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皇國の防戦記  作者: 長上郡司
第五章 治安維持
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71 道中会話

         ~宿営地より発つ、グレンとディッセンバーの道中会話~

  

「なあ、グレン」


「なんですか?」


「さっき発つ時に、大隊長が見送りに来ていただろ?」


「いましたね」


「その後ろにクロードも居たよな?」


「ええ、相変わらずすごい目付きで見送ってくれましたね」


「あの視線は誰に向けてのもんだったんだ?・・・」


「あの場に居た全員じゃないですか?大隊長にディッセンバーさんに私も含めて全員に」


「味方を見る目じゃねえんだよな、アイツは・・・」


「しょうがないですね、いつもの事ですよ」


「お前はそれで良いかもしれんが、俺なんか病み上がりだぞ?もしアイツが血迷っても抵抗できる気がしねえ」


「それがそこまで馬鹿でもないんですよねえアレも」


「そうなんだよなぁ・・・どうにかならんもんかなぁ・・・」


「無理でしょうね、アイツは上からゴリ押しで決められるの大嫌いな性質ですから」


「さっき見たいのか?」


「ええ・・・育ちが原因でしょうがね」


「・・・アイツの親はなぁ?」


「だいぶ厳しい人間ですからね、アイツは幼少期早々に見切りを付けられたらしく、愛情を受けずに育ってきたみたいですよ」


「何か、偉い家系には有りがちな話だな・・・」


「とりわけ父親からは、何一つ授けられなかったようです。全て上の兄姉に集中していたようで」


「ひどい話だよ・・・」


「アイツの娼館狂いも、根幹にはそれが影響しているんでしょうね」


「無償の愛を受けずに育てられたから、有償の愛に沈んでいるのか・・・」


「いい表現ですね・・・恐らくはそんな所でしょうね。要するにクロードは・・・愛に飢えているんですよ、他者からの愛に」


「・・・・・・グレンお前、クロードと頻繁にド喧嘩カマしてる割には、しっかりヤツのことを見ているんだな?」


「仲間ですからね、あんなんでも」


「そうか・・・」


「性格こそチャランポランですが、間違いなく頼りにはなる奴ですよ。私と同じく若くして千人将ですから」


「お前、それは遠まわしに自分も優秀だって言いたいんだな?」


「客観的な事実ですよ」


「ふふっ・・・違いないな」


「まあ、私も親の愛情を受けずに育ってきた輩ですからね?何となくでも気持ちは分かる気がします・・・私の場合は死別で、アイツの方は健在ですが」


「お前も結構優しいんだよな・・・」


「私はいつでもどこでも誰にでも優しい、好感度抜群のイケメン好青年ですよ」


「❝戦闘龍❞なんて、物騒な渾名付けられといてよく言うぜ」


「自分で名乗ったりはしませんよ、そんなこっ恥ずかしい渾名なんか。うちの連中にはたまに茶化されますよそれ」


「いや、うちの中隊の連中には結構評判いいぞ」


「感性の違いじゃないですか?」


二人のとりとめのない会話は。応援要請地に到着するまで続く。

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