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皇國の防戦記  作者: 長上郡司
第二章 戦の備え
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22 殺し合いの青春劇

「この休暇はいつまででしたっけか、隊長」


「三週間だでなぁ、今週いっぱいだ」


とりとめのない会話をしながら街を歩くグレンとエリア


「はあぁ・・・夢の一時も、もう終わりか・・・嫌んなりませんか?隊長は」


「何が」


最初から投げやりな態度で会話に付き合うグレン


「お互いに二十歳や一九の身空で、幼い頃から軍学校に入ったかと思えば、同年代が謳歌している青春を僕らは一切味わう事も無く、戦場で敵と殺し合ってんですから。」


「それが俺らの仕事だ」


「そうなんですけどねえ・・・何かこう釈然としないと言うか」


「身にならん愚痴ならアイラにでも聞いてもらえ。俺に聞かすな、そんな事」 


「こんな事アイラに言っても『へーへーほーほー、へーへーほーほー』って流されるのが見えてるじゃないですか」


「じゃあ、メルヴィンで」


「完全無視ですよあいつは、先任ですよ僕の方が」


「良いじゃねえか愚痴なんざそんなもんで」


「いやあ分かってないなぁ隊長は、そんなんだからエレナさんに影で泣かれるんですよ」


「まともに相対できん奴なんざ泣かしとけそんなもん、真正面から切り込んでくりゃぁ、俺だって相手したるわ」


「ひでえ男だなあ、我らが隊長は」


「心が荒んでるからな俺ァ」



昼になったので、二人は目に止まった飲食店に入ることにした。



「しかし、ほんとに何でこんなチンクシャが良いんだろエレナさんは、もったいないなぁド綺麗なのに」


「あいつは顔は特級品だが、中身はゲテモノ狂いだでな、昔っから。あんな顔して〇〇〇とか平気な面して食うぞ」


「割と僕も平気ですよ」


「生で」


「ゲッ無理」


「バリバリ食ってんのよ、それ見て吐きそうになったわ俺」


「今吐きそうですよ僕は」




食事を終えた二人は、再び散策に戻った。



「五年も付き合い合って知りませんでした・・・・・・知りたくなかったよ」



衝撃的な告白の前にうなだれるエリアだが・・・



「俺なんか直に見ちまったんだぞ、それ見てから俺あいつを女扱い出来んくなった」


「まあ・・・戦場に色恋沙汰を持ち込まなくなったってことで結果オーライじゃないすか」


「俺ァつくづく、女運ねえんだわ」


「うちの隊員見ると、よくわかりますよ」


「エレナはゲテモノ食いだろ、アイラには殺されかかる、メルヴィンは・・・よく分からんな」


「何であんなにチンクシャ・・・隊長のこと好きなんですかねあれは」


「お前はろくな死に方させねえ・・・知らんよあいつは、あいつが言うには、俺があいつの村が襲われている時に割って入ったから助かったらしくて、そこで一目惚れしたって言ってたが・・・」


「覚えてないんですか?そんな白馬の王子様みたいじゃないですか・・・馬鹿みてえだなホントに」


「何度も何度も色んな所でおんなじ事してりゃあ分からんくもなるわ」


「いや、隊長の白馬の王子様姿想像して、それに対しての馬鹿ですよ」


「・・・・・・・・・・・・・」


「でっ、ミシュリットさんはどうなんですか?」



ミシュリットとはガラン第一小隊の副長の事だ。


様々な局面で、長くガランを補佐してきた、頼れる女性武官である。



「俺ァ、あいつにもろくな目に合わされてねえ、ふとした拍子に人格が変わるからなあいつは」


「ええっ?そんな様子全然ないですけど、物静かで髪が綺麗な人っていう印象ですが」


「お前は斥候と暗殺が主だから戦場でのアイツと出くわしたことないだろ」


「・・・言われてみれば、見たことないですね」


「考えても見ろや、あのキチガイ見てえな第一小隊の❝副長❞だぞ?ガランよりよっぽど怖えよあいつ」


「ああ、でも想像つかないんですよね、全く絵が浮かばないです」


「いずれ分かるさ・・・お前も、ミシュリットも、生き残り続けりゃあな」



黄昏時に二人は帰路につく・・・


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