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皇國の防戦記  作者: 長上郡司
第五章 治安維持
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86 敵の正体

「一体何なんだ、アイツラは…」


宿営地に何とかたどり着いたガランは、酒保の椅子にもたれながら静かに呟いた。


敵を舐めて掛かっていたいた訳では、決して無い。


歩兵と騎兵の戦闘力の違いも当然ある。


だがしかし、我が隊がここまで一方的に追いやられたのは、果たしていつ以来だろうか。


「落伍者が出なかったのは奇跡だな…」


対面のヴォルゲンがそれに同意する。


「お前やグレンが殿を張ったからな、あれが無けりゃ何人やられてたか…」


「まあな、死物狂いだったからな…俺も隊長も」


「いや、ガランさん。僕には感謝は無いんですか?大活躍でしたけど?」


ガランの背後から、エリアが機嫌の悪そうな声で謝礼を求めた。


「あざーす」


「どうも」


二人は見向きもせずに形だけのお礼を伝える。


「やる気無エ挨拶どうも、感激の極みですよ」


エリアも特に気にせず御礼の言葉を受け取る。


「エリア、お前はあの連中どう思う?」


正面の席に席に付いたエリアにヴォルゲンが尋ねる。


「生半可な技量じゃ無いですね。直前まで全く気配が有りませんでしたから。」


「なんでそんな連中が盗賊なんか生業にしてんだよ…しかも東方軍管区で…」


「困っちゃいますよねぇ」


「チキン食いながら言っても何の説得力もねえぞ、いや…そもそも俺の肉だそれ!」


ガランが叫ぶ。


「ご馳走様です」


「消えろ!」


エリアが笑顔で立ち去った。


「ところでグレンはどこに行った?」


建物内にグレンの姿がない事にようやく気付いたガランは、ヴォルゲンに聞く。


「ヴィクトルとエレナを連れて自分の部屋に行ったぞ。何か…大量に資料本を抱えて」


「資料?何の?」


「さあな」






二階、作戦室においての会話


「これは…いや違う、背景が真っ赤な山で…」


「こちらですか?隊長」


「いや違う…お前あんまり寄るな、距離を詰めるなエレナ」


「隊長…自分で呼んどいてそれは…」


「じゃあ変われヴィクトル」


「〇〇〇〇生で丸齧りする女はちょっと…」


「人の気持ち考えて喋れよ…あ、これだな。」


グレンは書物に書かれた一枚の旗を指差す。


「これは…」


「本当にこれでしたか?泡ぁ食って見間違えてません?」


「一目散に逃げ出しといてよく言うわ、逃げ足は感心するぐらい早いなお前は」


「私本来は文官なんで、戦いを求められても応えられません。」


「いやまあ、そこは期待して無いけどなぁ…」


「”夕暮れの山岳”に……”そびえ立つ大山熊”…」


エレナが静かに呟く。


「ですが隊長、これは…」


「参ったな、これは」


グレンは小さく苦笑いを浮かべた。


その旗は、我が東方軍の物では当然無い。


その旗は…


「皇國北方軍第二軍団…第六”山岳”師団」


「身内じゃねえかよ、しかも…」


「よりにもよって、あの山岳師団ですか…」


「厄介なんてもんじゃねえぞ、これは…」




第二中隊に、妖しい風が吹く…

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