34 戦闘龍グレン
寒いです。
気温、財布、そして心・・・
凍えそうです。
「あれが‘戦闘龍’グレンだァ!」
「討ち取れェ!」
帝国の城塞守備兵が、一斉にグレン目掛けて押し掛けて来た。
「アイラ、お前は右殺れ」
「はぁい」
目を血走らせ、鬼の形相で向かって来る敵に対し、二人は共に落ち着き払っていた。
「死ねェ!グレン!」
先陣を切る敵兵が、剣を高く振りかぶった。
そして、その者は二つになった。
「てめえが死ね!」
グレンが握る斧によって。
頭から縦真っ二つにされた同僚を見て、一瞬帝国兵が怯んだ。
「・・・怯むな!掛かれ!!」
しかし、指揮官らしき男の声を受け、再びグレンに向かって走り出す。
「一斉に切り掛かれ!!」
「くたばれ!チビが!!」
何人かが次々と剣を振るう。
「・・・ふんっ」
笑うグレンは盾を構え、それらを難なく受け止めた。
そして
「ボバァ!」
「ギギャ!!」
帝国軍重装歩兵が何人も、バラバラに弾け飛んだ。
「はっはっァ!弱いわボケェ!もっと力一杯掛かって来いやァ!やる気あんのか!」
「相変わらず派手だな・・・グレンは・・・」
「ヴォルゲンさん、私らは出なくて良いのですか?」
城壁の影で待機しているヴォルゲンが、思わず声を漏らす。
「もう少し待て、カイト。アイラが暴れだしたら出るから、すぐに動けるように準備はしておけ」
「はい」
間もなく、‘鬼神’が動く。