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皇國の防戦記  作者: 長上郡司
第二章 戦の備え
22/137

21 ダメだコイツ

「でっ?」


「・・・・・・」


「隊長だめです、無言で殴りかかっちゃ」


グレンは中隊の宿舎へ連行したクロードに聴取を行っている。


が、しかし・・・完全に舐め切った態度のクロードに対し、グレンは最初から全力でぶち当たろうとした所をヴィクトル達に制止された。


全力で


「そうだぞ隊長、こんなバカでもこいつは大金持ちのボンボンなんだから使いようはいくらでもあるだろ。こんなバカでも。もっとしっかり利用しろよ、一応同期だろ」


辛辣ながらもヴォルゲン嗜める。


「うるせえ、こいつが金持ちのボンボンだろうが、例え貴族の倅だろうが関係ねえ。俺らは軍人で、こいつは課せられた義務を放棄して、前回大目玉を食らったにも関わらず、部下に仕事丸投げにして懲りずに娼館に入り浸っていやがった・・・玉ぶっ潰されてえのか?いい加減お前・・・・・・」


「俺の金剛石はお前如きにはびくともしねえよ、グレン」


「そうか、じゃあ俺の握力で人体の限界に挑戦してみるわ」


恐ろしい提案を投げつけるグレンを前に、余裕を崩さないクロード


この男、クロード・ヴァルテウスは、グレンと同い年の20歳で千人中隊の長を務めるだけあり、一人の戦士として優秀なことは間違いないのだが、配下を指揮する武将として・皇國の守護者たる軍人としては、いささか問題行動が目に余る。


今もこうして自らの置かれている状況に対しふてくされるだけで、全く反省の色は見られない。グレンは歯ぎしりし、前に組んだ腕を解き、両の拳を固く握る。


「てめえ舐めた事告いてんじゃねえぞ。自分の置かれとる状況理解してねえのかダボが、俺は戦隊長の命令受けて、やりたくもねえてめえの面倒見てんだぞ。素晴らしいなあ金持ちのご子息は、上から下から向こうから気イ使ってくれるだからな、さぞ過ごしやすいだろうなあ?ええ?クロードさんよォ・・・」


「ああ、素晴らしいぞグレン、この大隊は最高だ」


その返事を聞いたグレン中隊の空気が凍り、ガラン、ヴォルゲンの両小隊長は椅子から立ち上がり、いつでもグレンに飛び掛かれる体勢を作る


一方のグレンは


「はぁ・・・・・・」


大きくため息を付き、そこら辺の椅子に腰掛ける。


「お前さあ、本当に自分の立場考え直さにゃヤベえぞ?現状わかってんの?

同い年の、同期の、同格の中隊長に対して戦隊長から直々に《面倒見ろ》って命令来るか?普通・・・俺が筆頭なら分からんでもないけど、どっちが上って事無いだろ俺らは・・・」


「お前のが先任の千人将で、先任の中隊長だろ、お前が上だよグレン」


今度はガランが口を挟む


「ガラン、お前ちょっと本気で黙ってて、頼むから・・・」


グレンは力なく答える。


「お前さあクロード、なんで軍に入ったんだったか・・・?」


「お硬い家から逃れて自由奔放・快適な人生を送るために決まってんだろ。何度も言わせるな」


「本当に本気でそんな理由で入隊して軍務に服してんのかお前・・・」


「服してないぞこいつは」


「・・・もういいからフリクセルがもうじき来るでさっさと引き渡すわこいつ、エリアを相手にするより疲れる、心底」


ついに部下のツッコミを無視した。


「アイラの相手とどっちが疲れるんだ?隊長」


「・・・どっこいどっこいだな」


それだけ言い残し、グレンは部屋から出ていった。


結局、同僚相手には鬼に成り切れないグレンであった。


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