74 雑貨屋にて②
エリアがあれこれとカバンを眺め倒しているのを尻目に、アイラは
雑貨屋内を色々と見て回っていた。
“当分掛かりそうね・・・あれは”
早く武具屋に行きたいアイラだが、財布が動かないことには始まらない。
そう、アイラもまた・・・自らの懐を痛める気はないのだった。
アイラは先程エリアが見せた財布に見覚えがあった。
あれは確かにグレンの財布だ。
それで辻褄があった。
“あのドケチのエリアが随分思いきったと思ったら・・・とんでもない不良部下だこと”
だがアイラは指摘などしない。
“まぁ、口止め料に何か買ってもらいましょう・・・”
上官の財布をスル第8小隊長と、それを分かっていながら指摘しない所か、無言で口止め代を算段
する第10小隊長・・・
揃いも揃って本当に碌でもない連中である。
グレン中隊の隊舎にて
「おっ?グレンどうした?挨拶終わったのか?」
隊舎作戦室の隊長席にて、片手で目頭を抑えたグレンを見かけたガランが話しかける。
「・・・」
その呼び掛けにグレンは答えない。
「隊長?どうした?具合でも悪いのか?」
ガランの後ろにいたヴォルゲンがグレンを気遣う。
「何だか顔色悪いな、そんなにここいらの盗賊団はヤバいのか?」
「・・・ああ、お前らか・・・」
「今気づいたのかよ・・・どうした本当に?」
ガランが正面右隣の椅子に、ヴォルゲンが左隣の椅子に座る。
「ああ、何と言うか財布をな・・・」
「財布?」
「無くしたのか?」
「ああ・・・ガランちょっと貸してくれんか?」
「しょうがねえな、いくらだ?」
「金貨200枚」
「有るかボケェ!!」
金貨200枚=200万円ぐらい