73 雑貨屋にて
第一目的地の雑貨屋に入店した二人は店内を散策している。
町の規模と比例してか、中々の広さが確保されている。
エリアは早々にアイラをほかし投げ、自分の次のカバンを見繕っている。
アイラはアイラで、店内の軽食コーナーを陣取り何かを注文していた。
全くもって自由な連中である。
“これは・・・駄目だな、すぐに壊れるな・・・こっちのは?いや、これも出し入れが不便だし
なぁ・・・”
一人悩むエリア
彼の腰袋には、主に暗殺用の投げナイフや、絞殺用ロープに撹乱用の煙幕弾や、砲弾が着弾したかと
誤認させる爆音弾などが収納されている。
アイラと共に、戦闘斥候を担当する彼のカバンは第二中隊の命綱と言っても大袈裟ではない。
“丈夫で、出し入れが容易いってのは中々無いもんだなぁ・・・”
その為、エリアも一切の妥協無くカバンを見定める。
“容量が多ければ良いってもんじゃ無いしなぁ・・・”
値段など、全くの度外視である。
“まぁ、自分が出すわけじゃ無いしいくらでも良いか”
彼の手には簡素な財布が握られていた。
たっぷりと金貨が詰め込まれた財布が・・・
道時刻
挨拶を終え、隊舎に戻ろうとするグレン、ディッセンバー
「ディッセンバーさん・・・」
グレンは懐に触れると何故か呆然としたように、先行して歩くディッセンバーに話しかける。
「どうした?頭に鳥糞でも食らったか?」
「いや、あの・・・」
「何だ?」
「さ・・・」
「さ?」
「財布知りません?私の・・・」