27 別動大隊②
「隊長、敵の意識が大方囮部隊に向いてきたようです。」
単眼鏡越しにエレナが伝える。
「・・・囮とか言うな」
「失礼しました、第二陣もそろそろ出るべきと考えますが」
「まあ、頃合いだな・・・だが」
「どうかされましたか?」
「いや・・・何でもないよ、ほんじゃあ行くかねソフィアさん」
「ええ、よろしく頼むわね!グレン!」
合同で左崖攻略に当たる第四中隊長ソフィアと共に、グレンは出陣する。
しかし
「グレン」
誰かに呼び止められた。その方向に振り替えると
「これはブラド隊長」
数人の部下と共に、第一中隊長のブラドが居た。
「間に合ったか、グレン事前に説明した通り、まず我が部隊2500が右翼崖上から降下突撃を仕掛ける。敵は正面と右翼の対処に忙殺されて、左翼崖下のお前たちには全く気付けなくなる」
「その隙に、我が方1500で壁上火砲郡の駆除、及び壁門の解放・・・ですね?」
「そうだ」
「こんな時でもクロードは本陣待機なんですね・・・」
「いくら後方配置とはいえ、本陣が野ざらしとはいかないからな。」
「あいつで大隊長の護衛勤まりますかね?凄い不安ですけど私は」
「そう言うな、普段はおちゃらけているが、クロードも同じ中隊長だ。もっと同期を信用してやれ。」
「出来ればそうしたいですよ私も・・・」
「はっはっはっ、まぁ結構クロードを買っているんだ私は」
「そこん所は、まあ何とも言いがたいですが」
「グレン、そろそろ行かなくて良いの?・・・ブラドもよ!突撃仕掛けるのは貴方達が先でしょ。」
話が長くなったからか、ソフィア中隊長が口を挟む。
「そうだね、それではブラド隊長、後程に城塞内で」
「そうだな、つい話が弾んでしまう」
お互いに背を向け、配置につくために歩み始めるが・・・
「グレン!ソフィア!」
ブラド隊長が大きな声で二人を呼んだため振り向くと
「武運を祈る」
握りこぶしを天に掲げたブラドが二人の無事を願う。
「こちらこそ」
「ブラドもね」
それに習い、二人もブラドの無事を願う。
三人はお互いの無事を祈り合い、今度こそ自らの待機場所に向かったのだった。