03 エミリアの副長
~エミリア中隊 隊長天幕にて~
「とりあえず、しばらくここに留まるみたいね」
「面倒ですねぇ」
「軍人辞めたら?」
愚痴をこぼす副長に、エミリアはいきなりキツイ提案を送る。
「父が怖いので、無理です」
その提案を、副長はキッパリと否定する。
「ああ・・・あの人ね・・・」
「隊長は良いですよね、付き合いが薄いから」
「直接的な付き合いはね・・・」
「大変ですねぇ、いだ・・・」
「黙れ」
「そんなに嫌わなくても」
「どうやったらあれを父として思えるの?」
「私は隊長の家庭事情には詳しくないので、お答えは差し控えさせていただきます」
「あんた、ホント役人基質よね・・・町の官吏にでもなったら?」
「退役後の再就職候補の筆頭格ですよ」
「ホント・・・食えない女ね」
「ありがとうございます」
「褒めてないわよ、アイリス」
「まあ、なんだかんだ真面目にやりますよ?私は」
「就職斡旋に響くからね」
「よくご存知で、流石に長い付き合いですね」
「腐れ縁以外の何物でもないわよ」
「切っても切れない、鎖のように強固な縁ですね」
「そんな錆びついたド腐れ鎖なんか、ぶっ千切ってやるわ」
「隊長ならホントに出来そうですね、怪力だから」
「あんたの首根っこでやってみる?」
「部下殺しは結構重罪ですよ」
~膠着戦線に置ける昼下がりの会話。~
副長は女です。