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皇國の防戦記  作者: 長上郡司
断 章 皇國西方軍
69/137

02 前提条件の違和感

この時代より十数年前、対帝国戦は両国共に多大な犠牲を支払った。


その傷と損害が癒えきらない現在、皇國は西方の同盟国軍との戦を繰り広げている。



グレンは、初動対応に失敗し解任された前任者の後釜として、“皇國東方軍軍団長・大将軍”の任を解かれ、“皇國西方軍総統・大将軍”としてこの地に着任した。


この時期の皇國軍は、現在の軍形態とは異なり東西南北の四軍、そして中央の一軍を入れた五軍体制を敷かれていた。


各軍には個別の自治権を与えられており、事実上の軍閥となっていた。


互いに皇國軍の名を冠する物の、実際にはほぼ別の軍形態となっていた。


つまりグレンに発せられたこの人事は、ただ単純な配置異動では全く無く、ほぼ他国軍への移籍に等しい行為だった。


時代の不可解な人事は、時の皇帝による勅命だった。


皇帝肝煎りの配置替えにより、皇國軍はこの戦にも勝利を納め、後々に続く大陸の覇者としての基礎固めとなった。



二度にわたる大陸間戦争勝利の立役者となったグレンは、数百年後の“現在”に置いても救国の父として様々な影響を残している。




         

             現在・皇國・とある歴史学識者の回顧録




何故、前任の総統は解任された?


初動対応を失敗したとの記述は、確かに多くの文献に残されている。


総統を解任するほどの、ましてや他軍のグレン・バルザードを急遽担ぎ上げた経緯がわかる資料がどこにも見当たらない。


不自然ではないか?


国家存亡の危機だったはずだ。


その状況で皇帝勅命を受け、着任した・・・


何故、時の皇帝はグレンを指名したのか?・・・



おかしい


明らかに、我が國の記録は恣意的に歪められている。


これだけ詳細な資料が豊富に在りながら、この記述が無いわけがない。



つい先日発見された、この時代の将校の日誌は、その疑問を紐解く様々な真実が記録されていた。


「まさか、こんな・・・」


「先生・・・これは」


「・・・この場に今いる全員に箝口令を敷く。この資料の一切の口外を禁ずる」


「國の成り立ちの根幹に関わりますね・・・」


「とんでもない物を見つけてしまった・・・」


「その資料は、どうされるのですか?」


「・・・どうするべきだと思う」


「少なくとも、皇宮省に知らせるべきでは」


「バカを言うな!皇國親衛隊に何をされるか・・・」


「それよりは、まず内務省に注意すべきです。それに・・・陸軍省も」


「内務省第一憲兵軍に、陸軍龍騎兵第二中隊・・・」


「・・・・・・燃やす、か?・・・」


「・・・・・・・・・」


「とんでもない物を残してくれたものだ・・・・・・エリア・シュナイダー将軍は・・・」





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