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77 何故?
「あら、隊長お帰りなさい」
強烈な凶相を晒しているグレンを前に、エレナはごく自然に声を掛ける。
「ああ…」
「随分酷い顔ですが、どうかしましたか?」
「お前それは、体調不良を心配しとるのか?さも無きゃ俺が醜男って言いたいのかどっちだ?」
「もちろん心配しています。それと私は隊長を醜男と感じた事は生涯一度も有りません。」
「うん、俺ら出会って3年位だからね?生涯って単語を持ち出すのはちょっとばかし大袈裟過ぎるんじゃない?」
「隊長、私に言って下されば金貨の200枚や500枚何時でもお渡ししますのに、どうしてお声掛けしてくれないのですか?!」
「あのねぇエレナさん…話に脈絡が皆無な上に、感情の振れ幅がでかすぎますよ?それと貴女に話していないのは、単純に自分の心臓を握らせるには、貴女は怖すぎるからですからね?」
「さあ、隊長!行きましょう!私達の約束された未来へ!!」
「あっ、コイツ酔ってんな…顔がすっげえ紅いわ、よく見たら」
グレンは部下の隊員にエレナを押し付け、足早に自分の部屋に上がって行ったのだった。