と衝撃波を周りに発生させた!
なんだこりゃー!絶対にゴブリンに使っていい魔法じゃないーーーー。
あまりの衝撃波に驚き地面に体を伏せ目をつぶる。
うん、どうなった?
衝撃が収まったころ、目を開ける。
これは!
魔法を放ったはずの場所に7メートル程のクレータが目撃された。
やばいゴブリンがいや地面が消し飛んだ。あまりの威力に地面が熱で赤みがかっている。
「さよならー」
ふう、恐ろし物を見てしまった。やはりいきなり攻撃魔法なんて使うものじゃないな、おそらく、魔法を使いなれてないせいで制御に失敗したのだろう。
街に着いたら魔法の練習をしないといけないな。
おっ!草原が見え始めた、もう少し歩けば森を抜けるな、それにしても、この地図を見るかぎり街まではそう遠くない、このまま行けばあと2時間ぐらいで着きそうだ。
森を抜け暫く歩くと、草が生えていない道のような場所まで来た。この場所をたどっていくと地図を見ずとも街に着けそうだ。
やっと着いたか、予想通り2時間ほど歩くと街の門が見え始めた。途中からは荷物を引いた馬車なども目撃し、街が近いことが分かりなんとなく安心した。
街の門では検問らしきことをしている様子が見えた。おそらくお金を徴収しているのだろう、俺はすでにそれを予想し、防具もとい服のズボンのポケットにお金を入れてある。
門の検問に並んでいる人達の後ろに並び、自分の順番が来るのを待つ。何か自分の順番が近付くに連れ緊張してきた。検問には5人ほどの兵士と思われる人達が従事している。
「次の人、前へ」
自分の番が回ってきた。俺はおそるおそる前へ進む。
「君、名前は?」
「はい、名前は・・・」
あっ!そう言えば神様の手紙に名前はおかしいて書いてあった!
「どうした?名前を聞いてるんだが」
兵士の目が少しいぶかしげになった。
まずい!直ぐに名前を考えないと、えっと、性はいらないから、マサがいいかな、それともソウがいいかな?
「おい!何故名前を言わない、少しこちらで話を聞こうか?」
兵士がこちらに手を伸ばしてきた。やばい!
「ソージです。ソージと言います」
・・・こんな時、自分のネーミングセンスにがっかりする。でもこれで切り抜けられたか?
「ソージか、何故直ぐ答えなかった?」
だめですか。
「いえ、その緊張してて、それに長いこと歩いてきたので疲れてたみたいで」
「お前1人で歩いて来たのか?」
おっ!これはいけるか?
「はい、この街にお金を稼ぐために遠くの村から来ました」
「そうか、それは辛かっただろうな」
兵士は何を勘違いしたのこちらに同情の目を向けてきた。しかし、これで切り抜けられただろう。ラッキー。
「事情は分かった、とりあえず念のために、このマジックアイテムに触ってくれ」
兵士は自分のポケットから透明上の丸い水晶なようなものをとりだした。なんだろろうこれは?一瞬そう考えたが、これ以上不審な行動をとらないようにすぐさま水晶に触る。水晶に触れたが何の変化も現れなかった。もしかしてこれはまずいことなのか?
「よし問題はないようだな」
心配をよそに、兵士はそう言い、水晶を自分のポケットに戻す。何が問題ないのだろう俺は聞いてみることにした。
「あの何が問題がないんでしょうか」
「そうか、ソージは街は初めてか、これはマジックアイテムという魔道具の1つで、悪意を感じ取ることができる。もしソージが何かしらの悪意を持っていたら、この水晶に触った瞬間透明から黒く染まる。もし水晶が黒くなった場合は少し話を聞かせてもらい、事情が分からないときは街には入れられない、その中でも特に怪しい者には、この水晶より上位のマジックアイテムで真実が分かる魔道具を使い審議を問う、今俺が使ったマジックアイテムは他の街でも使われてるものだ」
そんな便利なものがあるのか、アイテムに魔法を付与したのかな?とりあえず、親切に教えてもらった兵士さんにお礼を言おう。
「教えていただきありがとうございます」
「いや、久しぶりに楽しい検問ができた。俺の名前はリキュルだ。もし何かあったら俺のもとまで来るといい、少しなら役に立てると思うぞ」
「はい!ありがとうございます。あの、早速で悪いんですけどお金を稼げる場所を教えてください」
「お金か、それなら殆どの店で求人を募集してるからそこに行くといい、危険な方法なら冒険者ギルドに入るって手もあるがソージには少し危険かもな」
うん、どうしよう、せっかく異世界に来たから冒険者したい。
「冒険者ギルドの場所を教えてください」
「本気か?危険だぞあそこは、魔物と戦うことも少なくないし、確かに護衛や採取クエストなどもあるが危険なことには変わりないぞ、それでも冒険者になりたいか?」
本当に親切な人だ。初めて会った俺のことをこんなに気遣ってくれて。異世界で始めた喋った人がこの人でよかった。
「はい、それでも冒険者になりたいです」
俺がそう言うとリキュルさんが笑い始めた。
「そうか、そうか、悪かったな、お前を試すような真似をして、だがお前の真剣な思いは確かに感じたぞ、お前なら冒険者でもやっていけるだろう。冒険者ギルドは門を入って、まっすぐ進むとすぐに着くぞ、頑張れよ!」
俺が、門に入ろうとしたとき、お金を払っていないことに気付いた。
「リキュルさんお金はいいんですか?」
「ああ、昔は門でお金を徴収していたが、今はこの街の商品に税を掛けている。そっちの方が検問も早く済むしな」
なるほど、そちらの方が効率的だ。
「そうでしたか、村では門に入るときにはお金がいるって聞いていたので」
「はっはっは、ソージの村はよほど田舎なんだな、また分からないことがあれば俺に聞きに来い、このエラスの街は長いからな!」
「はい、何か分からないことがあれば聞きに来ます」
「ああ、ちゃんと聞きに来いよ、おっと!そろそろ俺は仕事に戻らなきゃいけね、ソージも早く冒険者登録して宿を見つけろ、夜になると宿が取れなくなる可能性もあるからな」
そのあとリキュルさんに見送られながら門の中に入っていく、門の中は色々な建物のが立ち並び、建物の外には看板が掛っており何の店かすぐ分かるようになっていた。
それにしてもにぎやかだ、まるで祇園祭りのようだ。あまり人ごみになれてないせいで、少しくらくらするな。
もう少し歩くと、建物だけではなく屋台などの店も立ち並び、さらににぎやかになった。
そのまま前に進むと、一つだけとても大きな建物が見えた。おそらくあれが冒険者ギルドだろう。
大きな建物に近付き中に入る。中に入る扉などは特になくそのまま中に入ることができた。建物の奥には受付がおり、その手前には椅子とテーブルがあり冒険者達がそこで何かをしている。受付の横に2階に登る階段があるが、今は誰も使っていないようだ。
受付の所まで行き1人の受付嬢の前に立つと受付嬢の方から声を掛けてきた。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
受付の方はにこやかな笑顔で聞いてくる。これは営業スマイルだろう。コンビニでバイトやっていたのでよく分かる。
「冒険者登録しにきました」
「それではこちらの用紙に必要事項をお書き下さい、文字は読めますか?」
「大丈夫だと思います」
用紙に記入するところは名前、年齢、武器、得意魔法、神階魔法のレベルだ。名前はもちろんソージだ。年齢は17歳だったが16歳に変わったので、16と記入しておく。武器は剣だ。得意魔法は何を掛けばいんだろう?
「得意魔法は何を書けばいんですか?」
「あなたが使える魔法の中で、無理なく使える魔法をご記入ください」
そいうことなら、ディメンションホールにしておこう。神階魔法は4と、これでいいだろう。
「書けました」
受付嬢に用紙を渡す。
「拝見します」
受付嬢は用紙を見た瞬間、嫌な顔をした。何かまずいことでも書いたのだろうか?
「この用紙には虚偽はありませんか?」
何だろう、書き間違いはしてないと思うけど、何かあったんだろうか?
「ありません」
「そうですか、ではあなたの登録は認められません」
「え!どうしてですか?」
「第4神階魔法など使えるはずがありません!嘘を書くにしてももっと上手い嘘があるでしょう、それによりにもよってディメンションホールなどと、戯言もいい加減にしてください!確かにこちらは仕事でやっておりますが、悪ふざけに付き合う暇はありません!」
声を荒げながらそう言う。
「その通りだ!ふざけるのもいい加減にしろ!」
後ろから突然大きな怒声が聞こえた。
振り返ると、顔を真っ赤にしながらこちらに敵意を表している3人組がいた。
何このテンプレ?




