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皇國の防戦記  作者: 長上郡司
第三章 山岳城塞奪還戦
32/137

31 本命の今頃

働かずに生きていきたい・・・


天から10億円ぐらい降ってきますように。

「きっついなこの崖・・・!」


「黙って登れ、右翼はとっくにやり合ってんだぞ・・・」


右翼のブラド隊が必死に敵を引き付けている時、グレン率いる左翼部隊は、頑張って崖を踏破している所だった。


「くっそ・・・こっち・・・外れだったかな・・・右翼は・・・飛び降りるだけだもんな・・・」


「何なら今飛び降りさしてやっても良いぞ、ガラン」


「ばか言え・・・身内に殺されてたまるか・・・せめて戦闘中に死ぬわ」


「お前が死んだら子供は片親だぞ、ガラン。まだ二歳だろ」


その隣を頑張って登っているヴォルゲンからツッコミが入る。


「しかし・・・キツイなこの崖は・・・」


「だから元々見張りが手薄らしいぞ、斥候の話だとな」


上を見ると、とっくに登りきっているアイラとエリアが手を降っている。


「ガラン見ろよ、頑張れってさ。可愛い後輩達が」


「俺は・・・アイツ等を・・・可愛いと・・・思ったことは・・・・・・無い」


息も絶え絶えだが、自分の主張ははっきりとしているガラン。


「よいしょっと・・・よしガラン手ぇ出せ」


先に登りきったグレンが、天に召されそうなガランを引き上げる。


「ガラン大丈夫かお前、今から戦うんだぞ?」


続いて登りきったヴォルゲンが、水を飲みながら心配する。


「俺にも・・・くれ・・・」


「飲みきっていいぞ」


ゴクゴクと、一気に水袋の中身を飲み干すガラン


「何とか、大丈夫だ・・・戦える」


「礼を言えよ、まずは」


「ありがとな、ヴォルゲン」


グレンの突っ込みを受け、ヴォルゲンに感謝を伝える。


「隊長、まだ行かないの?」


先に登りきっていたアイラが尋ねてきた、すごく涼しい顔で。


「一人でいってもいいぞ、俺らはもうちょっと集まってきたら出るから。何なら一人で敵皆殺しにしてきてくれや。」


アイラを見向きもせずに答えるグレン。


「またそうやって意地の悪い事を言うなよ、グレン・・・」


辛辣な物言いのグレンをなだめるヴォルゲン


「今、どのくらい登り切った?」


「・・・・・大体、七割ほど・・・です・・・・」


今にも死にそうな顔のヴィクトルが答える。


何とか登りきった上で、数を数え報告したのだ。


素晴らしい職業意識と言える。


「そうか、なら八割が踏破した段階で突撃を仕掛ける・・・準備しろ」


「・・・承知・・・しました・・・」


「・・・ん?エレナは?」


「・・・あそこでぶっ倒れてんのエレナじゃないか?」


ガランが指差す方向を見るとそこには


「・・・あぁ・・・エレナだなありゃ・・・」


エレナがうつ伏せで倒れている所を、彼女の部下が介抱している。


「ありゃあ、無理じゃないか・・・隊長」


「・・・・・・八割方登りきったな!行くぞ!」


エレナは置いていくことにした。


❝城塞を開放してから迎えに来よう❞、そう思ったグレン達だった。



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