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皇國の防戦記  作者: 長上郡司
第五章 治安維持
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88 大隊長の密命

ガチャリと扉が閉まり、室内にはグレン・ディッセンバーの両中隊


長が詰めるのみとなった。


タンタンタンと、四人が階段を降りていく音がだんだんと遠ざかっ


ていく。


「行ったか?」


「ちょっと待って下さいね…」


グレンは椅子から立ち上がり、扉を開けて廊下のを見た。


誰も居ないことを確認し、扉を閉め鍵を施錠した。


「お前は聞いているか?グレン」


「何をです?」


「個人的な指示だよ、今回の」


「ああ、ええ…私が受けたのは、今回の『盗賊団の背後関係の調


査』と、『その戦闘力の見極め』です」


「俺は、『襲われた第四軍輜重部隊の背後関係』と『第四軍内の派


閥調査』だな」


お互いに下された指令を確認し、二人は何か確信を抱いた様な表情


を見せる。


「一体何を企んでいるかと思えば…要は大隊長は今回の盗賊団を、


始めから“東方軍内部の権力抗争”だろうと当たりを付けていたんで


すかね?」


「さてどうだかな、あの人の考えは未だに読めん。情報網の根の張


り様も訳が分からん」


「まあそれは良いとして…戦闘力の見極めって事は、つまりあの連


中を討伐するのが我が方の目的では無く…」


「引き込むってことだろうな、ウチの大隊に」


「本当に、無茶苦茶な男ですよ全く…」


「お前は例の”鬼人”の事もあるしな、慣れとるだろ?頑張って


飼い慣らせよ」


「………いやいや、冗談じゃないですよ……何で私の隊で引き取るって事に


なるんです?…全く持って意味が分かりませんが?」


「だってウチは隊員の定数足りとるからな、だから後は他の四隊だ


が…多分クロード隊は無いだろ?」


「まあ…」


グレンにしてみても、クロードがこの件に絡まなくて心底安堵して


いる位なので、その言葉には同意せざるを得ない。


「じゃあソフィアはどうかと言うと…」


「あの人、結構閉鎖的なんですよね…隊員も含めて」


「その通りだが、本人には言うなよ」


「言うわけないでしょ、そんなおっかない事」


「最後にブラドは…」


「まあ、無いですね」


「そうだな、あいつはこういった組織内の謀略や汚職を極端に嫌う


からな、それに深く関わっていると思しき連中を引き取るかと言え


ば…」


「………ホントだよ、ウチしか無えじゃねえかよ、クッソ…帰りた


い…」


「隊員は置いてけよ、俺が使うから」


そのセリフに、思わず天を仰ぐグレンだった。




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