01 召喚失敗?
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照りつける夏の太陽、気温は6月中旬であるのにもかかわらず37℃という猛暑となっていた。
暑い、このままでは死んでしまう。
高校が終った俺、正井 宗治は全身汗だくになりながら帰り道を歩いる。
ああ、遠くの風景に靄のようなものがみえる。暑すぎて空気すら密度が変化しているのか?このままでは俺の学生生活も今日で終わりだな・・・・・・いや、テストも終わりだが・・・この前の模試テスト、偏差値が32だった。流石にまずい、いや俺だったら大丈夫なはずだ。うん。
「ただいまー」
玄関に荷物を置き脱衣所に向かおうとする。
するとリビングから母親が出てきた。
「あんた、いきなり帰って来るなりなんなの、荷物ぐらい自分の部屋に置いたらどうなの?」
「お母さん、お風呂に入らないと暑さで死んじゃうよ」
「勝手に死になさい」
母親はそう言い残し再びリビングに戻っていく。
酷い親だな!息子がこの猛暑の中、学校から帰って来たというのに。
そう思いながらも脱衣所に足を進ませ、服を脱ぎ捨て扉を開ける。
浴槽には昨日の水が3分の1ほど残っていた。総量で比べると少ないが体重54キロの俺が入れば十分増えるだろう。
足を踏み入れた瞬間全身から爽快感があふれ出し、体が水に浸かるころにはすっかりお風呂の虜になっていた。
ああ、もうここから出たくない、俺はお風呂と結婚する。そんなことを思いながらお風呂の気持ちよさに浸っていると目蓋が重くなり意識が遠くなっていった。
「おっ!目覚めたね」
そんな声に俺の意識はふと目覚めた。
周りに広がる光景は白い空間が無限に続いているように見えた・・・・というかどこだここ?俺はお風呂に入ってたはずだ。それなのに何故裸でこんな場所にいる。このままでは警察に捕まってしまうんじゃないか?
そんな心配をよそに後ろから再び声がかかる。
「ちょっと宗治くん、聞こえてるんでしょ」
ん!黒髪でイケメンの少年が直立不動で立っていた。なにこのイケメン作り物?
「やっと、こっちを向いたね」
少年はにこやかな顔をしながら話し掛けてくる。笑顔が爽やか過ぎて逆に気持悪い、と言うか誰?どこかの子役?もしかしてドッキリですか。
「まずは自己紹介といこうか、僕の名前はカオス神だよ!」
俺は目の前で少年が自分のことを神だと言う狂気の現場に遭遇した。
可哀想に絶対将来黒歴史になるよ。いや、強く生きてくれ、誰でもそういう時期がある。俺も昔は・・・
「聞こえてるよ!可哀想じゃないし、本当に神だし」
心が読まれた!まさか本当に神様?
「そうだよ、正真正銘の神だよ。それよりも宗治くんに話さないといけない事があるんだ」
自称神様はゆっくりとした動作で俺の目の前に座り込み、突然真剣な表情になった。
「宗治くん、君は死んだんだよ」
突然死んだ宣言をされ少し動揺したが、小説や漫画ラノベ等を嗜んでいた俺にはすでに予想済みの答えだった。わけもなく、てんてこ舞いでも踊りたいほどパニック状態になっていた。あれ、てんてこ舞いってなんだったけ?
暫くして、なんとか落ち着きを取り戻した。
そうか俺は死んだのか・・・だいたいこんな訳のわからない空間にいるのだ。自分の身に何かがあったと考えるのが普通だろうか。
それにしても短い人生だった。最後に聞いた言葉は母親の勝手に死になさいだ。
あれ、可笑しいな目から水分が、ふきふき。
取り敢えず神様に服をもらい、死んだ経緯を教えてもらった。それは以下の通りだった。
神様が管理している世界で異世界召喚が行われた。
俺はそれに選ばれるも空間を越えることに失敗したらしい。
どうやら空間を越えるのはとてつもなく難しく、殆どの場合は失敗するようだ。
そして空間を漂っていた俺を見兼ねてこの空間に呼んだらしい、そこで俺には2つの選択肢が与えられた。1つはこのまま死を全うすること、もう1つは蘇り神様が管理している世界に転移すること。
日本に帰りたいと言ってみたが、俺が漂っていた空間はすでにカオスが管理する場所で、地球の空間とはすでに切り離された場所なので無理らしい。残念。そうなると俺の取る選択肢は1つに限られた。もちろんそれは異世界に転移することだ。このまま死ぬなんて御免こうむる。
異世界に転移することを選び、神様から説明を受けた。
異世界には魔物が存在しており、人間達は魔法と武技というスキルを使い魔物と戦う手段を持っている。魔法はオドという体にある生命エネルギーを使い発動する。オドの消費量は魔法の威力により変わるようだ。さらに魔法には神階と呼ばれるレベルがあり、数字が上がるほど威力も上がり魔法の習得も困難を極めるらしい。俺は特別に神様から第1神階魔法から第4神階魔法をいくつか習得させてもらった。
「さて、そろそろ宗治くんを転移させるよ、僕もいろいろ忙しいからね。あっ!それと必要なものは、さっき君が覚えた第4神階魔法ディメンションホールに入れておいたから」
「ありがとうございました。命まで救ってもらい、その上色々していただいて」
「んん、こちらこそごめんね、地球に返してあげたいけどそれはできないから、異世界を楽しんできてよ!」
神様がそう言うと体が光に包まれそこで意識が途切れた。
異世界ライフの始まりだぜ!