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52 主亡き家の守人
「若様、お久しぶりでございます」
「やめて?大分前から若様じゃないから、当主だから」
「ああ、申し訳ありません若様」
「・・・」
グレンは、父の屋敷を管理している老夫婦と挨拶を交わしていた。
「無駄にでかい屋敷ですね」
「ご飯は?」
「お前ら住人と主を無視して勝手に家捜しすんじゃねえ!バカ!」
「あの、若様・・・こちらの方々は?」
「不審者」
「ひどい」
「ひどい」
「・・・残念ながら俺の部下だよ、こっちの金髪パープリンが」
「エリア・シュナイダーと申します。グレン中隊長の小隊を預かっております」
「・・・」
「食ってねえで、テメエもなんか言えや!」
「アイラ・ベルゴール」
つっけんどんな態度にグレンは手に持つナイフに力が籠もる。
「隊長、そんなナイフじゃアイラには返り討ちですよ」
「お前はちょっと黙って食おうか、エリア君」
グレンが持つナイフは、完全に折れ曲がり使い物にならなくなってしまった。
「はははっ・・・仲が宜しいようで」
「舐められてるだけだよ・・・」
賑やかな食事が続く