79 野盗
「え~、隊長はご覧のザマなので私から状況説明を進行します。」
ヴィクトルは机に両肘をベタ付けにして両手で顔を覆うグレンを指差す。
「隕石落ちろ」
「やかましい、まず件の野盗団ですが、規模は確認されている限り50人から150人程です」
「そんなもんなのか?」
「第四軍なにやってんだよ」
「ええ、ですので敵は余程の手練れ揃いだと思われます。」
「または、兵力を把握されないように数を絞って襲撃をかけているか」
エレナが横から指摘する。
「その通り、先日発生した事件でも100人規模の襲撃隊だったそうです、そしてさらに前日発生した事件でも同じく100人程度でした。」
ヴィクトルは、第一小隊副長のミシュリットから受け取った地図を指差す。
「…場所が結構離れているな?」
「30から40キロ位か…一両日の間に襲撃を仕掛けながら移動出来るか?この距離を」
「それも山間部を」
「山が険しいよな、この辺りは」
ガランとヴォルゲンが指摘する。
「我々はそれらの状況を勘案した結果、敵兵力は推定で最低300」
「500人を超す可能性も有ります。」
ヴィクトルとエレナが指摘を纏める。
「500…?」
「俺ら800だぞ?」
「ディッセンバーさん忘れてるだろ」
死人みたいに朽ち果てていたグレンが甦った。
「2隊出すなら別行動だろ?数に入らんよ」
ヴォルゲンが軽くあしらう。
グレンは再び冷たく氷付き、動かなくなった。
「どうする?恐らく、策も無く無鉄砲に相手に出来る規模じゃ無いぞ?」
「当然です、まずは情報です。」
「やっぱり生で見た景色に勝るものは無いからな…誰が出る?」
ヴォルゲン、ヴィクトルとガランが話しを摘める。
「俺が行く」
その声は作戦室の最も奥から発せられた。